レビュー
YUKI | 2013.08.22
YUKIのニューシングル「STARMANN」というタイトルから、音楽好きな人の多くはデヴィッド・ボウイの名を連想したに違いない。実際サウンドそのものもグラムロックのコード感やアレンジがほどこされ、サビでの盛り上がりもスペーシーに仕上げている。ちょうど、デヴィッド・ボウイも新譜を出したり、ロンドンでもボウイ 展"David Bowie Is"が開催されたりと、何かと話題にのぼる時期でもあったが、実は彼女もそういうったニュースがキッカケでデヴィッド・ボウイを聴き直していたとのこと。しかも、このシングルはドラマ『スターマン・この星の恋』の主題歌のために書き下ろされた曲でもあり、当初から“スターマン”というキーワードと密接に関わっていたようなのだ。こうして生まれた楽曲は、美しいラブソングでもある。グラムロックの切ない旋律を活かし、切なくも壮大なラブソングにしてしまうなんて……もはや、“やられた!”と思うしかない。彼女なりのグラム・アレンジは嫌味もなく、どこまでも上品で純粋だ。ソロ11年目のスタートとなる音源としても、文句なしのシングルだと思う。
しかも、カップリングには生のバンドサウンド全開の「君を束縛したいのです」を収録。すでに昨年のツアーでも、その原形が披露されてきたようだが、改めて勢いが加えられ、とにかくイケてるロックチューンとなっている。タイプは違えど、2曲ともラブソングという愛にあふれたシングルになったわけだ。いずれも、彼女が素直に音楽を楽しみながらも、新たなチャレンジを続けていることが伝わってくる。しかも、女性としての強さ、かわいさ、さらには余裕も感じられる。とにかく、今回の……いや、今回もYUKIのシングルはカッコいい!
【文:海江敦士】