レビュー
UVERworld | 2012.08.30
毎度、UVERworldの新しい音源が届くたびに、バンドパワーやメロディーセンスのよさ、そして歌に込められたメッセージに圧倒されてしまうのだが、8月29日にリリースした「THE OVER」も、やはりズシッと心に刺さる作品だった。
タイトルチューンの「THE OVER」は、TBS系で放送中のドラマ『黒の女教師』の主題歌としておなじみ。しかし、やはりシングル音源で最初から最後までじっくり聴いていただきたいと思う。歌詞に出てくる「君」と「僕」でつむがれていくのは、シンプルにしてはかなく、そして確固たる愛や人生の歌。あくまで歌メロを活かしたロックサウンドは、アップテンポながらジンワリと聴く者の心に染みわたる。力で押しまくるアプローチではなく、包み込むようなデカさを秘めた名曲だ。
ちなみに、2曲目に収録された「THE SONG」にも、深いテーマが表現されている。この曲は彼らのドキュメンタリー映画『THE SONG』(公開中)を象徴する楽曲なのだ。優しいメロディーと語りかけるようなボーカル、そして内に秘めた熱さがにじむバンド演奏。どれもが完璧なバランスで、歌に説得力を与えている。多くの人にとって、共感できる「生き様」を問うような歌詞だが、実はUVERworld自身のリアルなテーマソングと言えるのかもしれない。
そして、以上の2曲とはまた別に、バンドアンサンブルの楽しさが存分に詰め込まれたインスト曲「Massive」が続く。ライブではオーディエンスもハンドクラップで参加できる、ノリのいいナンバーだ。緊張感のあるギターリフにうねるリズムセクション、そこに情感を注ぐサックス……と、要所要所が実にカッコいい。当然、プレイのセンスがモノを言うわけで、バンドキッズには必聴の仕上がりだ。
11月以降にはアリーナツアーも行う彼ら。ライブでのバンド演奏や魂のこもったTAKUYA∞のボーカルはカリスマティックな魅力にあふれている。機会があれば、熱気の中で聴く「THE OVER」や「THE SONG」をぜひ体験していただきたい。
【文:海江敦士】