前へ

次へ

明日を生きるパワーをくれた、aikoの全国ツアー追加公演

aiko | 2014.11.19

 10月31日の横浜アリーナを皮切りに、3会場で6公演行われたaikoのライヴツアー「Love Like Pop vol.17.5」。全国ツアーの追加公演にあたる本ツアーのチケットは即日完売、2日目となる11月1日の横浜アリーナも、会場には白いザイロバンドを手首に装着したファンたちが、熱気いっぱいに開演の瞬間を待ちわびていた。

 オープニングでは正面のヴィジョンにaikoのライヴ映像と、今回のツアータイトルが映し出された。両肩に黒いファーが付いた衣装でaikoが登場すると、1曲目の「運命」を、長く伸びた髪を揺らして歌いながらステージの上を自由に動きまわる。客席のザイロバンドがカラフルに点滅し、大きな歓声の中、「be master of life」や「愛の病」などをノンストップで披露していく。会場の熱量をどんどん上げる、そのエネルギッシュな歌声とタフなパフォーマンスを序盤から見せつけ、「雨の中、来てくれてありがとうございます。でも、もっとぐしょぐしょにしてやるからな!」と、いつもの彼女らしい挨拶をしてくれた。

 ひとしきり会場が温まったところで「サイダー」や「キスの息」といった、最新アルバム『泡のような愛だった』からの楽曲も披露。グッとシリアスなムードで横浜アリーナ中の集中力を高め、更に新曲「ドライヤー」を届ける。ずっと使っていたドライヤーが壊れて、髪を乾かしながら考えた色んなことを書いたものだと彼女はMCで語ってから、この曲を歌った。初めて聴く人がほとんどだっただろうが、込められた想いに、観客それぞれの想いを巡らせるような大切なひととき。その後の「気付かれないように」は更にしっとりと、真っ直ぐに歌い上げられ、aikoが歌い終えた後奏部分ではステージ上のストリングス隊が青い光に包まれて浮かび上がるような演出が美しかった。やがて会場ひとりひとりのザイロバンドも青く色づき、うっとりするような一体感に包まれた。

 センターステージに移動した中盤では、キュートな青いドレス(下北沢の古着屋で購入したのだとか!)に着替えたaikoが、ロマンティックなアレンジが施された「恋のスーパーボール」や「ポニーテール」を歌い、再びメインステージに戻ると「染まる夢」と「舌打ち」におけるパワフルかつ攻撃的なムードで魅了する。観る者の心をひっかくような、そんな強い表現に心が揺さぶられた。

 ちょっとしたハプニングが起こったのは「相合傘」から、恒例の「男子!女子!」のコール&レスポンスでひとしきり盛り上がった後。「ボーイフレンド」のイントロで、あの象徴的なバンジョーの音色が機材トラブルで聞こえてこないまま曲が進んでいき、aikoが珍しくバンドのメンバーに「ちょっと待った?!」という感じで曲をストップさせたのだ。その理由も「みんなが何の曲かよくわからないまま進んでしまった」からで、いつもみんなに最高に楽しんでもらえるようにと考えているaikoならでは。そんなハプニングの最中にキラキラのテープも会場に舞ってしまっていたけれど、「何事もなかったかのように!」と笑いながら、もう一度「ボーイフレンド」をやり直し。今度はバッチリと奏でられたバンジョーのイントロが流れだした瞬間の、会場の誰もが心の底から笑顔だったであろう、あの盛り上がりは忘れられない。ハプニングさえも最高の思い出に変えてみせるエンターテイナー、それがaikoなのだ。

 そして「最後に新曲を歌わせてください。みんなに届きますように」と本編ラストには11月12日にリリースされるたシングル「あたしの向こう」を披露。アップテンポな中に描かれる、あなたとあたしのすれ違う切ない心情が鮮やかに伝わってくる印象的なナンバーだ。

 aikoのライヴは、心から笑える、心がほぐれる瞬間があるからこそ、誠実なメッセージもしっかりと伝わるんだと思う。「みんな明日からもがんばろうね」と、そして「今日は本当にありがとうございました」と、この日のアンコールのラストを「明日の歌」で締めくくった。アルバム『泡のような愛だった』の1曲目であるこの歌を、(既に3時間近く歌っているのに)まるでライヴの1曲目かのようなフレッシュかつパワフルな歌声で歌う様は圧巻。〈これはあなたの歌  好きなあなたの歌/誰かが鼻歌であの雲の向こうまで/笑い飛ばしてくれますように〉という、そんな願いが強く込められていた。「ちょっと早いですが、今年も1年ありがとうございました!」――aikoのマイクなしの生声が横浜アリーナに、最後の最後まで全力で響き渡った。

【取材・文:上野三樹】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル aiko

リリース情報

あたしの向こう(初回限定仕様)

あたしの向こう(初回限定仕様)

2014年11月12日

ポニーキャニオン

1. あたしの向こう
2. ドライヤー
3. ハレーション
4. あたしの向こう (instrumental)

<仕様>
初回限定仕様盤:カラートレイ&初回限定ブックレット

このアルバムを購入

この楽曲の着うたGET!!
この楽曲の着うたダウンロードページのURLをケータイメールに送信できます。

※ドメイン指定受信などの受信制限をされている方は『@emtg.jp』からのメールを受信許可にしておく必要があります。

セットリスト

aiko live tour「Love Like Pop vol.17.5」
2014.11.1@横浜アリーナ

  1. 運命
  2. be master of life
  3. 風招き
  4. 愛の病
  5. 花風
  6. サイダー
  7. キスの息
  8. ドライヤー
  9. 気付かれないように
  10. 恋のスーパーボール
  11. ポニーテール
  12. 大切な人
  13. キラキラ
  14. 染まる夢
  15. 舌打ち
  16. 相合傘
  17. ボーイフレンド
  18. Power of Love
  19. あたしの向こう
Encore
  1. シアワセ
  2. どろぼう
  3. 明日の歌

トップに戻る