レビュー
サカナクション | 2014.01.17
サカナクションから、2014年第一弾となるシングルが届いた。両A面となる「グッドバイ/ユリイカ」は、彼らの音楽への探求心、表現への貪欲さを痛感する逸品だ。
シーンに登場してから、作品のクオリティー、ライブにおけるライティングなどの演出の斬新さ、サウンドの再現性に対するこだわりなど、ハイスピードで濃密な展開をしてきたサカナクションにとって、2013年はひとつのポイントになる年だったのではなかろうか。思うに、アルバム『sakanaction』(2013年3月発売)のチャート1位、初の紅白歌合戦出場と、自分達の音楽の普遍性を誰もが納得する形で証明した年だったのではないか、と。サウンド、表現を突き詰め、どんどん前衛的(実験的と言ってもいいかも)になっていく中で、この変化以上の上昇カーブでマジョリティーを獲得していったその様は、傍から見ていて実に痛快だった。彼らが今、本当にシーンや時代から求められているとも思った。
だからこれまで以上に、ネクストに期待したし、勝手に予想もした。
そしたら。
期待を越え、予想を裏切る逸品が出てきた。
タイトル曲の「グッドバイ」は繊細なギターが主軸。メランコリックなメロディーに聴きほれる、ミディアム・バラードだ。後半の大胆な展開は、歌詞の切実さをさらに強く響かせる。言葉の響きとその意味、メロディーが同時に一発で感覚と記憶に残るあたりには、ストイックな月日を経て、自らが開花させた新たな才能を感じる。
もっと彼らの才能に触れたい――こう思っている人が、きっと日本国中に溢れている。
【文:伊藤亜希】