さかいゆう、豪華ゲスト陣と共に作り上げた初の渋谷公会堂
さかいゆう | 2014.06.30
最新アルバム『Coming Up Roses』を引っさげた全国ツアーにひと段落をつけて、スペシャルライブとして開催された、さかいゆう初の渋谷公会堂は、文字通りたくさんの“スペシャル”が巻き起こる特別な一夜だった。さかいゆうが様々なアーティストとのケミストリーを楽しみながら完成させた 『Coming Up Roses』というアルバムを再現するように、この日のライブでは続々とゲストアーティストとのコラボが実現していったのだ。
まず会場に入ると、ステージの左右には赤いカーテンが揺れ、背面のスクリーンは淡くブルーに光っていた。その中央には、弾き手の登場を待つキーボードが1台。開演時間を少し過ぎた頃、さかいゆうがステージに現れた。
1曲目「ストーリー」からライブはスタート。キーボードの前に座りながら、からだ全体を使ってピアノを叩くさかいのプレイに、会場の2,000人が総立ちになった。軽やかなリズムにのせて自然と手拍子が湧き起こる。サビのフレーズは、《はじめよう “渋谷”のストーリー》に変える遊びも嬉しい。続く、「僕たちの不確かな前途」では、コール&レスポンスを交えて、早くもお客さんとの距離を縮めていく。
MCでは、「憧れの渋谷公会堂でライブができるなんて、私は幸せものです!」と、さかい。この日のライブを迎えた喜びを語ると、会場からは祝福の拍手が贈られた。そして、「この曲を渋谷公会堂でやれるとは思いませんでした」と、「SHIBUYA NIGHT」。先ほどとは一変して、大人っぽいムードが漂う。曲の途中でさかいが、「俺の盟友、悪友……そして親友を紹介します」と言うと、ギターを背中に担いだ竹内朋康が登場。竹内が紡ぎだすラップとブルージーなギタープレイは、さかいの楽曲をワイルドに様変わりさせていた。
2人目に登場したのは、Emi Meyer。黒いワンピースに身を包んだ彼女がステージに現れると、会場からは驚嘆の声があがった。アメリカを拠点に活動をしている彼女だけに、とても貴重な共演だ。さかいが足踏みでカウントをとって、「Life is」がスタートすると、ふたりはしばしば目を合わせながら、美しいハーモニーを生み出していく。響き渡るシルキーボイスとエキゾチックボイス。まさにスペシャル公演と呼ぶにふさわしいサプライズ共演だった。
このあたりの楽曲では、最初に総立ちになったお客さんも着席して、ゆったりとさかいの歌に聴き入っていた。中盤のカバー曲コーナー。「心から大好きな伝説のシンガーです」と前置きをして披露したのは、昨年急逝した大瀧詠一の「指切り」だった。大胆にアレンジを変えてその曲を披露すると、そのまま、こちらもさかい曰く“ロンドン風”に原曲の装いを変えたスティービー・ワンダーの「Superstition」へ。次第に感情を昂ぶらせていくさかいは、時々、天井を仰ぎ見て、大きくからだをのけぞらせてピアノを弾いている。目の前で展開する混沌としたサウンドの世界観。それは“シルキーボイスさかいゆう”のポップなパブリックイメージとは違い、彼が非常に強いこだわりのもとで音楽と向き合うタイプのシンガー・ソングライターであることを、印象づけるパフォーマンスだった。
後半の最大の盛り上がりは、スペシャルゲスト 秦 基博の登場だ。同じ事務所の、“年下の先輩”と共に、アルバムからの楽曲「ピエロチック」を披露した。さかいのジャジーなピアノに合わせて、秦は珍しくハンドマイクで歌う。何度となく共演しているふたりだけに、さかいも少しリラックスした雰囲気。そして曲が終わり、がっちりと握手をかわし、秦が退場すると、最後の盛り上がりパートへ突入した。カラフルな照明でステージが彩られた「まなざし☆デイドリーム」を皮切りに、「サンバ☆エロティカ」「ケセラセLife」という楽しいラインナップ、今日ここに来た喜びを心から感じる瞬間だった。
そして、そんな会場の熱を宥めるように、ポロリポロリとピアノを弾きながら、さかいは次の曲への想いを語り始めた。「僕が音楽をはじめるきっかけとなった、高校の時の親友のために作った曲です。1998年3月、交通事故で亡くなった彼は、ミュージシャンを目指していました。彼の見た夢を見たくて、僕はミュージシャンになりました」。そう言って歌い始めた「君と僕の挽歌」は、さかいの想いが溢れた素晴らしい演奏だった。
アンコールでは、9月3日に新作EPをリリースすること、さらに秋からは全国ツアーを開催することを発表。なんと早くもEPの表題曲「サマー・アゲイン」が披露された。軽快なメロディで少しコミカルな印象も受ける、さかいゆうらしい1曲は、今後の彼のアンセムになりそうな予感。さかいのノリノリの演奏に、初聴きのはずのお客さんも自然と体を動かして応えていた。
そして、この日本当のラストナンバーには、アルバムでも最後に収録されていた「時季(とき)は巡る」。ピアノの音色と、さかいの歌とをシンプルな演奏で聴かせるナンバーで初の渋谷公会堂ライブは幕を閉じた。
さかいゆうは、11月に5周年アニバーサリー記念のスペシャルライブを、東京・大阪で開催することも決定している。
【取材・文:秦理絵】
リリース情報
リリース情報
Coming Up Roses【初回生産限定盤】[CD+DVD]
2014年01月15日
アリオラジャパン
1. She left
2. 薔薇とローズ
3. Life is feat. Emi Meyer
4. きみなんだ
5. EMERGENCY
6. オトコFACE feat. KREVA
7. 愛するケダモノ
8. キミのいない食卓
9. イバラの棘
10.ピエロチック feat. 秦 基博
11.僕たちの不確かな前途
12.時季(とき)は巡る
[DVD]
Sakai Yu Best of Clips
1.ストーリー
2.まなざし☆デイドリーム
3.train
4.Room
5.AHEAD
6.君と僕の挽歌
7.僕たちの不確かな前途
8.薔薇とローズ
9.ピエロチェック feat. 秦 基博(Shooting the Recording Session on 2013.8.19)
セットリスト
さかいゆう TOUR 2014
“Coming Up Roses” SPECIAL
2014.6.15@渋谷公会堂
- ストーリー
- 僕たちの不確かな前途
- SHIBUYA NIGHT with 竹内朋康
- EMERGENCY with 竹内朋康
- Life is with Emi Meyer
- きみなんだ
- キミのいない食卓
- 指切り
- Superstition
- 愛するケダモノ with TOKU
- ピエロチック with 秦 基博
- まなざし☆デイドリーム
- サンバ☆エロティカ
- ケセラセLife
- 薔薇とローズ
- 君と僕の挽歌
- サマー・アゲイン
- 時季は巡る
お知らせ
さかいゆう TOUR “ONLY YU” #4
2014/09/13(土)沖縄 桜坂劇場 ホールB
2014/09/20(土)宇都宮 悠日カフェ
2014/09/24(水)旭川 島田音楽堂
2014/09/29(月)浜松 窓枠
2014/09/30(火)松阪M’AXA
2014/10/02(木)滋賀U-STONE
2014/10/03(金)松山 キティホール
2014/10/05(日)熊本 CIB
2014/10/07(火)岡山 MO:GLA
2014/10/14(火)郡山 創空間 富や蔵
さかいゆう 5th Anniversary SPECIAL LIVE
2014/11/20(木)大阪シアター・ドラマシティ
2014/11/22(土)中野サンプラザホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。