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人間力に満ちていた、ナオト・インティライミのアリーナツアーの初日をレポート!!

ナオト・インティライミ | 2013.01.08

 何とも長いタイトルのツアー『ナオト・インティライミ アリーナツアー2012 ~ツアーって言っても横浜と大阪の2ヶ所だけだけど…。背伸びしたってええじゃないか!師走にお祭りしたってええじゃないか!~』を行ったナオト・インティライミ。2012年は、4月にリリースしたアルバム『風歌キャラバン』を掲げた初のホールツアーで各地を巡り、オーディエンスに元気と笑顔を振りまいてきた。その彼がにぎやかな年末シーズンに、タイトル通りの楽しいお祭りライブを敢行。会場に入ると、円形ステージの後ろにも客席があり、そこもビッシリと観客で埋め尽くされている。その円形ステージ、よくよく見ると、彼のホームページなどでおなじみのキャラクター「カーター君」(以下 : カーター)の姿にかたどられているではないか。丸い体から伸びる短めの足は、花道になっている。

 開演前、ステージは筒状のビジョンに覆われていたが、ライブ開始直前、そのビジョンにカーターの姿が現れ、“みなさんこの生き物ご存知でしょうか?――名前は「地球歩きのカーター」です”という説明のテロップが流れる。客電が落ちると、この日のストーリーが文字で説明されていく。カーター星の王位が弟に譲られ、不満に思った兄のカタヤンがナオト誘拐を計画。そして、それを阻止するために召使いカーターが観客に「ナオトを呼びましょう!」と呼びかける。すると、「ナオト! ナオト! イカしてる!」など、ナオトの心をくすぐる大声援が! 次第にテンションを上げていくナオトの映像も映され、手拍子も起こり、観客のボルテージも上がったところで、筒状のビジョンが上にあがり、ステージ上には8人のダンサーを引き連れたナオトが登場。アップテンポなダンスチューン「Adventure」、続く「Yeah!」もエレクトロなダンスナンバーで、冒頭からアガる選曲だ。ギターを弾きながら爽やかに歌うイメージのあるナオトだが、実はこういったクラブサウンドも大好物のようだ。3曲目の「Hello」が終わったタイミングで、再び召使いカーターが現れ、ナオトとのやりとりが繰り広げられる。どうやら観客はカタヤンに洗脳されてしまっているという設定らしい。みんなを救うためにはナオトの歌が必要なのだ……と。このあとも、カーター王がスクリーンに登場したり、カタヤンがナオトにクイズを出すなど、エンタメ要素満載の構成で進むが、演奏される楽曲は、どれもおなじみのナンバーばかり。ライブで威力を発揮するダンサブルな「テキナビート」をはじめ、「Brave」「君に逢いたかった」「愛してた」「今のキミを忘れない」など、優しいメロディを持ったシングルナンバーがセレクトされ、ナオト・インティライミ初心者でも存分に堪能できる内容に。この潔いセットリスト には“お客さんには絶対に楽しんでもらいたい!”というナオト自身の心意気を感じる。後半は彼のライブには欠かせないタオルが大活躍する楽曲がズラリ。「マワセマワセ」「WA WA WA」など、客席ではカラフルなタオルがグルグル回転。まさにフェス気分の盛り上がりとなった。「おまかせピーターパン」、そして「カーニバる?」での盛り上がりは最高潮で、ナオトは自らステージを降り、アリーナの通路を駆け抜けるフットワークのよさ。そして……ついにカーター星に平和が訪れたとのアナウンスが。

「仲間っていいよね。でも、便利になっていくと、人と人の繋がりが薄くなる気がする。携帯、Facebook、Twitter、インターネット……便利だけど、どこか間接的。でも、こうやってライブで直接、同じ空間でつながるのが、何より楽しくて。上っ面じゃなくて、根の部分でつながるのが大事なんじゃないかと思います」  カーターくんに絡めながら、彼自身が伝えたかった本音はここにあったのか……と実感。本編ラストは「Rising Sun」で、場内からは合唱も起こり、暖かい空気に包まれていく。
 このあと、ステージには再び筒状のスクリーンが降りるのだが、そこには楽しそうなカーター一家が映し出されていた。

 続いてアンコールとなるのだが、“アンコール!”のコールが始まったばかりのタイミングで、即ナオトが登場。「アンコールなんて待たせないゼ! やっとフツーにしゃべれるわ!!(笑)」と笑いを誘う。そして、紅白歌合戦初出場の報告と、「2013年、本格始動させていただきます!」と宣言。それは、彼らしく旅をする様を収録したドキュメンタリー(段取り一切ナシとか)が映画化されるというニュースだった。観客からの歓声が響く中、アンコール1曲目はおなじみのシングル曲「ナイテタッテ」。会場は再びノリのいい空間に。ラストナンバーを迎える前、ふと見るとステージにはなぜかお笑い芸人「とろサーモン」の2人が……。実は、召使いカーターやカタヤンの声を、録音ではなく生で吹き替えしてくれたのがとろサーモンの2人だったのだ。絶妙なトークは、彼らのヘルプのたまものだった。そして、ラストナンバーは「しあわせになるために」。聴く人の幸せを願って歌われる優しいナンバーだ。
 これで全行程は終了するが、コンセプトに沿った内容ながら、最終的にはナオトの人間力に、まんまと惹き込まれるステージだった。人との出会いや音楽が共通言語になる楽しさ……そんな温かみの強さを存分に味わえたように感じる。ナオト・インティライミには、そんな不思議な魅力があるのだ。

【取材・文:海江敦士】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル ナオト・インティライミ

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リリース情報

しあわせになるために(初回盤)

しあわせになるために(初回盤)

2012年11月28日

ユニバーサル シグマ

ディスク:1
1. しあわせになるために
2. 君に逢いたかった -Acoustic ver.-
3. しあわせになるために (KARAOKE)
ディスク:2
1. しあわせになるために (MUSIC VIDEO)
2. しあわせになるために (MAKING VIDEO)

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セットリスト

「アリーナツアー2012 ~ツアーって言っても横浜と大阪の2ヶ所だけだけど…。背伸びしたってええじゃないか!師走にお祭りしたってええじゃないか!~」
2012.12.6@横浜アリーナ

  1. Adventure
  2. Yeah!
  3. Hello
  4. dreammaker
  5. テキナビート
  6. Let me・・・
  7. 星の住人
  8. Brave
  9. 君に逢いたかった
  10. 愛してた
  11. タカラモノ~この声がなくなるまで~
  12. 今のキミを忘れない
  13. マワセマワセ
  14. WA WA WA
  15. おまかせピーターパン
  16. カーニバる?
  17. Rising sun
  18. ENCORE
    1. ナイテタッテ
    2. しあわせになるために

お知らせ

■ライブ情報

ナオト・インティライミLIVEキャラバン2013
2013/05/25(土)三郷市文化会館大ホール
2013/05/28(火)神奈川県民ホール大ホール
2013/05/31(金)三重県文化会館大ホール
2013/06/01(土)静岡市民文化会館大ホール
2013/06/04(火)ニトリ文化ホール
2013/06/07(金)盛岡市民文化ホール大ホール
2013/06/12(水)NHKホール
2013/06/13(木)大宮ソニックシティ大ホール
2013/06/20(木)サンポートホール高松
2013/06/22(土)広島上野学園ホール
2013/06/23(日)広島上野学園ホール
2013/06/28(金)まつもと市民芸術館
2013/06/30(日)新潟県民会館大ホール
2013/07/02(火)郡山市民文化センター大ホール
2013/07/04(木)仙台サンプラザホール
2013/07/06(土)なら100年会館大ホール
2013/07/7(日)滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
2013/07/19(金)長崎ブリックホール
2013/07/21(日)大分・iichikoグランシアタ
2013/07/24(水)和歌山市民会館大ホール
2013/07/26(金)鳴門市文化会館
2013/07/28(日)島根県民会館
2013/08/02(金)神戸国際会館こくさいホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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