レビュー

Slimcat | 2017.01.13

 THE BAWDIES、go!go!vanillasが所属するSEEZ RECORDS。ロックンロールが日常生活に根ざしていない日本において、その魅力を最高の作品とライブを通じて発信してきた信頼のレーベルから新世代のロックンロールバンドが登場した。その名はSlimcat。2014年に関西学院大学にて、小川 悟(Vocal、Guitar)、島田将羅(Bass、Chorus)、大平“王将”雅樹(Guitar、Chorus)、上羽一志(Drums、Chorus)からなる若干21歳の4人が集まった、結成3年足らずのフレッシュなバンドだ。

 そんな彼らがリリースする初の全国流通盤である1stシングル「The Great Escape」は、海外生活経験のある小川が英語詞で歌う甘酸っぱいボーカル、コーラスとドライブ感のあるベースを織り込んだバンドサウンドが光を放ちながら彼方に突き抜けていくタイトル曲で幕開ける。しかも、この曲は清々しいだけでなく、ダブの影響を感じさせるドリーミーなパートも含まれていて、スタンダードなポップセンスに現代の洋楽から吸収したであろうモダンな感覚が溶かし込まれているところも実に素晴らしい。メンバーのフェイバリットアーティストには、ザ・ビートルズやジミ・ヘンドリックスといったクラシックロックからオアシス、レッド・ホット・チリペッパーズ、ザ・リバティーンズ、ザ・1975のような新世代のバンドまで、古今東西のバンドが挙げられており、その音楽性はライブ映えするシンプルなものであると同時に懐の深さも感じさせる。この1曲を聴いただけでも、SEEZ RECORDSがTHE BAWDIES、go!go!vanillasに続くバンドとしてサインしたことも納得させられる才能の輝きがキャッチできるはずだ。

 そして、カップリングには3曲を収録している。ゆるやかなファンクグルーヴとざっくりした耳触りのギターロックが出会った「Seventeen」に心の琴線をわしづかみにする正統派ギターロック「Miracle」に加え、パンクバンド、ザ・クラッシュの名演でお馴染み50年代のロックンロールバンド、ザ・クリケッツの「I Fought The Law」のカバーを収録。いずれの曲もキャッチーなメロディを甘酸っぱく響かせる、彼らなりのロックンロールマジックがかけられていて、その魔法のタッチはここから先、より多くのリスナーを魅了することになるだろう。もしも、ロックンロールの魔法が信じられるなら、迷わず、この作品を手に取ってみることをお薦めしたい。

【文:小野田 雄】

tag一覧 Slimcat シングル

リリース情報

The Great Escape

The Great Escape

発売日: 2017年01月11日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: JMS

収録曲

1.The Great Escape
2.Seventeen
3.Miracle
4.I Fought The Law

スペシャル RSS

もっと見る

トップに戻る