レビュー
Hilcrhyme | 2012.06.27
今年4月に『Bast of Hilcrhyme~GOLD~』『同~SILVER~』という2作のベスト・アルバムをリリースし、メジャー・デビューから3年間の活動を総括したHilcrhyme。そんな彼らの“新たなる一歩”ともいうべきシングルが、この「蛍」だ。
DJ KATSUが制作したトラックに乗せて、TOCが、どこか懐かしさも感じさせる恋人達の風景を歌い上げていく。夏の夜に舞う、美しい蛍の光が、毎日の生活に疲れた恋人達の心を、優しく揉みほぐしていく。蛍の命は、たったひと夏の儚いものだけど、まるで自らの命を燃やすように、精一杯光り輝いているからこそ、美しい。そんな夏の情景と、そこに夢を見ようとする恋人達の淡い思いが、魅力的で、哀愁感漂うメロディとともに歌われていく。Hilcrhymeサウンドの魅力でもある、ピアノのメロディも印象的だし、彼らならではの、夏のラブ・ソングの名作が生まれたといえるだろう。
一方カップリングの「LIFE IS GOOD」は、クラシック曲「パッヘルベルのカノン」をモチーフにした、彼ららしいアプローチが印象的なナンバー。この住みにくい現代社会の中で、でも負けずに“LIFE IS GOOD”って叫びたい、という、彼らの前向きな姿勢が力強く歌われていく。
まさに、Hilcrhymeらしさと、新しい方向性がひとつになった、彼らの進化が感じられるニュー・シングルだといえるだろう。
【文:熊谷美広】