レビュー
爆弾ジョニー | 2014.06.04
爆弾ジョニー 『唯一人』
陽気バンドの後継者現わる!
何年かに一度、音楽シーンには“陽の気”を持ったカリスマバンドが現われる。たとえばRCサクセション、ボ・ガンボス、ブルーハーツ、ウルフルズたちは、これまで日本のロック・ヒストリーにその名を刻んできた。そして2014年、この系譜に名乗りを上げたのが、爆弾ジョニーだ。4月にアルバム『はじめての爆弾ジョニー』でデビューを果たし、この6月にはじめてのシングル『唯一人』をリリースする。
爆弾ジョニーのメッセージは、極めてシンプルだ。♪僕は世界にたった一人だよ♪(「唯一人」より)と叫んで、孤独だからこその誇りと淋しさの両方を受け入れる。その上で、♪オレにしかできないことなんて ないかもしれないけど♪、♪何もしないまま消えてゆくもんか~♪と歌うのだ。ここには、無力感と闘う強い意志が込められている。一人しかいない自分と、一回きりの人生。捉え方によっては、悲観的にもなるだろう現実を、爆弾ジョニーは真正面から音楽でぶっ飛ばす。この超ハッピーなバンドのオーラこそ、“陽気バ ンドの遺伝子”なのだ。
“君は一人じゃない”と歌うバンドはたくさんいる。が、そのほとんどは、それが嘘と知っていながら歌う“陰気なバンド”だ。こう言うと不思議に思うかもしれないが、陽気なバンドは、必ず孤独から出発する。一人から始まって、ポジティヴなパワーで“みんな”になっていく。人間は一人ずつだと思っている人同士の結び付きは、“一人じゃない”という幻想にすがっている人よりもはるかに強い。
爆弾ジョニーのメッセージの仕方は、それこそRCサクセションやボ・ガンボス、ブルーハーツと同じだ。そういえば「唯一人」のカップリング「P.P.P(Power to the Party People)」は、ウルフルズの「A・A・Pのテーマ」(アホアホパワー)と、小沢健二の 「今夜はブギー・バック」を合体させたみたいなファンクナンバーで、底抜けに楽しい。
さて、この陽気バンドの遺伝子の継承はいかに? 楽しみに見守っていきたい。
【文・平山雄一】