レビュー

OKAMOTO’S | 2016.05.30

 OKAMOTO’Sの新曲「BROTHER」はNetflixのドラマ『火花』の主題歌になっている。ドラマの原作は又吉直樹が芥川賞を受賞して、ベストセラーとなった同名の小説だ。お笑いの世界を舞台に、主人公の売れない芸人と先輩芸人との交流を軸に物語が展開していく。「BROTHER」がリアルに響くのは、原作のストーリーとシンクロしつつも、普遍的な作品として成立しているからだろう。特殊な世界の特別な関係ではなくて、どこの世界にもありそうな関係が描かれている。お笑いの世界の“相方”を音楽的な言語で言い換えると、“BROTHER”だろうか。この歌に登場する“あなた”はかつては“俺”の良き理解者であり、同志的な存在だったのに、時の流れによって二人の間に距離が出来てしまっている。OKAMOTO’Sはそれゆえの痛みやせつない思いを鮮やかに浮き彫りにしていく。昨年発表の6thアルバム『OPERA』はロックオペラという意欲的な構成になっていて、彼らのストーリーテーラーとしての才能が際立った作品だった。この新曲でも前作で培った表現力が見事に活かされている。さらにLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIがプロデュース、編曲、ギターで参加することで音楽的な奥行きも増している。

 曲の構成はシンプルだ。サビと“lai lai la la”と歌われるコーラスとラップの繰り返しで成り立っている。だが、この3つのパート、それぞれが強烈な存在感を持っている。せつなさやいとしさが詰まったメロディと深みのあるギターが印象的なサビにいきなりグッとつかまれる。続くコーラスはミュージカルを彷彿させるダイナミズムを備えていて、時の流れの無情さ、不条理さを象徴するかのように尋常ではない空気を醸し出していく。そして本来ならば、AメロやBメロが来るべきところでラップが入ってくる。その理由はリリックでも“歌にならない!”と説明されている。メロディは一般的に感情と対応しているものである。そのメロディが削ぎ落とされているのは表現すべき感情がないからではない。むしろ逆だ。あらゆる感情が渦巻いていて、単純にメロディ化できないからではないだろうか。彼らは胸の中のざわめきやうねりまでも見事に音楽化している。サウンドはロック、ファンク、ヒップホップ、ロカビリーなどのエッセンスもあって多彩だ。タランティーノあたりに通じるセンスも感じ取れる。

 カップリングも充実している。ファンキーでソリッドでブルージーなグルーヴが気持ちいい「Lagoon」、浮遊感漂うオカモトコウキのボーカルをフィーチャーして、ディスコ・サウンドを導入した「なんかホーリー」と、音楽的な引き出しの多さとセンスの鋭さが光るナンバーが並んでいる。ただいい曲を発表する、というだけでなく、何かムーブメントを生み出していくようなクリエイティブなパワーを今のOKAMOTO’Sから強く感じる。「BROTHER」はドラマの主題歌に留まらず、ライブでも威力を発揮していく曲に育っていくだろう。この歌がステージで歌われた時、“BROTHER”とは同じ空間で同じ思いを共有するオーディエンスを指す言葉になっていくに違いない。

【文:長谷川 誠】

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リリース情報

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BROTHER(初回生産限定盤)[CD+DVD]

発売日: 2016年06月01日

価格: ¥ 1,667(本体)+税

レーベル: アリオラジャパン

収録曲

【CD収録内容】
M1 : BROTHER <Netflixオリジナルドラマ「火花」主題歌>
M2 : Lagoon
M3 : なんかホーリー

【DVD 収録内容】
OKAMOTO’S MOVIE (11)
1.LIVE BOOTLEG SERIES
OKAMOTO’S 2015-2016 “LIVE WITH YOU”
2016.1.30 ZEPP Diver City
2.オカモトーーーク特別編
ヤバコウキ〜実録!本当にやっていた曲作り2015〜

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