音楽とCharaと私たちとの大きな繋がりを感じ続けさせてくれたツアーファイナル
Chara | 2013.04.25
アルバム『Cocoon』を携えて3月から行われた全国ツアーの最終日、渋谷公会堂。たくさんの飾りを編み込んだ髪と、腰の部分に付いたファーを尻尾のように揺らしながら、セクシー&クールに登場したCharaは「DADAAAN」を歌うと「ドキドキしちゃ?う!どうしよ?!!」と言い、続けて「オルタナ・ガールフレンド」で、電流が体にビリビリと走るような新しいモードのCharaを見せていく。アルバム『Cocoon』の1曲目である「18」も、甘くてふんわりとしたソウルフルなナンバーでありながら、心を強く刺激してくるほど訴えかけてくる。ギターの名越由貴夫や、ドラムの白根賢一、ベースのCurly Giraffeら6人のミュージシャンたちに半円状に囲まれたステージで、今の自分と、新たに描いた音楽を、伸び伸びと表現しているCharaがいた。
チケットはソールドアウトしており、満員の会場には子供連れの女性客も多く、可愛らしい声援が届くとCharaも「1年生になったの??ランドセルの色、何色?」と話しかけ、時に「お腹すいてない?大丈夫?」と優しい母性も覗かせる。そして、その優しさは音楽になって、ここにいる全ての、Charaの音楽を求めてやってきた人たちへと注がれているように感じた。
「あのね、新曲を歌っちゃうの」と、中盤では6月5日にリリースされるシングル曲「hug」を披露。ゆったりとしたメロディに恋する気持ちがふわっと広がるようなナンバーにうっとりした後は、「次は懐かしい曲を歌うコーナーです」と「光と私」へ。ライヴでもこれまで1度しか披露されたことがないという名曲にイントロから大きな歓声が沸く。温かみのあるビートとホーンでキュートに始まっていくものの、サビにおける《わけを、わけを 認めない》という魔法のフレーズで、Charaも観客も一丸となって大きなグルーヴを生み出してしまう。この曲は1999年にリリースされた『STRANGE FRUITS』というアルバムに収録されているのだが、女子にしか分かり得ない憤りやもどかしさや虚しさ、やるせなさのカタマリをこのフレーズで言い表しているような、すごい曲なのである。その勢いのままダブにアレンジされた「Junior Sweet」へ突入すると、自由奔放に歌い、シャウトしてはステージに寝転んだりして、自らを解放していくCharaの姿にオーディエンスも心を柔らかく解放していく、最高の時間が流れた。そして大きな赤いスカーフを背中にかけてクルクルと踊りながら始まった「やさしい気持ち」ではキラキラのテープが会場を舞い、胸いっぱいのハイライトに。「なかなかこんないっぱいの人と遊ぶことないから、楽しいねえ」などとCharaもその都度、素直な気持ちを言葉にしていく。
アルバム『Cocoon』の楽曲を中心にしながらも中盤のメドレーでは「愛の自爆装置」や「Tiny Tiny Tiny」「しましまのバンビ」「ミルク」といった、昔からのファンの期待に添う曲たちもたくさん盛り込んであるのもこのツアーの見どころ。特にこの日は、曲を作った当時の思いなども語りながら「この曲を作った時の人、もういなくなっちゃったんだけどー、でもいいの」とか、アンコールでアルバム『Cocoon』の中でもとびきりハッピーでキュートな「Waiting for You」を歌う前に「私、5月から運が良いって聞いてたんだけど、こないだ新月にお願いしちゃったから早く来ちゃったかもしんないねー!」なんて、ご機嫌なモードを露わに。いつだってその時のテンションをスピリチュアルに音楽にして放ってきたCharaなだけに、観ていて今の彼女の幸せ感が底はかとなく伝わってきた。そんなことも全部含めてCharaの音楽に集約されていく、そのリアリティが彼女の音楽に触れる醍醐味であり、同じ女性としてずっと追いかけていたいと思わせてくれるところなのだ。
いよいよ本編ラストの曲になり、「終わろうとしています……来てくれてありがとう。本当にありがとう。みんなが来てくれないと、進化できないからCharaは」と言い、「最後に1曲、歌っていいですか」とギターを抱えてラストの「Cocoon」へ。甘く透明な愛の糸にぐるぐると包まれるみたいなラスト。ゆったりと濃い極上のサウンドが、曲の後半で大きなダイナミズムを生み出した瞬間、音楽に抱きしめられたような感覚になった。
そしてアンコールでは花束を持って愛娘が登場するという、ツアー・ファイナルならではのサプライズも。最後の「世界」ではアコースティックなムードで温もりに満ちたメッセージがエネルギッシュな光となって届き、終わるとタンバリンを持ったCharaを先頭に「あたしなんで抱きしめたいんだろう?」を演奏しながら他のメンバー全員と列をなして客席を歩いて一周し、再びステージへ戻って去っていくという素敵な演出も。音楽とCharaと私たちとの、その大きな繋がりを感じ続けさせてくれた、素晴らしいライヴだった。
【取材・文:上野三樹】
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リリース情報
セットリスト
Chara Live Tour2013 "Cocoon"
2013.4.13.@.渋谷公会堂
- DADAAAN
- オルタナ・ガールフレンド
- 18
- プラネット
- 糸し糸しと言う心
- 蝶々結び
- 特に
- hug
- 光と私
- Junior Sweet
- やさしい気持ち
- メドレー(愛の自爆装置 / Tiny Tiny Tiny / しましまのバンビ / ミルク / Violet Blue)
- Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
- 甘えてよ
- タイムマシーン
- o-ri-on
- 木枯らしと歌う
- Lita
- Cocoon
- Waiting for You
- 世界
お知らせ
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~そこに素晴らしき音楽があった~
2013/04/28(日)日比谷野外大音楽堂
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2013/04/29(祝)恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール(屋内)
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2013/05/06(祝)東京 Mt. RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
Who Was In My Mirror ?
2013/07/11(木)渋谷O-EAST
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。