レビュー
吉井和哉 | 2015.10.07
吉井和哉
「超絶☆ダイナミック!」
「超絶☆ダイナミック!」は、ノリノリのギターに背中を押されて口づさむ、究極のおまじないソング
吉井和哉とドラゴンボールの相性は抜群。元気、正義、勇気、どれを取っても吉井によく似合う。おまけに闘志もセクシーさも兼ね備えた吉井は、悟空と重なる部分が多い。その彼が思いを込めて『ドラゴンボール超(スーパー)』 のオープニング主題歌「超絶☆ダイナミック!」を書き下ろしたのだった。
吉井は「子供達が学校の帰り道につい口ずさんでしまうメロディー そしてその歌を呟けば、思わず強くなれるような、力が湧いてくるような曲を作りたいと思いました」とコメントしている。きっと彼自身の少年時代の経験が反映された曲作りだったのだろう。
そういえば今回のラグビー・ワールドカップ日本代表の応援キャラクターは『鉄腕アトム』で、主題歌の♪空をこえて ラララ 星のかなた♪(作詞・谷川俊太郎)という歌詞を聴いて元気が湧かせた世代の僕としては、リスナーの気持ちがよくわかる。アニメのテーマソングは、そういう効果のあるものが多かった。
ではこのテーマを掲げた吉井のソングライティングは、どんなものだったのだろう。
「超絶☆ダイナミック!」の最大の特長は、キャッチ―なイントロのギター・フレーズにある。エレキギターに込められたエナジーは、イントロの時点からリスナーをワクワクさせ、これから始まる悟空の活躍への期待を盛り上げる。
たとえば沢田研二の「危険なふたり」など、かつてはイントロのギターで聴き手の心に火を着けるポップチューンがたくさんあった。それを思い起こさせる「超絶☆ダイナミック!」のイントロは、吉井の子供達への思いの象徴になっている。憶えやすく、インパクトの強いイントロは、小さな子供から年季の入ったベテラン・リスナーまでの心をオープンにする。これで吉井の超絶☆スピリットの受け入れ準備オーケーとなるのだ。この間、わずか10秒!!
この「超絶☆ダイナミック!」を聴いてもう1曲思い出したのは、故・hideの「ROCKET DIVE」だった。というのも、「超絶☆ダイナミック!」を作詞した森雪之丞はhideとも数多くタッグを組んでおり、吉井とhideはお互いにリスペクトを持っていたことが、この連想を生んだのかもしれない。「ROCKET DIVE」も印象的なイントロでリスナーを勇気付ける名曲だった。
吉井ロックの真髄が、ドラゴンボールというフィルターを通したときに生まれた究極のアッパーチューンは、魔法のおまじない。思わず口づさんだら、勇気が湧いてくる。この歌が、いつか日本ラグビー・ナショナルチームのオフィシャル応援歌になるといいなあ。
【文:平山雄一】
リリース情報
超絶☆ダイナミック!(初回限定盤)[CD+DVD]
発売日: 2015年10月07日
価格: ¥ 2,000(本体)+税
レーベル: 日本コロムビア
収録曲
[CD]
1. 超絶☆ダイナミック!
2. ロマンティックあげるよ
3. Chozetsu☆Dynamic!
4. 超絶☆ダイナミック! -Instrumental-
5. ロマンティックあげるよ -Instrumental-
[DVD]
(MV集)
01. クリア
02. (Everybody is)Like a Starlight
03. (Everybody is)Like a Starlight (シルエットver.)
04. 超絶☆ダイナミック!