３作のシングルと待望の２ndアルバムまでを４ヶ月連続リリースすることはつまり、ねごとにとって本格的な第二章の高らかな宣誓だった。

　11月リリースのシングル「nameless」ではグッとエレクトロニックなサウンドにアプローチし、いきなりトップギアな疾走感も相まって嬉しい衝撃をくれたが、バンドの貪欲さは今回も加速する。が、表現の仕方は変えながら。シンセ的なギターリフ、カラフルなエレピ、スリリングに動くベース、変拍子がツボを突くドラムは、４人が視線を交わしながら演奏の醍醐味を楽しむ様子が目に浮かぶようだ。作詞もメンバー全員でさらに気持ちの深いところを模索しているというだけあって、「迷い方さえ忘れて　息絶えたっていい　真っ白な瞬間に触れられるなら」と、バンドで音を鳴らす瞬間の無敵で至福な状態もリアルな、まさに“迷わない”言葉使いが印象的だ。

　一転、２曲目の「ながいまばたき」（映画「今日、恋をはじめます」テーマソングというビッグタイアップも！）はグッとテンポを落とし、ボトムも低いサウンドプロダクションながら、浮遊感も同居させるというねごとならではの着地を見せる。

　日々更新される表現力が発揮されるであろう冬フェスで一見（いちげん）のオーディエンスが驚きの表情から笑顔に変わることが容易に想像できる――今のねごとが“なかなかすごい女の子バンド“から完全に脱皮し、サカナクションやチャットモンチー、andropら同様、シーンの最前線にいることを実感したいなら、聴いておきたい作品だ。 【文 石角友香】