レビュー
木村カエラ | 2012.05.14
不思議な存在感のサウンドが、耳の中を痛快に駆け抜けて行くーー“不思議”という意味では、木村カエラの本領発揮とも言えそうな新曲ではあるまいか。
木村カエラからニューシングル「マミレル」が届いた。タイトル曲は、打ち込みのリズムが印象的ではあるが、どこか、ファンキーなビックバンドのような雰囲気も。80年代っぽくもあり、2000年代以降の耳触りもあり、エレクトロでもあり、ビックバンド風のディスコでもあり、そして、ロック・チューンの趣きもある。しかし聴いた後に強く残るのは、ハウスのメロディアスなアンセム・ソングのような疾走感と、サビでのボーカルのファルセットの広がりだ。なんとも不思議なアップ・ナンバーである。これをシングルとして響かせる、木村カエラのチョイスセンス、そして表現力と存在感には、まったく脱帽である。相変わらず面白い。
カップリングの「BMX」は、バウワウワウやアダム&ジ・アンツを思わせる(私なんてイントロからニヤニヤ)ポストパンク&ニューウェイヴ調。演奏のアプローチは一貫してニューウェイヴながら、サビの広がりとゴージャス感がナイス。エンディングも、キッチュ&シャレがきいてて楽しい。
初夏に聴きたい、カエラの風、到着。
【文:伊藤亜希】