レビュー
かりゆし58 | 2013.11.14
「矢も盾もたまらず」という例えがある。<居ても立ってもいられない>といった類の意味なのだが、かりゆし58の「恋の矢」は、まさにそんな<堪えきれない想い>が堰を切って溢れてくる楽曲だ。
彼らが近作で魅せてきたダイナミズムが、歌内容にもサウンドにも結実した同曲。「この想いよ、一直線に愛しい人の胸に届け!!」とばかりに放たれる歌声が伸びやかで力強い。
現在絶賛放映中の優香主演のテレビドラマ『ハクバノ王子サマ 純愛適齢期』の主題歌でもある同曲は、6/8のリズムによるロッカバラード。通例なら矢のような疾走感でそれを表すところを、あえてミディアムでどっしりと伝えるメソッドも秀逸だ。「この想いは絶対にあの人のハートを射抜くはず」という歌の真意に、きっと多くの人が想いを重ねることだろう。
2曲目にはステレオポニーへの提供曲「たとえば唄えなくなったら」のセルフカバーを収録。ステポニ版のラストに向けて増していく疾走感に対して、こちらは終始どっしり。眼前に雄大な夕焼けが広がる望郷ソングに生まれ変わっている。
現在は全都道府県ツアー真っ最中の彼ら。もちろんこの「恋の矢」は、そこでもハイライト的に歌われており、それぞれの人が抱える愛しい人への伝えられない想いが集まって、大合唱を呼んでいる。その光景はまさに会場全体でグイッと引っ張った弓。そこから放たれる矢のように力強く、一直線に届く歌声に気持ちを重ね、さぁ、あなたも「恋の矢」を放て!
【文:池田スカオ和宏】
かりゆし58「恋の矢」ミュージックビデオ