RADWIMPS、恐るべきポテンシャルの高さを見せつけた横浜アリーナ公演!
RADWIMPS | 2014.03.20
「幸せになれよ!」
この日。野田洋次郎は何度もそう叫んだ。
いつから彼らは、そんな風に想うようになったのだろう?
たぶん。きっと。野田洋次郎と桑原彰が出逢い、この横浜の地で開かれた同じ大会に出場した山口智史と武田祐介と出逢って、一緒に音を放つようになった頃は、自分たちの音で人を幸せにしようとは想っていなかっただろう。彼らはきっとその頃、そんなことを想う余裕もないほどに、音楽が好きという気持ちだけで音楽をやっていたに違いない。
如何なるときも音と真摯に向き合い、“音源だから出来ること”と割り切ることをせず、CDとなって届けられた“そこ”にある音の形を、見事にライヴで再現してみせる彼らは、不可能を可能にしてしまうほど、音楽が好きでたまらない奴らだと思う。そんな彼らの音を聴いていると、彼らこそ間違いなく本物の音楽人だと思う。緻密に計算されて構築された音楽だが、そこに余計な計算はない。こんなにも音楽が好きだという感情が、彼らの音からはダイレクトに伝わってくる。
だからこそ、聴き手は自然とその音に惹かれ、その音に乗せられた赤裸裸なまでの言葉に胸を打たれ、そして、救われるのだ。
たぶん。きっと。そんなオーディエンスの真っ直ぐな想いを受け、彼らはいつしか、自分たちの音で、自分たちの音を求めてくれる彼ら(オーディエンス)を“幸せにしたい”と思うようになったのではないだろうか。
3月8日。彼らは約1年ぶりに横浜アリーナに戻って来た。そして彼らは、この日もまた、“ここは俺たちにとって思い出の地だから”と言うと、“ここに立つといつも同じことを話すよね”と言って4人で笑った。4人はきっと、ここに立つ度に出逢ったときのことを鮮明に思い出し、原点に立ち返るのだろう。それもあってか、横浜の地でのライヴは、他の場所でのライヴよりも、4人がノビノビとしたライヴを魅せてくれるように思うのだ。
まさに。この日もそうだった。
取材に入ったこの日は、2月5日の群馬を皮切りにスタートさせた『RADWIMPS GRAND PRIX 2014 実況生中継』の『会心の一撃編』のちょうど中盤あたりであった横浜アリーナの1日目。スタートから12本目とあって、すっかりライヴが体に馴染んでいる様子を伺わせた。
横浜アリーナという広い会場を味方に付けた壮大なオープニングでライヴをスタートさせると、彼らは1曲目から容赦なく見事なまでのRADWIMPSの音をぶつけてきた。待ってましたと言わんばかりに、オーディエンスはその音に歓喜の声をぶつけていく。最高の瞬間である。
「ヤバいなヤバいな、この感じ! すっごい見えてるよ! どこまでも高いところまで行きましょう!」
いつもの如く、野田は無邪気に込み上げる感情を素直に言葉にして吐き出した。そんな野田の無邪気さも、聴き手を自然に幸せへと導いているのである。
“1、2!”の掛け声から、マイナーなギターフレーズへと繋がれた「DARMA GRAND PRIX」。レーザーが交差する中で、強く弾かれるベース音に掻きむしられるように奏でられるギターが重なり、その曲の体温は後半に行くにつれ上がっていった。
柔らかなピアノの音がとても印象的だった「Tummy」。ゆったりとしたリズムに合わせて自然発生した客席からのクラップは、4人が放つ音と美しく重なりあい、その音は最高の景色を描いた。
学校の音楽室を思いださせる楽器たちを、さりげなくバンドサウンドに迎え入れ、最高のRADWIMPSの景色にしてしまう彼らは、やっぱりすごい。その場で打込んだ同期をループさせ、オーディエンスの目の前で音を構成していった「パーフェクトベイビー」なんてのは、失敗を恐れていたり、本当にスキルが無ければなし得ないことである。ここでは納得いかずにやり直すシーンもあったが、これこそもRADWIMPS。すべてが生であること。不可能はないということの証明でもあるのだ。そんな生粋の音楽人である彼らの精神に、オーディエンスは称讃の声を上げたのだった。
そして。神と仏がバトルするという、野田の哲学と圧巻の演奏力と歌唱力を見せつけた「実況中継」も、RADWIMPSの絶対的個性。こんなにもテクニカルなことを、軽々とやってのけるあたりも、やっぱりすごいことである。
そしてこの日、彼らは本編のラストに用意されていた曲を届ける前に1人1人マイクを取り、“最高に幸せです”と口々に告げたのだった。
彼らは今。自分たちが幸せであるからこそ、自分たちを幸せにしてくれたみんなを幸せにしたいと強く願うのかもしれない――。
このツアーは、4月2日の青森を最終日として『 会心の一撃編』が締めくくられ、3日後の4月5日からは、韓国、台湾、香港、シンガポールでの海外公演を含む『パーフェクトドリーマーズ編』をスタートさせる。
7月20日に沖縄の地で、約半年に及ぶこのツアーが幕を下ろす時、彼らは今よりも多くの人たちを幸せに導くバンドになっていることだろう。たぶん。きっと。
【取材・文:武市尚子】
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RADWIMPS
リリース情報
お知らせ
RADWIMPS GRAND PRIX 2014 実況生中継 会心の一撃編
2014/03/20(木)大阪城ホール
2014/03/21(金)大阪城ホール
2014/03/26(水)水戸LIGHT HOUSE
2014/03/29(土)宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ
2014/03/30(日)宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ
2014/04/02(水)青森Quarter
RADWIMPS GRAND PRIX 2014 実況生中継 パーフェクトドリーマーズ編
2014/04/05(土)北海道立総合体育センター 北海きたえーる
2014/04/09(水)米子コンベンションセンターBiG SHiP
2014/04/12(土)マリンメッセ福岡
2014/04/13(日)マリンメッセ福岡
2014/04/19(土)広島グリーンアリーナ
2014/04/20(日)広島グリーンアリーナ
2014/04/26(土)さいたまスーパーアリーナ
2014/04/27(日)さいたまスーパーアリーナ
2014/05/06(火)朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
2014/05/10(土)静岡エコパアリーナ
2014/05/11(日)静岡エコパアリーナ
2014/05/24(土)韓国 Yes24 MUV Hall
2014/05/31(土)台湾 Legacy Taipeo
2014/06/02(月)香港 Music Zone @ E-Max
2014/06/07(土)シンガポール TAB
2014/06/14(土)和歌山ビッグホエール
2014/06/21(土)CONVEX岡山
2014/06/28(土)神戸ワールド記念ホール
2014/06/29(日)神戸ワールド記念ホール
2014/07/08(火)Zepp Tokyo
2014/07/09(水)Zepp Tokyo
2014/07/19(土)沖縄コンベンションセンター展示棟
2014/07/20(日)沖縄コンベンションセンター展示棟
※詳細、その他のライブ情報は、オフィシャルサイトをご覧ください。