レビュー
MISIA | 2012.11.06
サウンドそのものにメッセージがあるシングルと言っていいだろう。2003年冬のシングル「SNOWSONG」を彷彿とさせるクリスピーなサウンドが、MISIAの声を楽しむ最良の演出になっている。乾いた楽器の音に独特のディレイをかけ、MISIAのボーカルにははっきりとした輪郭を施した上で、浮遊感を与えている。このハイセンスなミックスダウンを手掛けたのは、マレーシア出身のエンジニア、フィル・タンで、作業は彼のホームグラウンドであるアトランタの“ニンジャ・ビート・クラブ”スタジオで行なわれた。タンはアリシア・キーズやアッシャーの音作りを担当してきた敏腕エンジニアで、その手腕は「DEEPNESS」でも存分に発揮されている。
それにしてもこのディープなバラードが、テレビドラマ『大奥~誕生[有功・家光篇]』のキワどいシーンでかかって、ドキッとさせられたリスナーも多いだろう。
すでに12月リリースが決定している次のシングル「Back In Love Again(feat.布袋寅泰)」は、フィルに続いて世界的ギタリスト&コンポ―ザーとの傑作コラボになっている。女性ボーカルと相性のいい布袋からの「最高のボーカリストの隣でギターを弾くことはギタリストにとって至福の喜び」というコメントは、MISIAの音楽に新しい血が注入されたことを物語っている。この曲は映画『大奥~永遠[右 衛門佐・綱吉篇]』の主題歌で、テレビでも映画でも主演を務めている堺雅人のMISIAの歌に対する感想を、ぜひ聞いてみたいものだ。
【文:平山 雄一】