レビュー
back number | 2012.03.12
2011年度の年間ラジオエアプレイチャートで2ndシングル「花束」が1位を獲得。SHIBUYA-AXを最終地点に設定した全国ツアーのチケットが完売したために、渋谷公会堂で追加公演を行うことを発表したりと、じわじわと熱が高まってきている3ピース・ロックバンドback number。そんな彼らが、今の好況を更に後押しするような4thシングル「恋」を3月7日にリリース。卒業シーズンにぴったりの今作は、恋愛ソングのスタンダード・ナンバーとして多くの人に愛される曲になりそうだ。
そんなタイトル曲「恋」は、彼らの楽曲が常に内包している“センチメンタル”というエッセンスが爆発している1曲。好きな子を眺めているばかりで、自分の気持ちを伝えられずにいる男子学生の淡い恋心をストリングスが引き立てる、ピュアなラブソングだ。リアルタイムで片思いが進行している人達の背中を押し、かつてそんな時代を過ごした大人達をノスタルジックな気持ちにさせてくれる。そんな甘酸っぱいテンションになった後に続く「信者よ盲目であれ」は、そのタイトルにまずドキっとさせられるアップテンポなナンバー。歌詞もかなりエグい。<頭抱えて待っているのは答えなんかじゃなくて「仕方ないよ」の言葉だろう>なんて、誰もが思い当たる節があるんじゃないだろうか?そして、アコースティックギターの優しい音色で、親が子を想う気持ちをそっと紡ぎ出す「ささえる人の歌」は、夜中にアルコール片手に聴こうものなら号泣必至の美曲である。
収録曲全てが、聴く者を選ばない歌詞、メロディー、アレンジであり、普遍的な情景を丁寧に描いている。「多くの人の心をうつ」というポップスの命題に真っ向勝負で立ち向かって行く彼らの姿は、産み出された楽曲同様、熱い共感を呼び、今以上にもっと大きな支持に繋がって行くだろう。
【文:山口哲生】