レビュー
The Birthday | 2014.04.16
チバユウスケがア・カペラで歌い出す「くそったれの世界」は、それを聴いた瞬間にこれがThe Birthdayの新境地である事を感知させる。チバが歌っている通り、本当に《とんでもない歌が 鳴り響く》のだ。そして流線型のスピード・カーのように空気を切り裂いていくバンドの唸りを影のようにコーラスが追いかけ、チバは《I LOVE YOU》と魔法の言葉を紡いでいく。今まで彼等が意外にもやってこなかったことをいつも以上のダイナミズムで聴かせてくる、まさに最高にファッキンなナンバーだ。こんな風に「くそったれ」という言葉をカッコ良く使えるヤツは本当にカッコいいと思う。
カップリングはヘヴィでアッパーなビートに乗るヴォーカルをエフェクトした「PISTOL」。これもまたヴォーカルへの新たな試みに驚かされるナンバーだが、エッジの効いたスピード感に身体を揺らせずにはいられない。そして最後はスライドギターでブルージーな味付けをした「STAR MAN」。デヴィッド・ボウイの同題曲を連想させるグラム・ロック風の3コードを下敷に、ゆったりしたリフに合わせて同じ言葉を繰り返すグルーヴィーな歌が、人生や宇宙をひっくるめて飲み込む物語を紡いで行く。「LEMON」以来4ヶ月ぶりにドロップされるこの3曲、初回盤に属するメンバー自ら語るセルフライナーの映像で、何を語っているのかチェックだ。
【文:今井智子】