センス抜群! 大橋トリオのクリスマス・アルバム『MAGIC』はひと味もふた味も違う!

大橋トリオ | 2013.11.22

 耳触りはメローなのに、エッジの効いたグルーヴィーな音を 聴かせてくれるのが大橋トリオの最大の魅力。リズムとコードを知り尽くした大橋は、まずカバーでそのマジックを発揮し、オリジナルでは英 語も日本語も見事に活き活きとしたグルーヴに乗せて聴かせてくれる。その非凡なセンスは、布袋寅泰などのビッグネームからもお墨付きをもらっているほどだ。

 前作『plugged』では大胆にロックにアプローチして新生面を見せた大橋だが、今回の『MAGIC』はクリスマスをキーワードに、ロマンティックでメローなサウンドを前面に押し出している。ただメローと言っても、その奥にアップデイトなグルーヴを忍ばせているのはいつもの通りで憎い限り。

 今回は話題の三宅唱監督の短編映画『TREE HOUSE』が収録されていて、相変わらずのセンスの良さにニヤリとしてしまう。

EMTG:大橋さんはこれまでテレビドラマや映画の音楽を作ってきましたけど、初めて自分のオリジナル短編映画を作った感想は?
大橋:ドラマだとまず脚本があって、そこから曲を作って撮影 する。映画だと脚本に沿って撮影を進めて、その映像に対して音楽を付けるんですよ。今回は監督の三宅唱さんの作ったストーリーに、僕が音 楽を付けたんですけど、僕ら側からの企画なのでいろいろな意見が言える現場だった。普段のそういう仕事では、監督や脚本が優先なので何も言えないんですけど、それが貴重な経験でしたね。しかも自分が出演したのは初めてで。
EMTG:それは大きいね(笑)。
大橋:そう、それがいちばん大きなテーマだったかもしれない(笑)。
EMTG:役者デビューはどうでしたか?
大橋:思ってる以上に表現しないと、伝わらないっていう。でも何テイクか撮った中から監督が選んだのは、割と僕が“素”でいるものが多かったです(笑)。
EMTG:あはは、それは面白い経験だね。
大橋:でも、映画の演出の部分は僕が口を出す問題ではないから。ただ若い監督だったので、子供のシーンでは子供独特の“間”を大事にした方がいいとはアドバイスしました。ちなみに、『TREE HOUSE』の主人公のノアは、9才で、すごくかわいい。将来が楽しみな女の子ですね。
EMTG:自分で映画を作りたくなったかな?
大橋:うーん、その世界も面白そうだけど、やるべきではないかなと思う。仕事の役割っていうか、住み分けの問題ですよね。自分とは違う才能に対する信頼があって、初めて成り立つものでしょ。変な言い方だけど、音楽について言えば、信頼の置ける人がいないから僕は自分でやってるわけで。
EMTG:確かに(笑)。そして、今年の夏フェスのライジングサンで観たとき、すごくアクティブなライブでビックリした。
大橋:ロックを意識したアルバム『plugged』のツアーの流れのライブだったからね。
EMTG:あのライブを観てたから、今回の『MAGIC』はもっとロックなものになるかと思ってた。
大橋:もともと若い頃は、メタルやハードロックバンドでドラ ムを叩いてたこともあって。
EMTG:あ、そうなんだ! ヘッドバンキングしながら叩いてたの?
大橋:いやいや、それはやりませんでした。純粋に音楽として好きだったから、アクションはなしで、ひたすら演奏してました(笑)。
EMTG:動かずにハードロックやるなんて、大橋トリオらしいなあ(笑)。
大橋:音楽的にロックは好きだから、またロック・アルバムは作りたいと思ってます。
EMTG:だったら『plugged 2』とか。
大橋:あ、それいいかも。でも今回は、クリスマス・アルバム、ウインター・アルバムを作るってことで、制作を始めた。前からクリスマス・アルバムを作りたかったんですよ。クリスマス・アルバムって、外人ミュージシャンのステータスじゃないですか。なんか、その年いちばん輝やいたアーティストが作るっていう。だからクリスマス・アルバムっていう存在が好き。それに、一年のうちでいちばん音楽が似合う季節だし。
EMTG:でも昔でいえば、夏に必ずアルバムを出すTUBEとかもいたじゃん。
大橋:いやいや、誰も“サーフ・アルバム”とか作らないし(笑)。
EMTG:じゃ、今回、かなり意気込んでクリスマス・アルバムを作ったの?
大橋:「ジングルベル」をジャジーにやるっていうようなやり方もあるけど、それは僕のやることじゃない。J-POPアーティストとして、偏屈にもならず、ポップにもなり過ぎずっていうバランスを考えながら作りましたね。
EMTG:そのバランスで言うと、1曲目のユーミンのカバー「恋人はサンタクロース」がすごくよかった!
大橋:あの曲、好きなんですよ。今の時代に、ちょっとダサかっこよくて、日本の中でいちばん好きなクリスマスソング。
EMTG:あ、それ、わかる。あのわかりやすい感じが、ぎりぎりダサかっこいい!
大橋:そこまで僕は言えませんけど(笑)。それを大橋トリオがアレンジしたらこうなるっていう風に、サプライズ的にやりたかったんです。
EMTG:ブラスがジャズコンボみたいで、かっこよくて。
大橋:あれはEGO-WRAPPIN`の 武嶋(聡)さんにお願いした。すごく丁寧にオーダーを聞いてくれて、よかったです。マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」は、ジャジーにやってみたらいい感じになって。
EMTG:今回はオリジナル4曲、カバー6曲だったけど、オリジナルではやっぱりタイトル曲の「MAGIC」がポップでよかった。
大橋:鈴の音を入れればなんとかなるって思ってたんだけど、意外と難しくて(笑)。自 分がやれるキラキラしたクリスマスソングって、こういうものだなってわかりましたね。
EMTG:あはは。前にBONNIE PINKとコラボした「BE THERE」を思い出した。
大橋:そうそう、ああいう感じです。自分が好きなだけじゃクリスマスソングってなかなか作れないんだな。だからクリスマスの名曲を作った方々はすごいんだなって、改めて思いました。
EMTG:ちなみに、いちばん好きなクリスマス・アルバムって?
大橋:ビンス・ガラルディっていうジャズ・ピアニストのアルバムで、『チャーリー・ブラウンのクリスマス』。このアルバムは以前からずっと好きですね。
EMTG:最後に『MAGIC』の楽しみ方を教えてください。
大橋:みんなでパーティするときに聴いてもよし、もしくは車の中でひとり静かに聴いても大丈夫なように作ってあります。
EMTG:ありがとうございました。

【取材・文:平山雄一】

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リリース情報

MAGIC(CD+DVD)

MAGIC(CD+DVD)

2013年11月20日

rhythm zone

[CD]
1. 恋人がサンタクロース
2. MAGIC
3. Love The Season
4. All I Want For Christmas Is You
5. River
6. Starman
7. スノードロップ
8. 森ノクリスマス
9. Please Come Home For Christmas
10. Hallelujah
[DVD]
(DVD)
『TREEHOUSE』(A Short Film For Trio’s Christmas Song)
『MAGIC』(music video)

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お知らせ

■ライブ情報

L’ULTIMO BACIO Anno 13 10th Anniversary
2013/12/18(水)恵比寿The Garden Hall
2013/12/19(木)恵比寿The Garden Hall

ohashiTrio HALL TOUR 2014
2014/03/16(日)名古屋 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
2014/03/29(土)福岡市民会館
2014/04/6(日)広島 南区民文化センター
2014/04/12(土)仙台市青年文化センターシアターホール
2014/04/19(土)金沢市文化ホー
2014/04/29(火)大阪 オリックス劇場
2014/05/09(金)東京 NHKホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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