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TRICERATOPS、夏の全国ツアー“MOD SURFER”。その最終日をレポート!

TRICERATOPS | 2011.09.07

 8月21日、横浜BLITZにて最終日を迎えた、TRICERATOPSの夏のツアー“mod surfer”。ネオモッズでスタイリッシュな彼らも夏ばかりは波に乗ってイケイケ気分……てなところだろうか、この日も登場はスーツでばっちりキメながらも、ライブが進むにつれて汗が飛び散り、心拍数はどんどん上がっていった。

「ヨコハマ、会いたかったよ!みんなの本気を見せてくれるかい?Are you ready?」
 ポップな佇まい、音は重め、セットリストは新旧取り混ぜながらも今のTRICERATOPSをリアルに感じさせるもので、圧倒的演奏力とふくよかなボーカルが観客の気持ちを刺激的なグルーヴの旅へと誘っていく。

 たとえばこんな感じ。

 5曲目「僕が欲しいもの」(サードシングル「ロケットに乗って」のカップリング)のイントロを、ベースの林幸治、ドラムの吉田佳史がリズムを刻む中、ボーカルの和田唱は立て膝でギターのチューニング、それが終わると「ウォ???ッ!」と雄叫びを上げながら立ち上がり、リズム隊に心地よく乗っかっていった……と思いきや、「ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、みんな!」と喋りだす和田。 「気がついたら、14歳です!」
 バンドならではの自由な動き。思わず、ハッと引きつけられる。 「オレたちがデビューした1997年に戻ってみませんか?」
 当時の年齢を発表し、「アハハッ、若いな!」と照れながらメンバー紹介。
「そこからオレらは歌い続けて、プレイし続けて、こうやってみんなの前に立ってます」
 どこか誇らしげな和田。彼のノリにピタッとフィットしたリズムが、デビュー14周年を迎えたバンドの絆をさりげなく証明している。

 若かりし頃の作品「僕が欲しいもの」?飛躍を誓った「Fly Away」?最新アルバム収録曲「I GO WILD」?と、スピーディに歴史を駆け抜けると、ライブは中盤、アコースティックコーナーに突入。
 今年4月から彼らが取り組んでいる新しいライブの形、「連載・おとといミーティング TRICERATOPS“12-Bar”」を彷彿とさせる。エレキもいいけれど、アコースティックなアレンジセンスもかなりのレベルで、彼らの楽曲のまた違う表情が見られることで新鮮な驚きをファンに与えているイベントだ。その“12-Bar”でも頻繁に見られるのは、リラックスしすぎた(まるでリハーサルスタジオにいるかのような)フリーなテンション。
この日も、その勘を思い出したのか、デタラメ英語やカタコト日本語で来日ミュージシャンのようなMCが止まらない。さらに、最終日だからって気負うとよくない、今日は初日という設定でライブをやると宣言。ツアーでは各地でご当地MCを繰り広げたそうだが、横浜といえば、あのフォークデュオ、「季節も夏だし」(林)と、ゆずの「夏色」を即興で演奏。……などなど、とりとめがない。が、もちろん演奏になれば本領発揮、オトコマエな顔になる。

「ヘイ、ボーイズ! 女の子がいなくちゃ生きていけないだろ?」と、始まったのは「GIRLS」。さらにビーチボーイズのカバー「The Girls On The Beach」では美しいコーラスワークを聴かせる。

 ギターを再びエレキに持ち替え、後半へ。
「if」でゆるやかに揺れていたかと思うと、ガラッと装いを変えて「Believe The Light」でグッと観客に近づき、核心へと導いていく。林と吉田のリズム隊セッションを挟みつつ「あのねBaby」と加速、最新の「We Are One」からデビュー曲「Raspberry」へ、何ら不自然なつなぎ目のない、柔軟なバンドの軌跡を物語った。

 アンコール。
「ヨコハマ、すてきな夜をありがとう!」  おもむろに和田唱が語りだす。
「ツアーは終わりますが、オレたちの歴史は続きます。次の創作活動です。それでこそミュージシャンでしょ。ライブ、ライブ、創作、ライブ、ライブ……生きることそのものが創作だと思ってます。……かっこつけたわけじゃないよ(笑)」
 ツアータイトルに使われた“Surfer”という言葉にかけて。 「波が来てる、と。新しい曲を作って、みんなに聴かせたい」 その気持ちがまた波になり、押し寄せ、期待を高める。 「世の中にはいろんなメッセージソングがあります。どれもすてきだけど、オレらはラブソングが一番強烈なメッセージだと思います」
 一番近くにいる人を愛する→気持ちがハッピーになる→世界中に広がる……と、アンコール1曲目は「僕らの一歩」。恋人との歩幅を歌った、ピュアなラブソング。

 思えば、TRICERATOPSの曲は、恋人への正直な気持ちを歌ったラブソングでありながら、その言葉の選び方はもっと広い視野で見つけてきたような、力強くやさしい歌詞が多い。この日演奏された楽曲でも、「生きてるのさ、そのことだけでも祝おうか」(「LOONY’S ANTHEM」)、「なりふりなんか構っちゃいられない、絶対この愛だけは譲れない」(「I GO WILD」)、「踊ろうよ、それですべてうまくいく」(「Raspberry」)など、頼もしいフレーズがちりばめられていて、それらがサブリミナルのように気づいたら背中を押してくれている。

 観客とも近い関係でいたいと和田唱は告白する。
「いろいろあると思います。でもそれでいいんだよ。越えられるからこそ、そういうことが起こるんだから。笑顔でいてほしいと思います。幸せは笑顔の人のところに来ると思います。オレもそうする。お互い笑顔でがんばろうぜ」

 別れを惜しみながら「GROOVE WALK」「トランスフォーマー」で踊ったあとは、最後にやさしくハグするかのような「Any Day」で、ライブの幕は閉じた。

 この日、早くも決定した冬のツアーも発表され、「新曲を持ってくるよ」と約束も交わされた。動きを止めないTRICERATOPS、次なるニュースも楽しみだ。

【 取材・文:森田恭子 】【 撮影:山本倫子 】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル TRICERATOPS

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リリース情報

WE ARE ONE -CERTIFICATE-

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2010年12月29日

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セットリスト

  1. LOON’S ANTHEM
  2. Jewel
  3. 1000 Love
  4. ハートのショップ
  5. 僕が欲しいもの
  6. Fly Away
  7. I GO WILD
  8. GIRLS
  9. Walk In The Park
  10. The Girls On The Beach(The Beach Boys)
  11. if
  12. Believe The Light
  13. あのねBaby
  14. We Are One
  15. Raspberry


  16. -ENCORE-

  17. 僕らの一歩
  18. GROOVE WALK
  19. トランスフォーマー
  20. Any Day

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