レビュー
ケラケラ | 2015.05.20
《君に出逢ってよかった 君が生まれてよかった》という温かいフレーズが印象的なケラケラのニューシングル『幸せ~君が生まれて~』。ストリングスとピアノをフィーチャーした優しいサウンドに、親子の間で育まれるかけがえのない絆が歌われたナンバーだ。
この曲は、ケラケラが各地でライブを行なうなかで、子育てをするママ・パパの気持ちに触れて生まれた楽曲だという。以前インタビューでもショッピングモールでライブを行なったとき、「ケラケラじゃんけん」(アルバム『ケラケランド』より。このシングルには“太鼓の達人ver.”を収録。オリジナルと違うノリの良さは必聴)が、世代を問わず聴き手の心を開くのに絶大な効果があると話していた。もしかしたらその経験も影響したのかもしれない。大人から子供まで楽しめる、デビュー以来そんな音楽を届け続けるケラケラらしい制作秘話だろう。
すでに現在開催中のツアーでも披露されているこの曲について、MEMEはライブのMCでこんなことを言っていた。
「この曲はお母さんが赤ちゃんを産んだときの幸せな気持ちを歌った曲です。わたしは赤ちゃんを産んだことがないので、今まで育ててくれた両親への感謝の気持ちを込めて歌っています。子供がいない人は家族でもいい。わたしも家族にはなかなか素直に「ありがとう」って言えないけど、この曲を聴いて、当たり前の日々が幸せなんだなってことを思い出してもらえたらと思います」と。
たとえ自分が経験していないことでも歌う。この発言はMEMEが歌い手として、ポップミュージックの担い手として、ひとつ覚悟を決めた言葉だと思った。伝えたいのはいつもシンプルで、どれだけ時代が変わろうとも変わらずにある普遍的なもの。それは大人になるほどに、普段は誰も言ってはくれない、誰かに言ってほしい大切なメッセージだ。
等身大の恋愛ソングで多くの共感を呼んだケラケラが作り上げた、愛に満ちたニューシングル「幸せ~君が生まれて~」、ぜひ大切な人と一緒に聴いてほしい。
【文:秦理絵】