いろんな人に聴いて欲しいと意識して作った、ねごと初の代表曲です
ねごと | 2011.02.28
話題のバンド登竜門“閃光ライオット”で歌った「ループ」で評判を呼び、そのまま大学に進学。ひとつひとつのライブを丁寧に積み重ねて、昨年リリースしたミニアルバム『Hello!“Z”』でついに頭角を現わしたガールズロックの新星“ねごと”が、満を持して放つファースト・シングルが「カロン」だ。耳触りのよいポップチューンでありながら、詞曲の完成度、サウンドの斬新さなどすべてのバンドのファクターが、ボーカルの到達力に集約されている点が素晴らしい。
メンバーは蒼山幸子(vo&kyd)、澤村小夜子(dr&cho)、藤咲佑(b&cho)、沙田瑞紀(g&cho)の4人。「カロン」の作詞は蒼山、曲は蒼山と沙田が共作し、カップリングの「彗星シロップ」、「フレンズ」にもバンドの個性がよく反映されている。今年1月には“くるり”との共演も果たし、本当に楽しみなニューカマーだ。 一見、おっとりして見える4人だが、音楽に対する確かな姿勢を思い知らされるインタビューになった。
- EMTG:「これが、ねごとだ!」って言い切れる、すごくいいシングルだね。作ったのはいつごろなのかな?
- 蒼山:去年の3月ぐらいにデビュー・ミニアルバムのリード曲を作る合宿があったんですけど、そこに4曲、リード候補を持っていったんですよ。初日にデモをさっと録ったんですけど、「リードになる曲は、この中にはないんじゃないか」って話になって。そこで初めて、“人に聴いてもらう”っていうことを意識した曲作りの作業をしました。まずメンバーとスタッフで、「聴きやすい音楽って、何?」っていう話し合いをして。
- 沙田:たとえばポップって言葉自体。この言葉自体かっこ悪いなと思ってたから、そういうものを作りたくなかった。だから曲調も、そっちに行かなかったんです。ライブハウスで対バンするバンドに、「ねごととはやりたくない」って言われるのが嫌だったし、怖かったし。
- 蒼山:いろいろみんなで話し合っているうちに「ポップはジャンルのJ-POPじゃなくて、姿勢としてのポップつまりねごとなりのポピュラリティを表現すればいいんじゃないの」って気付けたんです。そこから「カロン」を作り始めて、オケは2時間でできました。
- EMTG:はやっ!(笑)。
- 蒼山:でも、歌詞がしっくり来なかった。自分らしくないなって思ったんです。今思うと、うまく書こうとしてたと思います。レコーディングが近づいてきても、書けない。でも最後の最後に父と話したら、今の自分以上を書こうとしてたことに気付いて、下手でもいいから、もっと素直に書けばいいんだって思って。次の日の朝、スタジオに行く電車の中で書き上げたんです。
- EMTG:ドラマティックだね。
- 澤村:みんなで単語のアイデアを出したりして、幸子が何回も歌詞を書いてくるけど、本人が納得してないことは分かってました。
- 藤咲:演奏面に関しては私自身も「ありきたりって、ちょっと嫌だな」って思ってたから、最初はベースラインもかなり動きのあるフレーズだったんですけど、レコーディングの直前になって他の楽器とのバランスを考えて「シンプルに振り切ったほうがいいな」って思えたので、今のラインを完成させられたんです。
- 蒼山:「ループ」は、人に聴かせるって考えていない時代の曲なんですよ。それがねごとの代表曲でいいのか?、それを意識的に超える曲を作らなきゃ、これからやっていけないのは分かっていて。でも最終的に、「カロン」ができたので、逆に「ループ」をミニアルバムに入れられるなって思えたんです。
- EMTG:ポップだけど、サウンドに個性がある。特にキーボードのイントロが印象的だよね。
- 沙田:あれは私がスタジオの休憩中に作ったんです。
- EMTG:へえ、それはすごいね。
- 沙田:ありがとうございます。でも、サウンドに関しては、自分が何を作ってるのか、よく分からないんですよ(笑)。
- EMTG:???
- 沙田:自分の音より、全体の音を聴いてるんです。だから、ギターがどうのっていうんじゃなくて、4人の音が合わさった瞬間の“音の鳴り”で決着をつける。「カロン」のサウンドのテーマは、“疾走感”で勝負って決めてました。普通のリスナーの方はメロディを追って聴きますけど、サウンドは流れるようにアッという間に終わるように意識しました。
- EMTG:確かに「カロン」はメロディはポップに耳に入ってくるけど、ギターはかなり変わったことをやってる。
- 沙田:自分のやりたいことしかやってないんです。たとえばサビで、ギターは普通、“パワーコード”を弾くと聴きやすかったりするんですけど、この曲には合わない。サビを盛り上げたかったので、サビの前にドラムの長めのフレーズを叩いてもらってます。
- 蒼山:「カロン」がファースト・シングルに決まって、自信はあったんですけど、本当に一般の人に届くのかなって思ったんで、6月のプレ・ワンマンライブで初披露してアンケートを取ったんです。そしたら、「ループ」を抜いて1位になりました(笑)。
- EMTG:ちゃんと考えられてるなあ(笑)。カップリングも面白かった。
- 蒼山:「彗星シロップ」は2年前からあった曲。ねごとらしい曲だと思います。
- EMTG:「フレンズ」は、歌のニュアンスが豊かだなと思った。
- 蒼山:「フレンズ」は、歌詞が自分の素のキャラに近いから、そういうボーカルになりました。この3曲で、新たな始まりだなって思ってます。
- EMTG:ところで、大学生活はどう?
- 蒼山:なんとか両立したいんで、頑張ってます(笑)。
- 沙田:友達と話してて、得ることが多いし、楽しいです。音楽と無関係な自分があるって、いいことだと思う。ただ、この前、友達がねごとのライブに来て、私を見てビックリしてた。やっぱり「変わってる」って思われてますよ。でも、その友達が「また見に来たい」って(笑)。
- EMTG:友達が“ねごとのポップ”の基準になるといいね(笑)。最後に“今年の野望”は?
- 蒼山:ライブバンドでいたいです。去年、ミニアルバムを出したので、音源を知って来てくれる人が口ずさんでくれたり、手拍子してくれるのが楽しい。もっとライブを届けたいな。
- 沙田:たくさん曲を作ってるので、いいタイミングで出していきたい。「カロン」を作って以降、曲作りが劇的に変わってきた。よく分かんない曲を、形にできるようになりました(笑)。ポップな曲も、自分たちのものにできるようになったし。もっと作りたいですね。
- 澤村:自分の好きなバンドと“対決ツアー”がやれたら嬉しいです。
- 藤咲:ツアーっていっても、まだ大学生のこともあって、回り切れていないところがある。「自分の町にも来てください」って言われることが多いので、1ヵ所でも多く回れるバンドになりたいですね。
【 取材・文:平山雄一 】
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ビデオコメント
INFORMATION
ねごとpresents "お口ポカーン!!対決ツアー"
◆3月9日(水)
北海道 札幌COLONY
OPEN18:30/START19:00
ACT:ねごと、シュリスペイロフ
◆3月18日(金)
福岡県 福岡ビブレホール
OPEN18:00/START18:30
ACT:ねごと、rega、Over The Dogs
◆3月25日(金)
愛知県 名古屋アポロシアター
OPEN18:30/START19:00
ACT:ねごと、mudy on the 昨晩
◆3月27日(日)
大阪府 大阪シャングリラ
OPEN17:30/START18:00
ACT:ねごと、Qomolangma Tomato
◆3月31日(木)
東京都 渋谷QUATTRO
OPEN18:00/START19:00
ACT:ねごと、栗コーダーカルテット