大橋トリオ、初のベストアルバムはなんと3種類でのリリース! 

大橋トリオ | 2014.03.05

 初のベストアルバム『大橋トリオ』は、『スタンダードベスト』、『バラードベスト』、『カバーベスト』の組み合わせが3種類。『デラックスベスト』には、さらに特典DVDが付いている豪華版だ。
 洋楽をベイスにしたハイセンスな曲作りとサウンドに、“日本人離れ”したボーカルが加わると、唯一無二の大橋ワールドが出現する。音楽好きなリスナーを中心に人気を集めてきたが、昨年出した『plugged』でロック・ファンにも浸透。夏フェスに参戦して、ライブ・アーティストとしても評価を確立した。
 レコーディングではピアノ、ギターはもちろん、ドラムやベースなどほとんどの楽器を自ら演奏。最近、奥田民生や斉藤和義、吉井和哉などがセルフ・レコーディングを行なっているが、中でも大橋の それは最高レベルのクオリティを誇っている。そうした多面的な魅力を網羅したのが、ベスト『大橋トリオ』というわけだ。
 今回のリリースに際して、それぞればらばらだった曲のマスタリングをMonkey Majikなども手掛けるロンドンのエンジニア、スチュアート・ホークスが全曲リマスタリング。一貫性が増して、素晴らしい仕上がりになった。J-POP、J-ROCKシーンNo.1と言っていい大橋の高いクリエイティヴィティに関して聞いてみた。

EMTG:今回、ベストを出そうと思ったのは?
大橋:今までやってきたことが、本当に自分のやりたかったことで、自分が納得するものだったのかっていうことを、一度見つめ直したいなっていうのもあったんですよ。その区切りとしての『ベスト』です。だからこれを出した後、次にやることを、ちゃんと時間掛けて考えていきたいと思ってます。
EMTG:『デラックスベスト』は、なんと3枚組ですね。
大橋:3枚になったのは、入れたい曲が多過ぎたから。メインのオリジナル曲は絶対入れなきゃいけないし、バラードも絶対入れたい曲がいっぱいあったし、自分で言うのもなんですが、大橋トリオと言えばカバーなので(笑)、だったらそれを、3枚に分ければいいのかなって。
EMTG:『スタンダードベスト』には、インディーズ時代の曲も入ってますね。
大橋:入れておきたい曲があったので。4曲目の「A BIRD」からメジャーになったんですけど、「メジャーってどういうこと?」みたいなことを自分で考えて、こういう曲と音作りになってます。
EMTG:メジャーになって変わった点は?
大橋:よりポップになったことですかね。それでも、メジャーってことを考え過ぎて、むしろインディーズの方がポップだった気もしなくもないんですよ(笑)。
EMTG:僕は個人的には、大橋流ロックに挑んだ「マチルダ」が好きだな。
大橋:「マチルダ」に関しては、キャッチーなグルーヴをロックっていうテーマにおいて見せるべきだなって思ってました。実はそう思う前に、このギターリフを思い付いたから、まず曲を作ったんですよ。その後で、この曲を軸としたアルバムにしたら面白いかなあと思ったんです。ただ、全部こういうリフを作るっていうのは難しいですね(苦笑)。U.K.のセンスのいい人がポンポン作るならともかく。僕はこの1曲でもう無理かなって(笑)。
EMTG:あはは。
大橋:やっぱりリフって、“発明”なんですよね。それがあれば、曲が成り立ってしまう。アルバムの中にそういう曲が3曲あると、名盤になるんですよね。
EMTG:“発明”がね(笑)。
大橋:そう(笑)。ジャック・ジョンソンとか、そういうことだったんじゃないかなあと思うんですけど。
EMTG:「モンスター」で秦基博さんをフィーチャリングしたのは?
大橋:コラボはチョコチョコやってるんですけど、秦くんは日本の男子の歌手でいちばんすごいなって思う人ですね。もう、大好きです。もうちょっとすると、日本のスティーブン・ビショップになるかもしれない。僕がコラボをやりたいなと思うのは、秦くんとかBONNIE PINKさんとか、“洋楽みたいな声を持っている人”ですね。
EMTG:大橋トリオにとっての“バラード”って、どういうものなんですか?
大橋:なぜか、雨の曲が多い(笑)。「赤い傘」「君は雨」「サヨナラの雨」とか。
EMTG:ほんとだ(笑)。
大橋:『バラードベスト』の中では、1曲目の「Colors」に思い入れがあります。これは最初に作った日本語の曲です。
EMTG:日本語にメロディを付けて歌うのは、抵抗がなかったんですか?
大橋:もともと洋楽が好きだったので、自分のCDは、CD屋さんの洋楽コーナーに置いてほしかった。だから最初は英語で行こうと思っていて、それしか考えてなかったんですよ。これは自分が映画音楽をやった「colors」っ ていう映画のエンディングなんですけど、それのために書き下ろした曲なんですね。で、映画側からのリクエストは、日本語がいいっていうことだった。なので、自分が歌うものとして日本語の曲を初めて書いたんです。
EMTG:今、聴いてみてどうですか?
大橋:日本語の歌い方が定まってない感じがしますね。なんか、迷いがあるというか。今だったらもうちょっとこう歌うなっていうのがある。だから、「青いなあ」って(笑)。でも、やってみて思ったのは、この国で英語で歌うのは、自己満足に過ぎないと思いましたね。自分もリスナーとして、日本人が英語で歌っているCDは聴かないと思う。やはり日本語で歌うべきだな、と。
EMTG:そして『カバーベスト』は、「贈る言葉」で始まる。
大橋:「贈る言葉」をやってみたら?って言われて悩んだけれど、「こうやったら面白いかな?」っていうアイデアがパッと思い浮かんだのでやってみました。
EMTG:この曲で、“大橋トリオのカバー”っていうひとつの武器を手に入れたわけですけど。
大橋:はい。ただ、カバーに関しては、皆さんに言いたい。矢野顕子さん以外の皆さんに言いたい。
EMTG:矢野さんがカバーをする場合以外ね(笑)。
大橋:そうです。「なんでそのまんまやるの、あなたたちは! だったらオリジナルを聴くから」っていう。そのままやるのであれば、ただの“歌の上手い人バージョン”でしかないから(苦笑)。
EMTG:「そのまんまやるな」と言いたい。
大橋:はい。僕は大学のときにジャズコースだったんですけど、アレンジメントっていう授業 があった。いろんなスタンダードの曲をグチャグチャに変えてしまおうっていうレッスン。ジャズにおいてのアレンジメントって、アイディア勝負なんですね。まったく原曲の影すらないアレンジをしてくる人もいる。その一方で、原曲をガラッと変えるのをタブーだと思っている人がいる。もっと言えば、カバーでそういうことをするっていうことを知らない人も多いと思うんです。だから「もっとカバーを知りましょうよ」って言いたい。もっとグチャグチャにして、楽しみましょうよって(笑)。
EMTG:そして「贈る言葉」はウケた。
大橋:話題にはなりましたね。「贈る言葉」に関しては、ミラクルが起こったと思うんですよ。このアレンジによって、歌詞の良さをみんなが再発見できた。実はこの歌が失恋ソングだっていうのを、みんな知らなかったんです。卒業ソングだとしか思ってなかったから。だからあのアレンジに効果があったなって、自分でも思いますね。
EMTG:今後もカバーはやり続けるんですか?
大橋:正直、カバーしたい曲がもうない。カバーはやり尽くした感があるかな、もうやらないとは言いませんけど(笑)。
EMTG:『デラックスベスト』には、スタジオライブの特典DVDが 付いてますが。
大橋:スタジオ・ライブ・レコーディングっていうのを、やってみたかったんですよね。僕、普通のライブの映像が残るのがイヤなんです。ライブはライブだから、映像で見るものじゃない。もし見るんだったら、大画面大音量で見ないとそれは嘘だよって思う (苦笑)。でも、近所迷惑もあるからそんなに音量も出せないわけだから、そういう状況で見ないでほしいんです。ライブはやっぱり会場に来て、体感してほしいなって思うので、来られなかった人はもうしょうがない。だって来られなかったんだもん(笑)。でもスタジオライブは別で、自分の作品として責任が持てるから、やってみたかった。
EMTG:やってみて、どうでした?
大橋:すごく面白かったですね。このところ、楽器を全部自分で演奏するレコーディングが多かったんですけど、他のミュージシャンとやるのも好きなんですよ。
EMTG: それにしても、大橋さんを初め、楽器の上手な人の歌って、独特の味がありますね。
大橋:向こうのミュージシャンって、歌の上手い人が多い。でも、日本だと、ギターを弾く人はギターだけっていう人が多い。もっと歌えるミュージシャンが増えれば面白いのにな。みなさん、もっと歌いましょう!(笑)。

【取材・文:平山雄一】

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リリース情報

大橋トリオ[3CD+DVD]

大橋トリオ[3CD+DVD]

2014年03月05日

rhythm zone

[DISC 1]スタンダード盤
1. Baumkuchen(featuring ohashiTrio)
2. Happy Trail
3. そんなことがすてきです
4. A BIRD
5. Winterland
6. HONEY
7. トリドリ
8. ゼロ
9. Bing Bang
10. モンスター feat.秦 基博
11. マチルダ
12. サクラ
13. Seven Days
14. 世界で一番幸せ者になれ ※新曲
15. KOE ※新曲

[DSIC 2]バラード盤
1. Colors
2. Cryin’
3. Dearest Man
4. JURADIRA
5. 赤い傘
6. Shine
7. 君は雨
8. Lady
9. 月の裏の鏡
10. 生まれた日
11. わすれない
12. 窓 feat.矢野顕子
13. サヨナラの雨
14. 小さな家 ※新曲

[DISC 3]
1. 贈る言葉
2. traveling
3. I’m yours
4. Dreams
5. Angel
6. You gotta be
7. KiSS OF LIFE
8. Gracekelly
9. ラブリー
10. LA LA LA LOVESONG
11. ラストシーン
12. 風の谷のナウシカ
13. Water is wide

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お知らせ

■ライブ情報

ohashiTrio HALL TOUR 2014
2014/03/16(日)名古屋 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
2014/03/29(土)福岡市民会館
2014/04/6(日)広島 南区民文化センター
2014/04/12(土)仙台市青年文化センターシアターホール
2014/04/19(土)金沢市文化ホー
2014/04/29(火)大阪 オリックス劇場
2014/05/09(金)東京 NHKホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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