レビュー
チャットモンチー | 2012.02.08
チャットモンチー meets 『テルマエ・ロマエ』!ヤマザキマリの人気コミック『テルマエ・ロマエ』のアニメ化を受け、主題歌として書き下ろされた今作。3週連続リリースの第二弾となるシングルはほんわか癒し系でもキュートな小悪魔セクシー系でもない、威風堂々の入浴讃歌だ。
かねてより原作のファンだったとあってイメージするまま一気に書き上げたというが、なるほど骨太な聴後感は剛健なる作品の世界観にぴったりとそぐう。それでいてシャワーや流れるお湯の音、あるいはホッケーのごとく行き交う風呂桶など随所に散りばめられた遊び心はいかにも彼女たちらしく、意欲的に取り入れられたシンセサイザーのチープな近未来感もまたスリリングで実にいい。お風呂を高らかに歌ってエモーショナルな疾走チューンに仕立ててしまえる感性は世にロック・バンド多しといえど他にそうないだろう。前作「満月に吠えろ」とは、まるでベクトルを異にしながら、こちらもやはりチャットモンチー、その軽やかなオリジナリティに目をみはらずにいられない。
ちなみに“テルマエ”とはラテン語で“浴場”を意味するという。ならば「テルマエ・ロマン」は“ロマンをたっぷり浴びる場所”と訳していいかもしれない。溢れてやまないチャットモンチーのロマン=音楽を心ゆくまで堪能するが吉。そう、いつもよりゆっくり、とね。
【文:本間夕子】