レビュー
SiM | 2015.10.07
今年7月にはバンド主催による初の野外フェス『DEAD POP FESTiVAL』を大成功に収め、MAH(Vo)の男泣きはいまだ鮮明に焼き付いている。そして、"最初で最後の"日本武道館公演(11月4日)を目前に控え、2曲入りの6thシングルがここに到着。2曲とはいえ、これが彼らが持つ魅力、豊かな引き出し、溢れるセンスを総動員したような強力な2曲である。
表題曲はゲームソフト『クローズ BURNING EDGE』のテーマ曲で、イントロから浮遊感のある電子音、レゲエ風味のたおやかなヴォーカルで始まり、いきなり意表を突かれる。それからダイナミズムに溢れる重厚なリフ、地を逞しく這う疾走感に満ちたサウンドへ一気にシフト。曲全体の質感は外に開かれたキャッチーなメロディ・ラインが散りばめられ、「Blah Blah Blah」を彷彿とさせる"Ooh la la,Ooh la la"の耳を引くフック性に富むフレーズにもSiMの真骨頂が刻まれている。また後半には壮絶なブレイクダウンも用意され、アプローチや曲展開も凝っており、あらゆる角度から攻める手腕にドキドキしっぱなしだ。
カップリング曲「PSYCHO」は不穏なギターフレーズ、ケータイの着信音が鳴り響き、どこかストーリー性を感じさせる幕開けだ。ポップさとダークさのバランスも絶妙で、フロア仕様のダンサブルな踊れる曲調に仕上げている点もニクい。シンプルなビートを貫きながら、合唱コーラスやソロパートもさりげなく盛り込み、聴いて良し、暴れて良し、という独特なスケール感を漂わせた楽曲と言えるだろう。
愛のこもった毒を吐きまくる歌詞も要注目で、周りに振り回されず、我が道を突き進んでいくSiMの背中と重なる部分もある。気骨のある音色と歌詞に心底やられてしまった。どちらも日本武道館で是非とも聴いてみたい。
【文:荒金良介】
リリース情報
CROWS
発売日: 2015年10月07日
価格: ¥ 1,550(本体)+税
レーベル: ユニバーサル ミュージック
収録曲
[CD]
1.CROWS
2.PSYCHO
[DVD]
- LiVE DIGEST - SiM @ DEAD POP FESTiVAL 2015 (Day1,Day2)
SiM AGAINST YOU -答え合わせ編-