ライブで恒例のコミカルなオープニング映像に続き、場内に心臓の鼓動と足音が鳴り響く。ステージを覆った白い紗幕に3人の影が映ると、大きな歓声が沸いた。歪みの効いたギターサウンドと共に、幕が開くとメンバーが姿を現し、さらに大きな歓声へと変わった。

　1曲目を飾ったのは、アルバム『ソナポケイズム③~君との365日~』の中で最もライブ感あり、テンポチェンジを繰り返す攻撃的なロックチューン「MIKATA」。mattyがステージ中央でエレキギターを掻き鳴らし、オーディエンスを煽る。続く「一期一会」では、ko-daiとeyeronがタオルを振り回し、ステージを駆け回った。そうして場内の熱気を一気に上昇させた後、“全員、全力で楽しんで帰りましょう！”とeyeron。”“ソナポケのライブ自体、初めての人？”と観客に尋ねると、物凄い数の手が挙がった。本公演のZEPP TOKYOのチケットが取れなかった人が多く参加しているよう。そんな“ナマポケ（＝生のソナーポケット）”初体験のオーディエンスに対し、“忘れられない1日にしてやるからな！”と頼もしい口調で言い放つと、客席から歓喜の声が上がった。

　頑張り過ぎている人へのハートフルなナンバー「世界で一番ステキな君へ。」では、会場を温かい空気感に包み、ペンライトを振りながら大合唱となったデビュー曲「Promise」ではメンバーとファンの心を1つにした。“好きな人に「好き」って言えない人は、この曲を相手に届けてみてください”と言って披露されたのは「ラブレター。~いつだって逢いたくて~」。美しいピアノの音色に乗せて、ひと言ひと言に気持ちを込めて歌い上げた。

　“人生ってそんないいことばっかりじゃなくて。恋愛においても、常にいろんな悩みがつきものだなと。でも最近思うのは、すべてがムダじゃない。それがこのツアーを通して伝えたいことです”とko-dai。“ソナーポケット”の名を世の中に広めるきっかけとなったラブバラード「好きだよ。~100回の後悔~」を、星屑のような光が瞬く中で披露。そして「好きだよ。~100回の後悔~」から一歩進んだ感情が描かれた「ゴメンね…。~お前との約束~」、“弱さを見せることが弱いわけではないです。素直に泣きたい時は泣きましょう”というMCを挟んで「泣いてもいいんだ」を熱唱した。オーディエンスはそれぞれの日常や思い出と重ね合わせながら聴き入り、場内のあちこちからすすり泣く声が聞こえた。ポップで上質なサウンドを創り出すDJのmatty。切なさとどこか懐かしさを呼び起こす歌声を持ったko-dai。飾らない真っ直ぐなリリックを熱く歌い伝えるeyeron。会場にいる“全員”ではなく、“1人1人”に対して歌を届けているからこそ、聴き手1人1人の心にダイレクトに訴えかけるものがあるのだろう。

　雰囲気は一転。ko-daiが“DJコウちゃん”に扮して、ファンからの質問に答えるコーナーも。得意のモノマネを挟みながら、確立されたDJコウちゃんの“キャラ”がファンの笑いを誘った。そして「青空」「ソナポケ☆DISCO」などハジけたアッパーチューンで畳み掛け、オーディエンスを明るい笑顔に包んだ。本編ラストは、ソナポケらしさ全開の切ないラブソング「365日のラブストーリー。」で飾った。365日、どんな感情の時にも寄り添う『ソナポケイズム③~君との365日~』。さまざまな楽曲を通して、喜びも楽しさも哀しさも怒りも……あらゆる感情を共有しながら、メンバーはステージから明日を前向きに生きるエネルギーを与え続けた。

　アンコールでは、4月25日リリースの新曲「月火水木金土日。~君に贈る歌~」を披露。感極まってeyeronが涙する場面も。8月3日には初の日本武道館での公演が決定している彼ら。その日にまた、全員でペンライトを灯して1つになることをPromise＝約束し、全国ツアー“ソナポケイズムVol.3”は幕を閉じた。

【取材・文：牧野りえ】