長崎出身。九州の魂を伝えるシンガーソングライター、九州男(くすお)のニューミニアルバム『97%』は、そのどれもが、彼という人間性を表わしている。今回のアルバムのタイトルは『97%』。これはきっと今の自分の理想に対しての数値なのだろう。100%と言い切りたいが、よくよく振り返ると不完全なところも多い。しかし、それをあえて期待値も含めて97%と高数値に表わしているのが、いかにも彼らしい(笑)。

　日本ならではの四季折々の風光明美と、そこに一緒に佇んでいる人の姿が浮かぶ「想色コーディネート」、目を閉じると自身が育まれた土地の光景が広がり、あの頃の自分がフラッシュバックする「少年←帰来 ~my mother earth~」、アゲアゲでガシガシなリディムの上、自身へのディスへの反撃と、自身をリスペクトしてくれる者への感謝をパトワを交じえ伝える「a who dat？」、生まれたばかりの子供へ捧げた、愛や感謝、そして力強い決意に満ちた「ちっちゃなあいぼう」、ファンデーションなリディムと共に、同化しそうなくらいの愛しさと、あえてそれを照れ隠す「サイレント・ラブ」、信じて行動してさえいれば夢さえも実現することを確信させてくれる「SKYWAY☆」、大和情緒たっぷりなトラックの上、やり場や行き場のない愛しい想いが、聴く者の胸の中に広がっていく「時が経てば素敵な物語」等を収録。

　そう、このアルバムには各曲100%にはわずかに満たないヒーローたちがいっぱい。しかし、不思議とそれが聴く者に親近感を与えていたりする。特に男子には聴いて欲しい1枚だ。

【池田スカオ和宏】