レビュー
androp | 2012.08.29
8月22日にリリースされたandropのトリプルA面シングル「Boohoo / AM0:40 / Waltz」。本作はCDジャケットに描かれている通り、収録曲を「光の三原則」である「赤・青・緑」の3色に例えている。今年2月にリリースされた「World. Words. Lights. / You」のジャケ写が2色モノクロ=表裏一体や二面性だとしたら、今作は二元論では言い切れない感情や想いが詰め込まれたものになっている。
“赤”の「Boohoo」は、スラップベースで幕を開ける、エレクトロサウンドが際立ったアグレッシヴなアッパーチューン。“青”は、瑞々しくて疾走感のあるギターロックを響かせる「AM0:40」、そして、ファンタジックでアコギの音色が印象的な「Waltz」が“緑”だ。昨年リリースされたアルバム『relight』や、それに伴うツアーで“光”をテーマにした彼らだったが、それらを経たことで生まれた彼らの想いが更に強固になり、結晶化されたようなサウンドである。ちなみに、赤・青・緑の光が重なり合うと「白」になる。彼らの生み出す「白」は決して虚無ではなく、暖かくて、全てを包み込むような優しさと、ここからどこへでもいける可能性を感じさせてくれるものだ。
また、「Boohoo」はオフィシャルホームページにて、ミュージックビデオを公開中。彼ららしいかなりスタイリッシュな映像だが、驚いたのは彼らの姿がハッキリと映されているということ。これまでのandropは、アーティスト写真がバンドロゴのみだったり、ライヴ以外の映像作品では、出ていてもなんとなく姿形が分かるぐらいだったが、ここまで大々的に彼らの表情やパフォーマンスがフィーチャーされるのは初めてのこと。そういう意味でも、これから先の彼らを紐解く上でエポックメイキングな作品でもあると思う。9月29日のZepp Tokyo公演を皮切りにスタートするワンマンツアー「angstrom 0.5 pm」も楽しみだ。
【文:山口哲生】