Acid Black Cherry、ツアーファイナルの日本武道館をレポート
Acid Black Cherry | 2012.07.31
約2ヶ月半にわたって行われたAcid Black Cherry TOUR 『2012』。その全国ツアーの最終地となったのが7月18、20日の日本武道館。聴く者に深いメッセージを投げかけたアルバム『2012』を掲げたツアーだっただけに、演出も含め、スケールの大きさを存分に感じさせる内容だった。公演2回目の7月20日、満員の日本武道館を取材した。
今回のライブには、yasuがアルバム『2012』に込めた思い――2011年の震災を通して感じたこと、気づかされたこと、“生きる”ことについてなど――が、盛り込まれている。素晴らしかったのは、それらの壮大なテーマが、実に生き生きと表現されていたことだ。まず、オープニングからステージを覆うスクリーンに数字が映し出される。速い速度で数字が増えていき、それが暦を表していることにすぐ気づく。その年に起こった象徴的な出来事が次々に投影され、一気に『2012』の世界へ引き込まれていった。そして世界終末時計(午前零時を人類の滅亡にたとえたもの)が浮かび上がると1曲目「doomsday clock」で本編がスタート。ハードなナンバーで、冒頭から煽られる。曲の途中で幕が落とされ、yasuをはじめ、バンドメンバーの姿が視界に飛び込む。2曲目の「ピストル」は5ヶ月連続リリースの一発目を飾った攻撃的ナンバー。実力派ぞろいのバンドメンバーから繰り出されるパワフルな演奏に加え、yasuのパンチのきいたボーカルとキレのあるパフォーマンスに、グングン乗せられていく。
「やってきました、日本武道館ファイナル! ありやぁす!(yasuがよく使う言葉で“ありがとうございます”の意味)」
最初のMCでは、軽く挨拶トークを入れ、引き続き『2012』からの曲を続ける。合間に「罪と罰~神様のアリバイ~」「チェリーチェリー」など、2ndアルバム『Q.E.D.』の曲をサラリと入れてアクセントをつけているのも心憎い選曲だ。中盤、天使が人々の欲望から堕天使になってしまう……そんな映像が入り、その後ヘヴィーチューンの「Fallin’ Angel」へ。絶妙な流れが爽快だ。中盤以降、Acid Black Cherryにとっては、激しい曲同様支持が厚いバラードナンバーから、シングル曲でもある「イエス」をプレイ。yasuの伸びやかな歌声が武道館を包んだ。後半は「Re:birth」「少女の祈り」「少女の祈りIII」で、また荒々しく盛り上げる。本編最後はデビューシングルでもある「SPELL MAGIC」。ファンがどのタイミングで聴きたい曲なのかを、知り尽くしたかのようだ。
アンコールでは、最初にアコースティックアレンジの曲で熱くなった会場をクールダウン。しかも、これまた人気の美しいバラード「冬の幻」のアコースティック・バージョンを聴かせる。さらに無料配信された”0th Single”「君がいるから」をじっくり披露。このあと再びバンド編成に戻って演奏されたのは、『2012』というアルバムを語る上で非常に重要なキー曲「その日が来るまで」。ここでyasuは「震災があったあと、曲を作っていていいのかどうか、すごく悩んだ」というエピソードとともに、「アルバムができるキッカケになった曲です」と紹介して曲につなげた。
最初のアンコールは、アルバムでもラストを飾るポップチューン「シャングリラ」で終了する。この救いに満ちたポジティブな曲までが、『2012』の世界としてくくられていたようだ。ただ、ライブがこれで終わるはずもない。Acid Black Cherryのファンなら“絶対に聴きたい!”と思える曲達がまだ何曲か残っていたからだ。
2度目のアンコールで飛び出したのは2ndシングルの 「Black Cherry」。ジャンプしながら曲に反応する観客も実に楽しそうだ。予定されていたセットリストはここまでだったが、「もう一発いいですか!」と「20+∞Century Boys」を追加。照明もついて明るくなった会場には、ハッピーな空気が満ちた。重たいテーマを表現しながら、最終的には観客をガッチリと楽しませたAcid Black Cherry。とにかくライブのツボを知り尽くしたyasuの底力を見せつけたファイナル公演だった。
【取材・文:海江敦士】
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リリース情報
セットリスト
- ~until~
- doomsday clock
- ピストル
- CRISIS
- 罪と罰~神様のアリバイ~
- 蝶
- 指輪物語
- ~the day~
- Fallin’Angel
- in the Mirror
- イエス
- so…Good night
- チェリーチェリー
- Re:birth
- 少女の祈り
- 少女の祈りⅢ
- SPELL MAGIC
- 冬の幻
- 君がいるから
- その日が来るまで
- シャングリラ
- Black Cherry
- 20+∞Century Boys