『パスピエ presents 印象C』。熱いステージの模様をレポート!
パスピエ | 2014.05.12
パスピエによる自主企画イベント第3弾『印象C』。名古屋公演は髭とDJ MURANAO、大阪公演はクラムボンとDJ Seihoを迎えて行われた。東京でのファイナル公演のゲストは、9mm Parabellum BulletとDJ Fragment。どのような空間が生まれたのか?
DJ Fragmentのプレイがフロアを温めた後、まずは9mm Parabellum Bulletのライブ。菅原卓郎(Vo & G)、滝 善充(G)、中村和彦(B)、かみじょうちひろ(Dr)がステージに登場すると、待ちわびた観客たちが一斉に前へと押し寄せた。そしてスタートしたのは「Cold Edge」。爆音、ヘヴィなビート、ドラマチックなメロディが一体となって迸り、みるみる内に人々を興奮の渦へと巻き込む。「The Lightning」「Black Market Blues」「Answer And Answer」も連発され、会場内は凄まじい熱気で包まれていった。
「改めまして今晩は。9mm Parabellum Bulletです。以後、お見知りおきを。なぜここにいるかと言うと、かみじょうくんはパスピエが好きで好きで。コンタクトをとったところ、ライブに誘ってもらうことになったんです。かみじょうくんは好き過ぎて“俺がパスピエじゃないか?”と言っていました(笑)」、菅原が出演の経緯を語り、再び演奏へ。山本リンダのカバー「どうにもとまらない」が観客を激しく飛び跳ねさせ、大合唱も巻き起こす。さらには「Wanderland」と「黒い森の旅人」も披露され、フロアで踊る誰も彼もがすっかり汗だくとなっていた。
初のベストアルバムを結成10周年となる今年7月にリリースすることを告知した後、1stアルバムの収録曲「砂の惑星」を披露。レアなナンバーが突然飛び出し、観客はどよめく。続いて、「キャンドルの灯を」が濃厚なグルーヴ、哀愁たっぷりのメロディを鮮やかに際立たせる。そして「ハートに火をつけて」を皮切りに、怒涛のクライマックスへと突入していった。「Discommunication」「The Revolutionary」「新しい光」……曲が演奏される毎に観客は勿論、ステージ上の4人もますます激しく身体を震わせて興奮を露わにする。「Punishment」が幕切れを迎え、メンバーがステージから去った後も、何とも言えない余韻が会場中に漂っていた。
大歓声に迎えられたパスピエのメンバーたち。成田ハネダ(Key)、 三澤勝洸(G)、露崎義邦(B)、やおたくや(Dr)は、素早く各自のポジションでスタンバイ。薄暗いステージ上で大胡田なつき(Vo)の衣装の蛍光色の模様が仄かに光を放つ。そして、ドラムのカウントと共にスタートしたのは「はいからさん」。軽やかに躍動する鍵盤の旋律に刺激され、フロア全体が一気にエネルギッシュなダンスで揺れ始める。長い黒髪を揺らしながら歌声を響かせる大胡田の存在感がすごい。続いて披露された「フィーバー」と「とおりゃんせ」も、観客の激しいクラップ、ダンス、歓声を目一杯に誘っていた。
「楽しんでますか? 『印象C』は今日が最後。みなさんとライブができるのが嬉しいです。楽しんでいきましょう! 次、新曲をやります」、大胡田が挨拶をして「MATATABISTEP」。音圧の強いシンセサイザー、骨太なビート、ベースのスラッピングが一体となり、フロアで踊る人々を包み込む。続いて、これも新曲「万華鏡」。成田によるダイナミックな鍵盤ソロも冴え渡り、観客は大喜びしながら身体を揺らし続けた。そんな熱気に次ぐ熱気を爽やかに一転させたのが、瑞々しいメロディを響かせた「気象予報士の憂鬱」。さらには「夕焼けは命の海」も披露。郷愁を誘うメロディ、神々しい音像が交互に現れ、幻想的なムードをじっくりと醸し出していた。
「さっきやった「夕焼けは命の海」、好きだけどライブでなかなか出来ないんです。やれてよかった。では、この前出した両A面シングルのもう1曲をやります」、大胡田が曲紹介をして「あの青と青と青」。天高く何処までも広がるようなメロディが胸に沁みる。美しいサウンドを響かせるメンバーたちの姿に、観客はすっかり釘付けとなっていた。電気グルーヴのカバー「Shangri-La」。叙情的なメロディと熱い躍動感を絶妙に融合させ、人々の力強い手拍子を誘った「ワールドエンド」。凄まじいタテノリのダンスがフロアをグラグラ揺さぶり、大胡田がマイクを向けると大合唱も湧き起った「チャイナタウン」。そして、各プレイヤーがスリリングなフレーズを連発した「S.S」で本編は華々しく締め括られた。
アンコールを求める声に応えてステージに戻ってきたメンバーたち。まずはドラマーのやおが「9mmとDJ Fragmentが出てくれて最高の気分でした。9mmの卓郎さんに、かみじょうさんと仲いいって言われましたけど、仲いいです。お互いのドラムの椅子に座りっこしちゃいました!」と、微笑ましいエピソードを語る。「今日はファイナル。ソールドアウト、嬉しいです。実はAXが来月なくなるって知ってた? まだAXでやったことがなくて。今日できて嬉しいです。対バンの9mmは、『The World e.p.』から聴いてて。出演してもらえたこと、改めて感謝したいです。この自主企画イベントではカバーをやっているんですけど、今日、9mmがこの曲をやるんじゃないかとソワソワしていて……本編でやられちゃいました(笑)。大胡田が歌い上げます!」という成田のMCを経てスタートしたのは、9mm Parabellum Bulletのカバー「Cold Edge」。マイクを掴み、哀愁たっぷりのメロディを熱唱する大胡田。時折頭を激しく振りながら演奏に没頭する成田。ヘヴィなビートを刻み続けるやお。不敵にうねるベースラインを響かせる露崎。ダイナミックなギターソロをステージの最前線でプレイして喝采を浴びた三澤。普段とは少し趣きの異なるアグレッシヴな5人の姿が印象的であった。
「やりきったぞ!」、カバー曲を演奏し終えた達成感でいっぱいの成田。やおも「スティックを1回だけ回してやりましたよ!」と、はしゃぎつつ笑顔を輝かせる。まるでバンド少年のような無邪気な様子が微笑ましい。そして、ここで嬉しい発表が。「6月18日にアルバムを出します!」という成田の言葉を合図に、大胡田とやおが協力し合って広げた紙に毛筆で書かれていたタイトルは『幕の内ISM』。「あの文字は成田ハネダが書きました。見かけによらず繊細な文字(笑)」と大胡田。和気藹々としたやり取りを経て、ラストに披露されたのは「最終電車」。透明感に溢れるメロディが会場の隅々にまで広がっていく。観客はうっとりと耳を傾けながら身体を揺らす。温かい一体感を噛み締めたエンディングであった。
【取材・文:田中 大】
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リリース情報
幕の内ISM [初回限定盤]
2014年06月18日
ワーナーミュージック・ジャパン
1. YES/NO
2. トーキョーシティ・アンダーグラウンド
3. 七色の少年
4. あの青と青と青
5. ノルマンディー
6. 世紀末ガール
7. とおりゃんせ
8. MATATABISTEP
9. アジアン
10. 誰?
11. わすれもの
12. 瞑想
幕の外盤[DISC2]
*初回限定盤特典 DVD
パスピエ TOUR 2013 "印象・日の出外伝"
at AKASAKA BLITZ (2013.12.21)
1. OPENING ~ S.S
2. デモクラシークレット
3. トロイメライ
4. 名前のない鳥
5. とおりゃんせ
6. フィーバー
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リリース情報
MATATABISTEP / あの青と青と青【初回生産限定盤】
2014年03月26日
ワーナーミュージック・ジャパン
1. MATATABISTEP
2. あの青と青と青
3. 万華鏡
1. Shangri-La
[DISC 2]
1. S.S (2013.11.2 Live at LIQUIDROOM)
2. プラスティックガール (2013.11.2 Live at LIQUIDROOM)
3. デモクラシークレット (2013.11.2 Live at LIQUIDROOM)
4. 電波ジャック (2013.11.2 Live at LIQUIDROOM)
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お知らせ
「FM802 25th Anniversary 802GO! presents Rockin’Radio! -OSAKAJOH YAON-」supported by SPACE SHOWER TV
2014/05/11(日)大阪・大阪城音楽堂
SAKAE SP-RING 2014
2014/06/07(土)・8(日)愛知県・DIAMOND HALL/APOLLO BASE/CLUB QUATTRO 他
※出演日時・ステージは後日発表となります。
YATSUI FESTIVAL! 2014
2014/06/21(土)東京・TSUTAYA O-EAST/TSUTAYA O-WEST/TSUTAYA O-nest/TSUTAYA O-Crest/duo MUSIC EXCHANGE/7th FLOOR/club asia/VUENOS/Glad
※タイムテーブル、出演会場は後日発表となります。
トップス25周年「COAST PARTY 2014」
2014/08/19(火)大分県・T.O.P.S Bitts HALL &BRICK BLOCK
WILD BUNCH FEST. 2014
2014 /08/23(土)山口県・山口きらら博記念公園
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。