ファンキー加藤、ソロ初の日本武道館公演2DAYSの1日目をレポート!
ファンキー加藤 | 2014.09.30
超満員の日本武道館。
暗転すると客席一面に1万個の光の花が咲いた。観客が腕に巻いているサイリウムのベルト。グリーンの光が揺れる光景に「うわあ、綺麗」という言葉が行き交う。ステージから流れてくるのはピアノの調べ。盟友・田中隼人氏が奏でる旋律がデビュー曲「My VOICE」を刻む。旋律が消えると、ダイナミックなハウストラックが大音量で響いた。ステージ前面を覆っていたツアーロゴ&マークがデザインされたLEDが、カラフルに発光する。シンボルマークの1本マイクもビカビカとエレクトしている。ゆっくり上がっていくツアーロゴ&マーク。トランシーなSEとの相乗効果で、こんなことをイメージさせた――ファンキー加藤、フライト!
「I LIVE YOU 2014」と刻まれたステージの床。ステージ中央から、彼がゆっくりとせり上がってくる。「I LIVE YOU 2014」の“YOU”の中から、ファンキー加藤が姿を現した。1本のマイクを右手に握りしめ、その手を天に突き出しながら。歓声とともに、サイリウムの花が激しく揺れる。1万人の興奮がステージに急降下していく。このエネルギーを受け止め、日本武道館を見上げるファンキー加藤。視線が少し険しい。大きく息を吸った次の瞬間こう絶叫した。
「いくぞー! 日本武道館!」
ファンキー加藤、初ワンマン。日本武道館2DAYS公演の1日目。9月19日、「 I LIVE YOU 2014」in 日本武道館は「リスタート」で幕を上げた。1曲目から大合唱になる1万人。巨大なスクリーンに映った加藤の口元がほころぶ。続いたのは「Good Show」。9月3日に発売されたファーストアルバム『ONE』の中でも、ライブでの期待度が抜群に高いパーティーチューンである。スクリーンには“ぐっしょぐしょ”という文字とともに、コミカルな映像が躍った。客席を見ながら歌う加藤の表情が、みるみる変わっていく。歌いながらちょっと笑い出しそうになる瞬間も。エンディング前のブレイクで、タイミングに合わせ大きくジャンプ。その跳躍は2階席から見ていても“すんげー”とびっくりするくらい高かった。3曲目が終わったところで、最初のMC。
「ライブハウス、武道館へようこそ!」と挨拶した後、「2014年最幸のライブをします」と宣言。最後はこう締めくくった。
「一生懸命歌いますんで、心のど真ん中で受け止めてください。いけるか、武道館! 一緒に歌ってくれよ!」と、セカンドシングル「輝け」へ。ブライトなスカビートが楽しい「まわせ!」では、観客と一緒にタオルを回す。1万人のヘリコプター(=観客がぐるぐるタオルを回す様子を指した言葉)が、日本武道館に風をおこした。
7曲目。ロマンチックなバラード「愛の言葉」を切なく歌い、最後に深々とお辞儀したファンキー加藤。その歌声と真摯な姿に一旦静まりかけた拍手が、ゆっくりと大きくなる。観客のぬくもりが感じられた。再びMC。サポートメンバー紹介をした後、ファンキー加藤は、今の自分の気持ちを正直に言葉にした。9月19日を待ち望んでいたこと、プレッシャーや不安もあったこと、いろいろな感情を持ちながらステージに上がったこと。そして笑顔でこう続けた。
「ライブが始まったら(その気持ちも)ふっとんだ。みんなの声が曲と曲のつなぎのようなものです。この1万人の1人が欠けても成立しないライブをやろう! アルバム『ONE』の中から、特に僕が大事にしている曲を歌わせていただきます」
「終わらない未来」。♪ さあ 頑張ろうぜ ♪ というワンフレーズに合わせて、ゴールドのメタルテープが放たれる。照明に反射し、輝きながらゆっくり落ちてくるテープに、観客が手を伸ばす。輝きを掴んだ観客が、今度はその輝きを振りながら、加藤と一緒に大合唱する。曲後半の“頑張ろうぜ”のリピート。ファンキー加藤は、歌の合間を使い、ぶんぶんと右手を振り回しガッツポーズを繰り返す。腕が風を切る音が、マイクを通して聞こえてくるほどのアクションだった。
FUNKY MONKEY BABYSの楽曲も、何曲か披露したこの日のライブ。「希望の唄」では、歌いながら加藤がステージに座り込んだ瞬間、観客の歌のボリュームがぐぃっとあがった。
ソロ初のバラードシングル「太陽」。ステージ中央の定位置で、しっかりと言葉を確かめるように歌うファンキー加藤。その足元には、ツアータイトルの一部、 “YOU”の文字があった。
加藤は、ファンモン時代から“応援してくれるみんなに支えられている、背中を押してもらっている”と公言してきた。ソロになってからも同様だ。否、その発言からはよりその想いが強くなったように感じられる。“YOU”の上に立って歌っている加藤は、前述した言葉をステージで体現しているようだった。YOU=あなたに支えられて、加藤は歌う。ステージ上に記された“YOU”という一文字に、加藤と彼を応援している人の関係性が見えた気がした。アップチューンでは、ステージ上を全力で走り回った加藤。どこに走り出しても、スタートラインは“YOU”で、戻ってきて乱れた息を整える場所も“YOU”だった。この日、YOUが彼のステージの真ん中にあったのは偶然だったのかもしれない。しかし、たくさんの偶然の出会いからファンとの関係を築き、人生の中の必然に育ててきた加藤のステージだからこそ、私はその様子に、意味を見出すことができたのだと思う。彼の歴史と今が、ひとつの単語に意味を与えた。それは、ファンキー加藤だからこそ、成立する意味だったと思った。
ライブは終盤へ。ストレートなアップチューン「CHANGE」「ちっぽけな勇気」と、力を振り絞りながら、観客と一緒にフライトしていくファンキー加藤。しゃがみこみ、すわり、身を投げだし、満員の観客を見上げ、また立ち上がる。
本編最後はソロデビューシングル「My VOICE」。ステージ前方に設置されたモニターに半分腰を掛け、前に倒れるような姿勢で歌声を放つ。自分の体を支える左手が、小刻みに震えている。声を出すたび、腹筋が震え、厚い胸板が大きく上下する。声が裏返る。シャウトが掠れる。額の汗が目に入る。それでも加藤は決して視線を落とさなかった。ずっと前を向き、観客を見据えながら歌っていた。全身全霊を使って、歌を届けようとしている。この姿に1万人の観客は、大合唱でレスポンスした。
時計は21時になろうとしていた。アンコール。金色のハッピを着て、お祭りチューン「太陽おどり ?新八王子音頭?」をぶち上げた後は、ソロシングルのカップリング曲「紫陽花」。ムード歌謡調のこの曲は、遊び心満点の異色ソングだが、この日、彼は、この遊び心を突き詰めてバージョンアップしてきた。「日本武道館の準備で時間が本当にない中、どうしても撮りたくて撮った」という、本人出演のオリジナルMVを歌に合わせて上映。80年代バブル期を思わせるスーツを着た加藤(しかもシャドーのメイクあり!)が映った瞬間、1万人の客席は大爆笑となった。
「悔いを残すなよ! 悲しみを全部、ここに置いていけ!」と、最後は「悲しみなんて笑い飛ばせ」。エンディングで、ステージ上に仰向けになった加藤が、ゆっくり起き上がる。思わず本音がもれた。
「初日、無事終わった~。1人のワンマン、怖かったから。いや、1人じゃねぇな! みんながいてくれた!」
客席のあちこちから「ありがとう!」の声が飛ぶ。
ファンキー加藤が答える。
「ありがとう。僕の人生のたった1回切りのファンキー加藤、初ワンマンライブ、一生忘れません!」
本人だけでなく、そこにいた1万人にとって、忘れられないライブになったのではなかろうか。観客の満たされた顔が、上気した頬が、汗が残る首筋が、少し湿った掌が……あの瞬間の1人1人のすべてが、その証拠だ。
2015年1月からは「ONE FOR HALL TOUR 2015」がスタートする。全国38カ所で全42公演を行う本ツアーは、本人も念願だった全国ツアーだ。
全国の“YOU”に、あなたの気持ちに、ファンキー加藤が、真っ直ぐ逢いに行く。
【取材・文:伊藤 亜希】
【撮影:笹原清明】
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リリース情報
お知らせ
ONE FOR HALL TOUR 2015
2015/01/24(土)【千葉】市川市文化会館 大ホール
2015/01/31(土)【山梨】コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
2015/02/06(金)【神奈川】神奈川県民ホール
2015/02/08(日)【栃木】宇都宮市文化会館
2015/02/13(金)【福岡】福岡サンパレスホール
2015/02/14(土)【鹿児島】宝山ホール(鹿児島県文化センター)
2015/02/21(土)【和歌山】和歌山県民文化会館
2015/02/22(日)【滋賀】滋賀県立芸術劇場(びわ湖ホール)
2015/02/28(土)【愛知】名古屋国際会議場センチュリーホール
2015/03/01(日)【愛知】名古屋国際会議場センチュリーホール
2015/03/07(土)【広島】広島市文化交流会館(広島文化学園HBGホール)
2015/03/08(日)【山口】周南市文化会館
2015/03/14(土)【埼玉】大宮ソニックシティ
2015/03/15(日)【埼玉】大宮ソニックシティ
2015/03/27(金)【香川】香川県県民ホール(アルファあなぶきホール)
2015/03/29(日)【高知】高知県立県民文化ホール・オレンジホール
2015/04/04(土)【大阪】大阪国際会議場(グランキューブ大阪)
2015/04/05(日)【大阪】大阪国際会議場 (グランキューブ大阪)
2015/04/11(土)【岩手】盛岡市民文化ホール 大ホール
2015/04/12(日)【秋田】秋田県民会館
2015/04/18(土)【奈良】なら100年会館
2015/04/20(月)【兵庫】神戸国際会館 こくさいホール
2015/04/25(土)【大分】iichikoグランシアタ
2015/04/26(日)【長崎】長崎ブリックホール
2015/04/29(水・祝)【熊本】市民会館崇城大学ホール
2015/05/04(月・祝)【北海道】ニトリ文化ホール
2015/05/06(水・祝)【北海道】函館市民会館
2015/05/09(土)【宮城】仙台サンプラザホール
2015/05/10(日)【福島】郡山市民文化センター 大ホール
2015/05/16(土)【新潟】新潟県民会館
2015/05/17(日)【長野】ホクト文化ホール
2015/05/23(土)【富山】富山オーバード・ホール
2015/05/24(日)【福井】福井フェニックスプラザ
2015/05/30(土)【徳島】鳴門市文化会館
2015/05/31(日)【愛媛】松山市民会館・大ホール
2015/06/06(土)【岐阜】長良川国際会議場
2015/06/07(日)【静岡】静岡市民文化会館大ホール
2015/06/13(土)【鳥取】米子コンベンションセンター(BIG SHIP)
2015/06/14(日)【岡山】岡山市民会館
2015/06/21(日)【沖縄】沖縄市民会館
2015/07/03(金)【東京】NHKホール
2015/07/04(土)【東京】NHKホール
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。