12月11日と12日に、Billboard Live TOKYOで行われた『Chara 2 Night Special』。テーブルが並べられたフロアには、食事をしたりお酒を飲んだりする人々。いつもとは違うラグジュアリーな雰囲気の中に、いよいよCharaが登場!　ストリングスを交えたバンドメンバーと共に、紫のヴェールを纏って現れると、さらりとキーボードの前にスタンバイし、「ここにいて」を歌いだす。続いては、立ち上がって「18」。客席とめちゃめちゃ近い距離ながら、お構いなしに、いつも通り高らかに歌い、キュートに踊るChara。貴重な機会に、改めてドキドキしてしまう。そんなちょっぴり緊張気味な会場の空気を察したのか、彼女の第一声は「ニンニクの匂いする……バーニャカウダ頼んだ人、結構いると思います(笑)」。一気に和んだところで、久しぶりの披露となる「私はかわいい人といわれたい」へ。ウィスパーヴォイスから、じわーっとヴォリュームを上げていく歌声の迫力といったら!　彼女の歌声の魅力は、どんどんカラフルになっているようだ。 歌い終えた後は、何度も「聞こえてる?」と問い掛けながらMC。「どんどん飲んで!　Charaのライヴ、アガり多いって言われるから(笑)」なんてぶっちゃけトークも堪らない。そして「寝る時に思い出してもらえたら。子守唄みたいに」という紹介から、「Love me tender」の貴重なカバーも聴かせてくれた。古今東西、この曲のカバーは多いと思うけれど、こんなに優しいカバーは初めて聴いた。オーディエンスもリラックスした表情になっていく。「永遠の詩」の前には「結構歌詞で、永遠とか歌ってんだけどさ、永遠がわかんないからさ」と言いかけると、客席から「わかりません!」と声が飛び、「だよね。だから歌うの」と返すChara。そして、ステージの前の席にいた男の子を見て、「これから恋するんだよ、君も」とニコニコ笑う。いつの間にか、ラグジュアリーというよりは、アットホームな場所になっていた。まるで、Charaのお家にお邪魔したかのようだ。

　一語一句丁寧に歌われた「タイムマシーン」、泣きそうなほど穏やかな時間が流れた「ミルク」と名曲が続く。ここでは特に生楽器と歌声の響きも気持ちよく、この会場ならではの醍醐味を堪能できた。。しかし、その後にムードをガラッとひっくり返す「あたしなんで抱きしめたいんだろう?」を繋げてしまうあたりも、さすがCharaだ。オーディエンスの手に触れたりしながらファンキーに歌い上げると、大音量のハンドクラップとコール&レスポンスで会場が埋め尽くされていく。その様子にCharaは「みんな今日は多分、私を愛してくれているのよね?　さっき、モテないなーとか呟いちゃったけど、モテてるじゃん!」と笑顔。何て茶目っ気たっぷりでキュートなんだろう!　
終盤は、キーボードを弾きながら歌った「蝶々結び」、「今日は日本が良くなるように、この歌をうたいます」という言葉から「やさしい気持ち」と続け、ラストナンバーは「プラネット」。ニューアルバム『Cocoon』の収録曲の中でも、今の彼女の歌声にしっくりくるなあ……としみじみ聴き入っていると、歌い終えてサーッとステージを降りていった。

　アンコールを求める声が高まる中、ステージのバックの黒幕がスルスルと開いていく。すると、六本木の夜景が一面に!　フワーッとした気分になっていると、再び現れたCharaが「お月さま見えないですねえ……いるんです(笑)」と一言。彼女らしいリアクションにほっこりした。そして「ヒット曲を歌います」と言うと、想像がついた客席がざわめきだす。「最近、歌うのが好きになってきました」という言葉の奥に見えた、彼女の歩みと正直な人柄に、ますます魅力的だと思わずにはいられなくなった。はじまったのは、もちろん「Swallowtail Butterfly ?あいのうた?」。あの頃よりも、深く切実に染み入る歌。真の名曲とは、こういうものを言うのかもしれない。最後は、客席も明るく照らされた中、ハンドクラップに包まれて、パーティの余韻をたっぷりと残した終演となった。ひと足早くクリスマスプレゼントを開けたような、素晴らしい夜だった!

【取材・文：高橋美穂】