レビュー
Perfume | 2012.08.15
タイトル曲「Spending all my time」は、紛れもなく新境地。まず、とても印象的なのは、全篇がほぼ英詞という点だ。しかし、使用されている英語は極めてシンプル。タイトルにもなっている《Spending all my time》を基本フレーズとしつつ、独特な音節の区切り、仄かな変化を交えながら3人の歌は展開する。ループ感たっぷりの構成によってリスナーが巻き込まれるトランス状態は、曲の終盤に近付くしたがって一層劇的な色合い帯びる。そして。夢見心地の昂揚に包まれているところで、日本語《信じてる》《キミのこと》などが、ふと飛び出す。その瞬間に訪れる「ハッ!」と我に返るかのような感覚は、何度も繰り返し味わいたくなる素敵な刺激だ。
この曲の持っている不思議な力は、緊張感溢れる面持ちでパフォーマンスする3人の映像がスピーディーに切り替わるビデオクリップも併せて観賞すると、より深く胸に沁み入る。ぜひチェックして欲しい。彼女達は「この曲の楽しみ方を教えてくれるようなビデオクリップ」と言っているが、まさしくその通りの仕上がりだ。 「Spending all my time」は、CMソングで既にお馴染みのカップリング曲「ポイント」「Hurly Burly」と共に海外へも配信される。Perfumeを聴いた時に感じる何とも言えないワクワクを、世界中の音楽ファンと分かち合うきっかけとなったら、とても嬉しい。
【 文・田中 大 】