レビュー

林青空 | 2017.09.20

 林青空。大阪在住、SNSフォロワー合計20000人を超えるシンガーソングライターだ。私もある音楽関係者から彼女の名前を聞き、SNSを見てその存在を知り、実際の歌声を聞きたくなった。そこでYouTubeで検索をしてみたところ、その存在により強い興味を持った。そんな彼女の魅力にじっくり触れてみたくなり、9月20日発売のニューシングルを聴いた。

 「林青空」とはなんともキャッチ―な名前のアーティストだが、実はこれは彼女の本名。驚かされたのは名前ばかりではない。まず、印象的だったのは声。力強くクリアーな声が特徴だが、中低音のロングトーンなどで、骨太な別の表情を見せる。逆に高音の聴かせどころ、ファルセットも自然でうまい。さらに、舌ったらずなティストでリズムからディレイ気味にひっぱる手腕も見事で、ともすれば甘ったるくなりがちなアプローチを、一歩手前ギリギリのところでそうならないように仕上げている。
本作『そんな私』に収録されているのは全部で3曲。「光」と「アイス」はアップチューンのポップ路線。しかしながら、それぞれ違ったアプローチで曲の幅を見せている。3曲目に収録されている「だけど私 そんな私」は、アーシーな王道ミディアムバラード。どの曲でも、自分の声をコントロールし、しっかり曲調に寄り添える、歌い手としての潜在的な実力も備えているようだ。

 全曲の詞曲を手掛けているのは本人。情景描写を少し冷めた表現で効果的に入れてくるスタイルの歌詞は、自らの感情や伝えたいことを浮き彫りにしている効果もあるし、聴き手が持っている原風景や感情にも、リンクしやすい。
 前述したヴォーカルのアプローチも含め、感覚的にやっているなら天才。考えて“落とし込んで”いるなら、セルフプロデュースに長けた秀才タイプ、と言えるだろうか。
 果たしてどっちか……なんて、いろいろ想像させるところが、林青空の魅力でもあるのだろうけど。

 圧倒的な個性を見出すには、彼女のことをもっと知る必要があるし、彼女自身の経験値も必要になってくると思うが、それでも楽曲のまとめ方、その完成度は、今後の活躍を予感させるものに変わりない。
 彼女の未来と可能性に期待したい。

【文:伊藤亜希】




■林青空 プロフィール■
大阪在住、SNSフォロワー合計20000人を超えるシンガーソングライター。
今までに自主制作音源2作品を発表し、ライブ会場、大阪のCDショップを中心に販売展開を行う。2015年4月には大阪・梅田CLUB QUATTROにてワンマンライブを遂行し、見事SOLD OUTを記録。その後、大阪”MINAMI WHEEL”、東京”GIRLS TALK"など、ライブを中心に精力的に活動を行ってきた上での経験、出会いを生かし、約2年ぶりに自主制作音源『そんな私』を完成。
2017年9月20日(水)大阪・心斎橋JANUSにて行われる自身3度目のワンマンライブから発売する。



tag一覧 シングル 女性ボーカル 林青空

リリース情報

そんな私

そんな私

発売日: 2017年09月20日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: -

収録曲

1.光
2.アイス
3.だけど私 そんな私

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