今年に入り、KREVAの楽曲発表が一際活発だ。3月11日の震災以降、”こんな時代だからこそ、俺がやらねば誰がやる!!”といった頼もしいリーダー観はあれど、不思議と、”黙って俺について来い!!”は無い。むしろあるのは、”こんな時代だからこそ大丈夫。お前だって乗り越えられるって”と、あくまでも聴き手を促し、鼓舞する歌ばかり。そして、今回の両A面シングルも、そんな類だ。

M-1の「KILA KILA」は、彼が東日本大震災後に初めて書いたナンバー。ラッパーSEEDA推薦によるNY在住のプロデュース・ユニット、MAJOR MUSICによる、ノイジ―なシンセベースと煌びやかでファンタジーチックな上ものシンセが、希望や明るさを醸し、「ほら、大丈夫だから、そうビビってないでやってみな。頑張ってみな」と、聴き手のモチベーションを引き上げてくれるKREVAの言葉が厳しくも優しく染みる楽曲だ。

そして、M-2.の「Tan-Kyu-Shin」は、常に探究心を忘れないKREVAらしいナンバー。こちらはアニメ「爆丸バトルブローラーズ ガンダリアンインベーダーズ」のエンディング曲としても起用されており、”いや、まだこれは通過点。次の高みを目指さなくちゃ!!”と聴く者を戒め、今後も次々と現れるであろう興味に、ドキドキワクワクさせられる自身を思い浮かべる楽曲だ。

　今年に入り、聴き手の可能性や潜在意欲を引き出してくれる楽曲を連発中のKREVA。この苦しい今だからこそ、彼のその言葉たちを信じて邁進していきたい。そう、その向こうに輝くKILA KILAを信じて。

【 文：池田スカオ和宏 】