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ファンキー加藤、全国44公演のホールツアー「ONE FOR HALL TOUR 2015」

ファンキー加藤 | 2015.07.21

 1月24日の千葉・市川市文化会館から始まり、全国を巡ってきた初のソロ・ワンマン・ツアーも最終章。ツアーファイナルとなる東京・NHKホール2DAYSの初日も、スタート前から会場内が賑やかだった。BGMが流れていたのだが、選曲をしたのはファンキー加藤。J-POPの名曲が次々鳴り響き、ウキウキしたムードが自ずと高まっていく。そして、学ランに身を包んだスタッフ2人のリードで行われる恒例の準備体操=『ファンキー応援団体操』を経て開演を迎えた。

 大音量のSEに合わせて観客が打ち鳴らした激しい手拍子。サポートメンバーの田中隼人(Key)、THE BEAT GARDENのMASATO(Cho)のシルエットが浮かび上がった後、紗幕が上がった。あらわになったステージで特効が炸裂して立ち込めたスモーク。その中からファンキー加藤が現れて腕を雄々しく掲げた。「行くぞ、東京!」と呼びかけ、1曲目「リスタート」へ。共に歌う観客の気合がものすごい。続いて「まわせ!」と「LIFE IS A PARTY」も連発され、NHKホールは只ならない興奮で包まれたのであった。

 オープニングの3曲の後、最初のインターバル。薄暗いステージ上で加藤が酸素吸入をしているらしい様子が見える。体力を懸命に回復させる彼を励ますように、観客の間から手拍子が起こり、「加藤さ~ん!」という声援が上がる。呼吸を整えた後、彼はマイクを手に取った。「ツアーファイナルへようこそ! 明日もあるけど、そんなことは頭の中に1ミリもありません! 行けるか渋谷? 一緒に歌ってください!」。そして、「輝け」がスタート。観客の大合唱がすさまじい。「会場にいらっしゃるお父さん、一緒に歌って!」と言って歌い始めた「ヒーロー」は、客席にいる子供を連れた父親の姿が時折スクリーンに映し出された。家族を支えるために働く父親たちを讃えるように響き渡る人々の歌声が温かい。続いて「僕らの詩」。こめられたメッセージが鮮やかに広がっていった。

「これはここにいる3600人、1人1人に届ける応援歌です」と言って披露した「つながるから」の後、再びMCタイム。「3階席! 2階席!」、各エリアに向かって順番に呼びかけつつも、ステージから一番近い1階席にはわざと呼びかけない……というファンにはお馴染みのツンデレ作戦、サポートメンバーの紹介を経て、ツアー中の事件をまとめたコーナーへ。マネージャーの案内で観光名所である異人館へとレンタル自転車で向かったら、怪しげな同名のお店だったという『神戸異人館事件』。MASATOが伊達政宗を「イタチマサムネ」、米子を「コメコ」と読んだという衝撃的な事実が晒された『MASATO・バカ疑惑』など、ユニークなエピソードの数々が大爆笑を誘っていた。そんな和やかなひと時を経て、二枚目に扮した本人出演によるカラオケ映像風VTRをバックに歌う「紫陽花」がスタート。金のモールでデコレートされた派手なスタンドマイクに向かい、色気を過剰に振りまきながら歌う加藤の姿が面白い。続いて「FLY」は、客席内に数個の大きなバルーンを投入。観客は跳ね回るバルーンにタッチしながら明るい歓声を上げていた。

「このツアーが始まる前にずっとリハをしていて。その時にみんなに直接伝えたいメッセージがこみ上げてきて、慌てて作った曲です」と言って歌い始めた「MUSIC MAGIC」。煌びやかなシンセサイザーの音色で彩られたサウンドに包まれながら、人々が無我夢中で踊る風景が神々しかった。そしてさらに「太陽」「あとひとつ」「希望の唄」……次々届けられる曲が感動の輪を広げていく。「もっとみんなの心のマイナスをプラスに変えてこう! もしも自分のことを好きになれないやつがいたら、この歌で変えてこうぜ!」という言葉を添えて披露した「CHANGE」は、力強い応援歌として真っ直ぐに迫って来た。全力で歌う加藤の顔は、遠目に見てもよく分かるくらいに紅潮していて汗だく。メッセージを伝えることに対する彼の並々ならない情熱を改めて感じた場面だった。

「俺1人じゃどうしても叶えられない夢がある。でも、ここにいる3600人と一緒なら叶えられる。それは世界一の応援歌を奏でること。3600人分の夢、未来、希望を支えられるような応援歌を歌いたいと思います。どうか力を貸してください!」と呼びかけて歌い始めた「ちっぽけな勇気」。この曲の時の観客による大合唱は、ひときわ熱かった。「前、後ろ、隣のやつも、お前の歌で応援してやれ!」、曲の途中で加藤が言っていたのが印象深い。「ちっぽけな勇気」という控えめなタイトルが掲げられているが、この歌を共に歌う周囲の仲間の存在は、あの場にいた1人1人にとって特大の勇気になったに違いない。そして、本編を締め括ったのは「My VOICE」。フラフラになりながらも熱唱を続けていた加藤。ふと歌うのをやめて観客の歌声を浴びた瞬間、心底嬉しそうな表情を浮かべていた。

 体力を使い果たしてバックステージで倒れている加藤の様子が映し出されたスクリーン。金髪美女にお色気たっぷりの言葉をかけられて復活……というユーモラスな映像を経て突入したアンコールの1曲目は「Good Show」。なんと加藤は1階の客席エリアに登場! ショルダーキーボードをプレイする田中、『ファンキーMILK』と書かれた巨大牛乳瓶を背負ったMASATOを率いて真っ白なスモークを噴射しながら歌いパレード。ステージに辿り着くとかなり疲れ切った様子で座り込んでいたが、盛り上がった会場の様子を見て非常に満足そうだ。そして、ツアーメンバーの2人とライブの感想を語り合った後、「ファイナルだから今までにやっていないことをしたいなと。みんな、スマホでこの光景を撮って。初めての写真タイムでございます」と呼びかけた。ステージへと向けられたたくさんのスマートフォン。観客を大喜びさせたサプライズ企画であった。

 アンコールの2曲目は「終わらない未来」。客席に向かって発射された大量のテープが金色に輝きながら舞い、「♪さあ 頑張ろうぜ」という歌声が清々しく響き渡った。そして、とうとう迫って来たエンディング。「まだまだ行けるよな? タオルを掲げろ! 音楽で1つになって、悲しみなんて!」と呼びかけた加藤に向かって、「笑い飛ばせ!」という声で応えた観客。スタートしたのはもちろん「悲しみなんて笑い飛ばせ」。激しいコールが起こり、キメどころのポイントでは、タオルが一斉に空中へと放たれる。歌い終わった時、観客の間から起こった割れんばかりの拍手。その華々しい響きに包まれながら加藤はサポートメンバーの田中、MASATO、ステージに招き入れられたTHE BEAT GARDENのREI、Uとハグを交わした。

「今日は全国から集まってくれてほんとにありがとうございました。めちゃくちゃ楽しくて、終わっちゃうのを誰よりも寂しく感じてるのが僕です。また会える機会を作ってライブをするので。必ずあなたの住む街へ行きますので。その時までファンキー加藤を温かく見守ってください!」、マイクを通さない生声で挨拶をして深々とお辞儀をした加藤。「太陽」が流れる中、手を振って去って行った彼を人々の大合唱が見送る。曲が終わった瞬間、会場全体で鳴り響いた感無量の拍手。爽やかな余韻と共に幕を閉じたライブだった。

【取材・文:田中 大】
【撮影:笹原清明】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル ファンキー加藤

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リリース情報

[DVD]I LIVE YOU 2014 in 日本武道館

[DVD]I LIVE YOU 2014 in 日本武道館

2015年02月04日

ドリーミュージック

収録内容:
01 リスタート/02 Good Show/03 ナツミ/04 輝け/05 まわせ!/06 もっと勉強しておけばよかった/07 愛の言葉/08 終わらない未来/09 FLY/10 希望の唄/11 僕らの詩/12 太陽/13 あとひとつ/14 CHANGE/15 ちっぽけな勇気/16 My VOICE/【ENCORE】17 太陽おどり/18 紫陽花/19 ヒーロー/20 悲しみなんて笑い飛ばせ

[特典映像]
★スペシャル・オフショット
★「紫陽花」VIDEO CLIP

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セットリスト

ONE FOR HALL TOUR 2015
2015.7.3@東京・NHKホール

  1. リスタート
  2. まわせ!
  3. LIFE IS A PARTY
  4. 輝け
  5. ヒーロー
  6. 僕らの詩
  7. つながるから
  8. 紫陽花
  9. FLY
  10. MUSIC MAGIC
  11. 太陽
  12. あとひとつ
  13. 希望の唄
  14. CHANGE
  15. ちっぽけな勇気
  16. My VOICE
<アンコール>
  1. Good Show
  2. 終わらない未来
  3. 悲しみなんて笑い飛ばせ

お知らせ

■ライブ情報

I LIVE YOU 2015 in 大阪城ホール
2015/07/19(日)大阪城ホール
2015/07/20(月祝)大阪城ホール

ZIP!夏まつり
2015/08/07(金)横浜・赤レンガパーク

お台場夢大陸 めざましライブ
2015/08/09(日)お台場夢大陸オマツリランド内 夢大陸 SUMMER GATE スタジアム

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。


◆オフィシャルファンクラブ
「ファンキー号」

URL:http://fc.funkykato.com/
◆オフィシャル
モバイル&スマートフォンサイト

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URL:http://m.funkykato.com/

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