レビュー
いきものがかり | 2012.04.26
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春の歌のテー マは、卒業、新しい生活、出会いなどたくさんある。いきものがかりが「ハルウタ」で選んだのは、別れだ。山下穂尊のBメロのリリックに注目。ふとした瞬間に風向きが変わるように、“君”は涙を“少しだけ” 流す。そこには別れの悲しみとともに、すでに希望が生まれている。そんなキラキラ光る言葉たちを歌う吉岡聖恵にターボがかかるのは、2番のサビ。スピード感たっぷりに、悲しみが希望に変わる瞬間を、声で描き出す。
吉岡ならではの歌のスピード感を強力にサポートしているのは、アレンジャー江口亮と村山達哉の手になるストリングスだ。メロディにベタに寄り添うわけではなく、かといってカウンター・メロディでもない。ユニークな絡みが、聴き応え十分。その間を縫う、スリリングなエレキギターも見事だ。
きっと1番の サビがテレビでたくさん流れるとは思うけど、もしチャンスがあれば、おススメの2番のサビを聴いてほしいなあ。
【文:平山雄一】
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