レビュー
miwa | 2011.02.23
この楽曲を聴き、"待ってました!""これだよ、これ!"なんて思う方も多いんじゃないかな。やはり彼女の歌にはキュンとなる部分と、それを打ち破るような開放感あるメロディや歌い方がぴったりだと思う。
miwaの5枚目のニューシングル「春になったら」の話だ。
現在20歳、現役大学生の彼女。これまでリリースしてきた4枚のシングルは、全て凛としたアコースティックギターの似合う、清涼感溢れる歌が中心であった。そして、今回のニューシングルのテーマは、タイトルにも表れているように「春」。来るべく、そのシーズンを多分に感じさせる今作は、まさにあの春ならではの解放感と、飛び出したくなり、何かを始めたくさせるナンバー。とは言え、この歌の内容は、「春になったら遊びに行こう」と、想いを寄せる人に言われ、それを今か今かと待ちわびている心境を、キュンとした歌声で描いたもの。清涼感のあるアコギのクリスピーなストロークとほのかな上昇感ただよう4つ打ち、16ウラハットを楽曲の骨格に、壮大なストリングスやサビでの開放感やドラマティックさがたまらない。この切ない歌声と、弾けた春色のサウンドのベストマッチも、聴く者の心をくすぐるナンバーだ。この曲を聞いていると、この春は、今までやろうやろうと思っていて、なかなか出来なかったことも出来るような気がしてくるから不思議だ。
そして、M-2にはTHE BLUE HEARTSの有名曲「青空」のカバーを収録。パンクバンドはもちろん、過去多くのバンドやアーティストがこの曲のカバーを送ってきたが、このmiwaのバージョンは、聴く者を非常にキュンとさせるもの。アコギを基調に、浮遊感のある電子音のウワモノ、太いアルペジオや細いアルペジオの重なりと後半より加わるシンプルなバスドラが楽曲にちょっとした躍動感を加えている。意外や意外、こういった甘くキュートな歌声が似合うのも大発見だ。
ともあれ、聴く者に"何かやらなくちゃ!!""始めなくちゃ!!"という気持ちにさせてくれる、この「春になったら」。あなたならこの曲を聴きながら、これまで超えられなかった、どんなハードルを越えてみようとするのだろう?楽しみだ。
【 文:池田スカオ和宏 】