レビュー
ハルカミライ | 2019.11.15
そのバンドが出てくるだけで場の空気が変わる。「オー、イェー!」の一発の叫びで観客を昇天させる奴ら。久々にそんな原始的なロックを叩き付けてくる、凄いバンドが現れた。その名は八王子発の4ピース・ロックバンド、ハルカミライ。今やフェスでも引っ張りだことなり、彼らの名前を聞く機会は圧倒的に増えている。今年は04 Limited Sazabys主催の「YON FES」、SiM主催の「DEAD POP FESTiVAL」にも出演し、「あんなライブをやってもらっちゃ困る!」と主催バンドも絶賛するライブ・パフォーマンスを魅せつけている。
そして、今年12月8日に自身最大キャパとなる幕張メッセ国際展示場1ホールでワンマンライブ「A CRATER」を目前に控え、ハルカミライからニュー・シングル「PEAK’D YELLOW」が到着。まず表題曲は「ただ僕は正体を確実を知りたいんだ」と合唱コーラスで幕を開け、出だしからグッと心を鷲掴みにされる、ライブで観客が大声でシンガロングする光景が透けて見えてくる曲調だ。一語一語の歌詞もはっきりと聴き取れるシンプルなド直球ぶりに、彼らの真骨頂が刻まれている気がしてならない。「灯りの先へ辿り着いてさ そこで誰よりも光ってみせたら 消えねえ傷さえ意味を持つんだな」の歌詞にはネガティブな過去さえも、栄光の橋を渡るために必要不可欠なんだ、と聴き手にエールを送る力強い応援歌として響いてくる。バンドとしては、「自分で真実を見つけ出して、キンキンに輝いていたい、輝きを更新し続けていきたい。くすまないで。とんがって行こうぜ日本人!」というメッセージを込めているようだ。その意味ではすべての日本人に向けたスケールの大きな歌と言っていい。
カップリング曲「君と僕にしか出来ない事がある」は優しいメロディ・ラインが印象的で、中盤過ぎにはギター・ソロも挿入されたナンバー。歌詞はラブソングにも受け取れるけれど、奇跡さえも超えた奇跡を起こせと歌い上げ、もっと大きなヒューマン・ドラマを描いているように感じた。ラスト曲「これさえあればいい」はアコギ弾き語り風のスロー・チューン。ここには「ダサくてかっこいい事 いっぱい気付きいたいな」という歌詞がある。これは表題曲で言っていることにも通じるものがあり、自分なりの真実を見つけて歩いて行こうと呼びかけている。どんなものでもいい、手探りで自分にとって大切なものを見つければ、それが人生の宝物となり、人生そのものが光り輝くのだ。そう歌い上げるハルカミライの楽曲自体が、彼らにしか作り得ないとんでもない光沢を放っている。今作を聴き込んで、一回りも二回りもでかくなった彼らの勇姿を幕張メッセで確認したい。その事件を伝説を目撃して、何かを見つけ出すのはあなた自身だ。
【文:荒金良介】
■ライブ情報
ハルカミライ presents 「A CRATER」
2019.12.08 [Sun] 幕張メッセ国際展示場1ホール
開場 : 16:00/ 開演 : 17:00
リリース情報
PEAK’D YELLOW
発売日: 2019年11月13日
価格: ¥ 1,000(本体)+税
レーベル: ユニバーサルミュージック
収録曲
01.PEAK’D YELLOW
02.君と僕にしか出来ない事がある
03.これさえあればいい