レビュー
TETSUYA | 2016.09.09
L’Arc~en~Cielとしての活動中など表立った動きがなかった期間も含むが、ソロ・アーティストとしてのデビューから15周年を数える今年。レーベル移籍後初のリリースとして2作品を同時に世に送り出したTETSUYA。
「Make a Wish」は、まさに彼の真骨頂とも言うべき“一度聴けば耳の奥で繰り返す”実にキャッチーなメロディーが前面に打ち出されたパワーポップチューン。サビ始まりのイントロから、思わず身体を揺らしたくなるような軽快なリズム、きらびやかなバンド・サウンドと彼の歌声で彩られる、キラキラと輝くような空気感が、聴く者を一瞬で元気にしてくれるような力を放っている。切なさを伴う言葉の中に、真っ直ぐ貫くようにポジティヴな意思。歌詞からも、そういった力強さや誠実さが感じ取れるだろう。
「Time goes on ~泡のように~」は、彼自身が作詞・作曲したL’Arc~en~Cielの楽曲「Time goes on」(アルバム『SMILE』収録)のセルフ・カヴァー。過去にソロ・ライヴにおいて披露したこともあるが、本作のレコーディングにあたってアレンジを一新。バンド・サウンドを核としつつも、ストリングスやコーラス等をゴージャスに盛り込んだ、重厚かつドラマチックなサウンドに仕上がっている。
いずれの楽曲も、至極のメロディー・メーカーとして知られる彼の才能が、存分に発揮された作品と言えるだろう。が、ここであえて注目してもらいたいのは、ヴォーカリストTETSUYAとしての表現力の高さだ。印象的なサビのメロディーを活き活きと歌い上げる伸びやかなハイトーン、甘く柔らかく語りかけるようなミドル・ヴォイス、いずれも“ベーシストのソロ作品”といった言葉の印象を大きく覆すレベルであり、この2曲は、特にその実力が実感できる音源となっているはずだ。
10月には、恒例となりつつあるバースデイ・ライヴから発展させた東名阪ツアーを行う予定の彼。音源を耳にしたあとは是非、生の歌声でそれを体感してもらいたい。
【文:伏見 聡】
リリース情報
Time goes on~泡のように~
発売日: 2016年09月06日
価格: ¥ 1,000(本体)+税
レーベル: SPROUSE
収録曲
1. Time goes on ~泡のように~
2. lonely girl DE DE MOUSE winter path mix
3. Time goes on ~泡のように~ -Instrumental-