TRICERATOPS、“SHOUT TO THE STARLIGHT TOUR”追加公演をレポート!
TRICERATOPS | 2016.01.15
バンドと楽曲と観客とが切磋琢磨しあって、奇跡的な空間を作り上げていた。2015年9月からスタートした“SHOUT TO THE STARLIGHT TOUR”ツアーの24本目、追加公演のファイナルとなる12月30日の赤坂BLITZ。
Ace Frehley(ex Kiss)の「Do Ya」のオープニングSEに続いて、1曲目の「Flash!」が始まった瞬間から和田唱(V&G)、林幸治(B)、吉田佳史(Dr)の奏でるソリッドでタイトなバンド・サウンドが全身を直撃してきた。強靱なグルーヴに激しく揺さぶられた。1曲目からこんなに飛ばしていいのだろうかと懸念してしまうほどだったのだが、結論から言うと、まったく問題なしだった。バンドの勢いも集中力もテンションも会場内の熱気も最初から最後までずっと持続していくミラクルなステージとなったのだから。つまり最新アルバム『SONGS FOR THE STARLIGHT』収録曲をツアーで演奏することによって鍛えられ磨かれて、TRICERATOPSはさらなる進化を遂げていたということだろう。新曲だけではなくて、旧曲もパワーアップしていた。よりワイルドな「I GO WILD」、自在に駆け抜けていく「Warp」、たおやかさが増した「if」などなど、どの曲も体の深いところに届いてきた。
「今年(2015年)ももうすぐ終わります。今年最後だから最高の思い出に残る夜にしましょう」と和田。その言葉は序盤からしっかり実行されていた。ブルース・フィーリングあふれるギター・ソロを交えての演奏に身を任せているのが気持ち良かったのは宮沢和史&TRICERATOPS名義で制作されたブルースロックナンバー「氷のブルー」。この世の中にはブルーなものがあふれていて、闇の中にいるような気分になることもある。だからこそ光を放つ歌のかけがえのなさが際立っていく。「GOOD ENOUGH」はこの夜のハイライトのひとつだった。ギターをつま弾きながら和田が歌い始めた瞬間から超満員の1400人の想念と歌声が結集してひとつになっていく。この曲はこれまでのステージでも素晴らしい瞬間を数々生み出してきたのだが、1ツアー経ることで、曲のポテンシャルが最大限に発揮されていると感じた。歌、メロディ、サウンドが一体となることによって、歌詞がよりストレートにダイレクトに伝わってくるという印象を受けた。
林と吉田が退場して、和田が単独で映画『夢のチョコレート工場』で使われた曲「Pure Imagination」をガットギターで奏でる場面もあったのだが、繊細でピュアでマジカルな演奏に聴き惚れた。そのまま弾き語りで「赤いゴーカート」へ。激しいロックナンバーをこんな形で表現していくところはとても粋だ。和田は音楽番組『クリスマスの約束』での小田和正との共演でも音楽家としての才能を存分に発揮していたが、音楽的なセンスのきらめきと音楽への愛情の深さはライブ中のちょっとした瞬間にもにじみでている。和田がキーボードを弾いて、林と吉田と三声のコーラスを披露した「虹色のレコード」、温かな演奏が染みてきた「HAPPY SADDY MOUNTAIN」、 May J.とのコラボレーション曲を男3人でロマンティックに表現した「Startin’ Lovin’」など、激しい曲だけでなく、穏やかな曲によっても観客を魅了し続けていけるところからはバンドの底力を感じた。
アルバム『SONGS FOR THE STARLIGHT』発表以降の進化したバンドがさらに本領を発揮したのは「GRRR! GRRR! GRRR!」からの後半の流れ。シーケンサーが導入されていたのだが、林のエッジの効いた渾身のベースと吉田のパワーを内に秘めたドラムが加わって形成されていく肉体的なグルーヴからはバンドの未来が見えてくる気がした。例えるならば、贅肉を削ぎ落とした鋼の筋肉のようなリズムなのだ。それぞれの楽器の存在感のある音色もこのグルーヴの形成に貢献していると思えた。アルバム・リリースから約1年の月日を経て、楽曲たちが成長し続けて、追加公演ファイナルに至ってひとつの完成を見たとも言えそうだ。ミラーボールの光が降り注ぐ中、会場内のハンドクラップが加わっての「スターライト スターライト」はTRICERATOPS流のダンスナンバーのひとつの到達点でもあるだろう。だがまだまだピークは終わらない。会場内の熱狂はさらにエスカレートしていく。
林と吉田によるセッション、「Hayashi & Yoshifumi Groove」も破壊力十分だ。ツー・ピースなのに楽曲的な起伏を備えていて、音楽的なスリルと快感を提供してくれる血湧き肉躍るエンターテインメントとしても成立しているところが素晴らしい。和田が再登場しての「Mirror」でも白熱のセッションが展開された。まるで歌うようなギターソロも冴え渡っていた。本編最後に演奏された「Shout!」は会場内をひとつにしていくフレンドリーでヒューマンなパワーを備えたナンバーへと成長していた。観客のハンドクラップと歌声が重なって、大きなシャウトが生まれて、温かな空気が会場内に満ちていった。アンコールでは「恋するギターとガーベラの花」「FEVER」、さらにWアンコールで「Fall Again」が演奏されるといううれしいサプライズもあった。4月にアコースティックライブをやること、5月からツアーが行われることも発表になった。
「また来年(2016年)もよろしく。みんなの近くにいられるバンドでありたいと思っています。みんなもいてください。色々あると思うけれど、そういう時に俺らの曲やライブがみんなのエネルギーになってくれたらうれしいです」と和田。
TRICERATOPSの音楽がこんなにも胸に響いてくるのは、一過性の瞬間的なパワーではなくて、立ちはだかる壁を突破して突き進んでいく持続力のあるパワーを備えているから、そしてその根底に愛があるからだろう。愛と夢と希望をシャウトし続けるスリーピースバンドが2015年をこんなにも鮮やかに締めてくれたのだから、きっと2016年は良いことが待ち受けているに違いない。そんな予感を抱かせてくれる見事なライブだった。
【取材・文:長谷川誠】
【撮影:山本倫子】
リリース情報
セットリスト
"SHOUT TO THE STARLIGHT TOUR"追加公演
2015.12.30@赤坂BLITZ
- Flash!
- I GO WILD
- Warp
- if
- 氷のブルー
- GOOD ENOUGH
- ポスターフレーム
- Pure Imagination
- 赤いゴーカート
- 虹色のレコード
- HAPPY SADDY MOUNTAIN
- Startin’ Lovin’
- GRRR! GRRR! GRRR!
- スターライト スターライト
- Hayashi & Yoshifumi Groove
- Mirror
- Silly Scandals
- Shout!
- 恋するギターとガーベラの花
- FEVER
- Fall Again
お知らせ
PREMIUM ACOUSTIC LIVE
2016/04/16(土)SHIBUYA CLUB QUATTRO
2016/04/17(日)SHIBUYA CLUB QUATTRO
LIVE TOUR 2016
2016/05/14(土)仙台darwin
2016/05/15(日)浜松窓枠
2016/05/21(土)福岡IMS ホール
2016/05/22(日)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2016/05/28(土)大阪 なんばHatch
2016/05/29(日)名古屋 Zepp Nagoya
2016/06/12(日)新潟LOTS
2016/06/19(日)東京 Zepp Tokyo
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。