「僕は”キレイに曲がってる”のが好きなんですよ」さかいゆう新作を語る
さかいゆう | 2011.03.11
まさに“オンリーゆう”。2011年第1弾リリースとなるミニアルバム『ONLY YU』は、歌はもちろん、作詞・作曲・アレンジ・演奏のすべてをさかいゆう一人で作り上げた快作だ。
とはいえ全6曲はワンパターンではなく、どれもが異なるカラーを持っている。1曲目「music」は、オーソドックスなピアノ・バラード。そして2曲目「AHEAD」は抜けの良いドラムがかっこいいファンキー・ナンバー。他にもリズムが楽しい「ソングライダー」など、さかいの体の中にある“歌”が多様な姿であふれ出す。そこで鳴る音のすべてが、彼自身の歌と演奏によるものなのだ。それぞれの楽器が、うまいのだ。
と、演奏力を褒めている場合ではない。さかいゆうがひとりで作り上げたかった世界の真ん中には、何があるのか。インタビューしてみた。
- EMTG:“ミニ”なのに、いろんなさかいゆうに出会えるアルバムだね。
- さかい:去年、1stアルバムをいろんな人とドンチャン作った後(笑)、自分の作る“デモ”のままを聴いてほしくなったんですよね。で、今回はひとりでやってみた。せっかくだから6曲それぞれ、似てない感じのものにしようと思って。ちょっとしたイタズラ心もあるけれど、それがこのアルバムの良さでもあり、不親切さでもある。それそのままを楽しんでもらえればいいと思ってます。自分の喜怒哀楽の激しさが、そのまま出たアルバムとも言えるんだけど(笑)。
- EMTG:なんか、楽しそうだね。聴いてると、さかいゆうが先頭に座ってるジェットコースターに乗ってるみたい。正統派のピアノ・バラードで始まって、2曲目の「AHEAD」ではすごくファンキーなサウンドにジャンプする。
- さかい:メッセージが明確な「AHEAD」が、リード・トラックです。サウンドはかっこいい。で、歌詞もかっこいいのかなと思いきや、実はかなりかっこ悪い(笑)。全体に「前へ前へ」ってポジティブなことを歌ってるんですが、主人公はどこが前だか分かってない。それでも「前へ」って歌ってる。この人はカリスマじゃない。そこが人間くさいと思うんですよ。スタイリッシュな曲にもできたけど、ゴツっと武骨にしたかった。
- EMTG:面白いね。
- さかい:聴いていて、クリエイティブなアルバムにしたかった。自分としては“新しい音楽”を作るっていうことを、すごく意識してました。
- EMTG:個人的には、6曲目の「夏のラフマニノフ」が好きだな。“優しい君と、悲しい君を、僕だけが知ってる”っていうフレーズがいいね。
- さかい:夏の前に出会って「この人とは付き合えるかも」って直感する。短時間でいい所も嫌な所も含めて好きになっている。多分、変な人同士なんでしょうね(笑)。♪一番イイ奴の僕と 一番ヤな奴の僕を 知っていた 君だけが♪っていう、“君”もかなり変です。
- EMTG:あはは。それは自分の恋愛観と重なる?
- さかい:そうかも(笑)。僕は「キレイに曲がってる」のが好きなんですよ。
- EMTG:“キレイに曲がる”って、いい言葉だね。
- さかい:普段、やさしい奴が、怒るとどんな態度を取るかで、その人のパーソナリティが出る。
- EMTG:その観察はちょっと意地悪だけど(笑)、確かにそうだよね。
- さかい:谷川俊太郎さんも言ってますけど、その曲を“どう聴いてほしいか”はないけど、“どう聴かれてほしいか”はある。
- EMTG:どういうこと?
- さかい:たとえば“いい自分”と“嫌な自分”のどっちもないと、その人と友達になれない。それと同じで、どっちの自分も描いたほうが相手に伝わると思う。両方、同居してて、いいんじゃないかな。
- EMTG:なるほど。もしかして、ナルシスト?
- さかい:ですね(笑)。この歌も、自分への問いかけみたいなものです。僕は職業作詞家じゃないから、歌詞は主観でしか書けないし。
- EMTG:「夏のラフマニノフ」は日本ではあんまり描かれてこなかったシチュエーションのラブソングだけど、聴いていて状況がすぐ分かる。
- さかい:ライブを想定して、最初の2行で聴いてる人に状況が分かるように、言葉はなるべくシンプルにしようと思って書いてます。“難しくて、聴きやすい”っていう歌を目指してるんで(笑)。それが僕の“ロックの精神”っていうか。小田和正さんは、それをメロディでやってるんだと思う。
- EMTG:きっと、そうだね。ボーナス・トラックの山下達郎の「FUTARI」のカバーも面白かった。特にピアノが(笑)。
- さかい:達郎さんに、「歌もピアノももっと練習しろ」って言われそうなテイクです(笑)。僕はこの曲に何回も助けられてて、すごくリスペクトしているんです。なので、この曲ができたときの姿をよく想像してた。今回、その姿でやってみたかった。オリジナルでは佐藤準さんが、湖に水滴を落としたような空気感で弾いてる。でも、演奏が完璧だと、見えにくくなる言葉がある。マイルス・デイビスが「本気のキスは一回だけ」って言ってるんですけど、今回は最初のテイクを選びました。他には「music」と「夏のラフマニノフ」が一発録りです。
- EMTG:うわあ、僕が好きなのは一発録りばっかりだ。
- さかい:“ひとつ先”を行きたいから、本気のテイクです。
- EMTG:そしてツアーに出るわけだけど。
- さかい:ツアーもひとりでやります。でも、弾き語りじゃない。サンプラーを使って、その場で音を重ねていくスタイルになると思います。このアルバム以外の曲もやりたいので。ぜひ見に来てください。
【 取材・文:平山雄一 】
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ビデオコメント
リリース情報
INFORMATION
さかいゆう待望の2011年ライブツアー決定!!
さかいゆう TOUR "ONLY YU"#1
◆3月13日(日)
東京・Mt.RAINIER HALL
SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999
◆3月20日(日)
広島・LIVE caf? Jive
[問]ユニオン音楽事務所 082-247-6111
◆3月21日(月・祝)
愛知・名古屋TOKUZO
[問]JAILHOUSE 052-936-6041
◆3月27日(日)
札幌・KRAPS HALL
[問]マウントアライブ 011-211-5600
◆3月29日(火)
石川・金沢21世紀美術館・シアター21
[問]キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100
◆4月3日(日)
仙台・darwin
[問]キョードー東北 022-217-7788
◆4月9日(土)
大阪・心斎橋JANUS
[問]GREENS 06-6882-1224
◆4月10日(日)
福岡・ROOMS
[問]キョードー西日本 092-714-0159
◆4月17日(日)
高知・X-pt.
[問]デューク高知 088-822-4488
◆4月23日(土)【追加公演】
東京・Mt.RAINIER HALL
SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999