レビュー
清 竜人25 | 2015.11.25
清 竜人25
「Christmas♡Symphony」
アイドルグループが「一夫多妻+本格ジャズ」に挑戦したら、セクシーなクリスマスソングが生まれた
ミュージカル仕立ての、王道のクリスマスソングだ。本格的な4ビートにゴージャスなストリングスが配され、男女が交互に歌う美メロのアップナンバーは、一見、ハイクオリティのクリスマスソングに聴こえる。が、一夫多妻アイドル“清 竜人25”が歌っているから、どう捉えていいか少し戸惑うことになる。
アイドルグループがこれだけ本格的な4ビートのグルーヴの曲を歌うことは、まずありえないから戸惑う。それは中心人物・清 竜人の持つ高い音楽性によって成り立っているのだが、6人の女性メンバーをバックコーラス扱いしている訳ではない。ちゃんとそれぞれと“デュエット”している。しかし、そのそれぞれが清の妻という設定に、やはり戸惑ってしまう。
しかしそれはあくまで“設定”であって、早い話が、「Christmas♡Symphony」は普通にいい曲なのである。いや、普通以上にセクシーでハッピーな男女混成のクリスマスソングなのだ。
まず清がソロで歌い、次に女性のソロパートがあり、サビでは掛け合いになる。ソングライターとしての清は、この設定を活かした曲作りに精一杯励んでいると言っていい。歌詞も♪最高の夜にしようよ♡ 最高の朝にしようよ♡ 最低な思いではそっと 今日だけ忘れちゃおうよ♡♪と いった具合に超ムシのいい内容になっていて、その意味では一夫多妻アイドルならではの楽曲と言えるのかもしれない。
ソロからアイドルグループに転じた清 竜人の動向に、多くの音楽ファンが戸惑ってきたが、彼は次第にその狙いを明らかにしようとしている。「Christmas♡Symphony」は、この変り種アーティストの真意を多くのリスナーに伝えることになるのかもしれない。
余談だが、僕はこの曲を聴いて、ヴィンス・ガラルディの『スヌーピーのメリークリスマス』というアルバムを思い出した。50年も前に録音されたこのアルバムには、ジャズにアレンジされたクリスマスの名曲がたくさん収められている。子供向けのアニメに本格ジャズという斬新な発想が今も新鮮に響くのだが、もしかしたら清はアイドルに本格ジャズという発想から「Christmas♡Symphony」 を書いたのかもしれない。そうした冒険をするには、クリスマスという季節モノなら許される。奇抜なアイデアで音楽の常識を突破する清の意気込みが、この曲を面白くしているのだ。
【文:平山雄一】
リリース情報
Christmas□Symphony(配信限定)
発売日: 2015年12月02日
価格: ¥ 250(本体)+税
レーベル: トイズファクトリー
収録曲
1.Christmas□Symphony
※□はハートマーク