レビュー
Aimer | 2013.03.20
振幅ゆらぎと周波数ゆらぎが同時に発生している、非常に稀な声の持ち主ですーーこれは、本作の紙資料(リリース時、取材用として音源とともに配布される関係者用の資料。アーティストのプロフィールや歌詞、リコメンドのコメントやテキストなどが掲載されている)に掲載されていた“日本音響研究所 所長”なる人物のコメントを抜粋した一文である。
“声”そのものが、天賦の才能になっているということか。Aimer。その声で、実績を着実に重ね、じわじわと認知度も上昇中の彼女から、新作が届いた。
「RE:I AM EP」というタイトルの今作には、趣の異なった曲が3曲収録されている。M1「RE:I AM」は、機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)episodo6“宇宙と地球と(そらとほしと)”の主題歌。タイトルはAimerのアナグラム(文字の並び変え)になっている。アニソン特有のスピード感が特徴のロック色も濃厚な1曲。というM2「星の消えた夜に」は、じっくり聴かせるミディアム・バラード。物哀しげなメロディーと、繊細でハイセンスなトラックが、彼女の“才能(=声)”を浮き彫りにする1曲だ。個人的には、低音から中低音に“ハスキー一辺倒ではない”個性と表現力感じる。
これからどんな曲に出会い、天賦の才能で、どんな風に共鳴していくのかが、楽しみなボーカリストだ。
【文:伊藤亜希】