“TRICERATOPS TOUR 2014”最終日をレポート!
TRICERATOPS | 2014.08.08
“LIVE TOUR 2014”のファイナルのステージが行われた7月21日はTRICERATOPSにとって特別な日だった。彼らのデビューシングル「Raspberry」がリリースされたのは1997年のこの日なのだ。それから丸17年。もちろんただ長く続ければいいというものではないのだが、スリーピースにこだわって、揺るぎない部分を維持しながらも、着実に進化し続けているバンドは他にはいないのではないだろうか。この日も新たなる旅の始まりを告げるスリリングなステージとなった。冒頭で「THE CAPTAIN」、「MILK」、「NEO NEO MODS」といったお馴染みのナンバーが演奏されて、逆にバンドの成長が鮮明に見えてきた。よりソリッドで、よりタフで、よりニュアンス豊か。樹木に例えると、幹が太くなり、根が大地にしっかり張っている感じ。つまり彼らは表面的な変化ではなくて、本質的な部分で成長を遂げていたのだ。演奏の精度もパワーも表現力も増している。これは一朝一夕で出来ることではない。和田唱(V&G)、林幸治(B)、吉田佳史(Dr)というメンバー全員が同時に成長し続けているからこそ。彼らの形成する三角形はきれいな形のまま、大きくなっていた。バンドの生み出す強力なグルーヴがとてつもなく気持ちいい。観客も最初から熱狂的だ。
「ヤバいね、みんな。すでに最高の夜になりそうな予感がプンプンしてます」と和田。新曲もたくさん披露された。ソリッドなギターのリフで始まるロックナンバー「FLASH!」は骨太なサウンドでありながら、エモーショナル。歯切れのいいファンキーなリズムを備えていながら、せつなさがにじむのは「僕はゴースト」だ。相反する魅力が共存する演奏は彼らならでは。新鮮なのは新曲だけじゃない。「GOING TO THE MOON」の後半ではさらなる高みへ向かっていき、未知の景色を見せてくれた。ここぞというところでさらにスイッチが入っていく。ライブの流れをコントロールする自在さもバンドの成長の証しだろう。「力がみなぎってみなぎって。交感しているみたいな」とは吉田。
「心の中のロマンティックな扉を開いてもらえたら」という和田の言葉に続いては新曲「PUMPKIN」。スイートな歌声、やわらかなガットギター、グルーヴィーなベース、体温のあるドラム、どれも実に魅力的でまさにロマンティックの扉が開いていく。これもまた最新のTRICERATOPSのサウンド。「HAPPY SADDY MOUNTAIN」と「Finally」では和田がエレクトリックピアノを演奏。ボーカリストの鍵盤弾きだけあって、歌心があって実に音楽的だ。ピアノだからこそ醸し出されるポップ感と彼らの歌の世界との相性も抜群。林と吉田のハモリもいい感じだ。和田のキーボードの弾き語りで始まった「Finally」は味わい深い3人の演奏がじわじわ染みこんできた。聴かせるところはじっくり聴かせる。彼らは実に音楽的なバンドだ。
「最近ある人にギターを教えていまして。いいところまできているので、一緒にやろうかなと」とのことで、テレビ朝日系「『ぷっ』すま」のコーナーで和田がギターを教えている草彅剛がゲストで登場。番組の収録も兼ねて、和田がSMAPに提供した「ココカラ」、さらには井上陽水のカバー「夢の中へ」を4人で演奏。TRICERATOPSはゲストを招いて楽しいステージを展開する“もてなし上手”でもある。初々しい演奏を懐の深い演奏が包み込んでいく。このスペシャルな組み合わせの歌と演奏に会場から大きな歓声と拍手。「みんな温かい。最高ですね」と草なぎ。
ライブの後半は新曲「スターライト スターライト」から。和田によると、「歌詞はシリアスなんだけど、ダンスのグルーヴで踊れる曲にしたかった。ネガティヴな要素にポジティヴな要素をぶつけて作った曲」とのこと。悲しみをダンスで振り切っていく特別なパワーが宿っていて、“2014年の「Raspberry」”と言いたくなった。楽しみながら戦っていく。それがTRICERATOPSのやり方。続いての「Fly Away」もさらに大きな曲として響いてきた。
この日、困難を乗り越えて進んでいく意志が詰まった歌が数多く演奏された。林と吉田の自在なセッション「NEW HAYASHI & YOSHIFUMI GROOVE」では自然に顔がほころんでしまった。破格のグルーヴは無条件で人をワクワクさせていくものだ。17年分の成長が刻まれた「Raspberry」も演奏された。バンドがでかくなるということは曲もでかくなるということ。ステージと客席の熱気が混じり合い、強烈なエネルギーがほとばしっていく。観客がともに歌った「夜のSTRANGER」で本編終了。
アンコールではThe Beatlesの「Yes It Is」のカバーも披露された。和田のガットギターの演奏のもとでの三声のハーモニーが見事だった。音楽の楽しさを存分に堪能した。ダブル・アンコールの最後の曲「トランスフォーマー」が圧倒的な説得力を持って響いてきたのは“前にひたすら進んでいこう つまづいたって立ち上がろう”といったフレーズを彼らが身をもって実践しているからだろう。向上心、探求心が詰まったステージ。この日、彼らが開いたのはロマンティックの扉だけでない。音楽の新たな可能性という扉がしっかりと開かれていた。
【取材・文:長谷川誠】
【撮影:山本倫子】
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リリース情報
[DVD]12-Bar“13”
2014年02月19日
Trinity Artist
2.ACE
3.2020
4.オレンジライター
5.HAPPY SADDY MOUNTAIN(with KAN)
6.世界でいちばん好きな人(with KAN)
7.シラフの月(with 山崎まさよし)
8.セロリ(with 山崎まさよし)
9.I GO WILD(with 吉井和哉)
10.球根(with 吉井和哉)
11.瞳はダイアモンド
12.イケナイコトカイ
13.言葉にできない
14.FEVER(with 小田和正)
15.ラブ・ストーリーは突然に
16.ふたつの窓
17.あのね Baby
18.ロケットに乗って
19.恋のバッド・チューニング
20.ANYDAY
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セットリスト
TRICERATOPS TOUR 2014
2014.7.21@ZeppDiverCity TOKYO
- THE CAPTAIN
- MILK
- Neo Neo Mods
- FLASH!
- 僕はゴースト
- VINE
- GOING TO THE MOON
- PUMPKIN
- HAPPY SADDY MOUNTAIN
- Finally
- ココカラ with GUEST
- 夢の中へ with GUEST
- スターライト スターライト
- Fly Away
- NEW HAYASHI&YOSHIFUMI GROOVE
- SILLY SCANDALS
- Raspberry
- 夜のSTRANGER
- Yes It Is
- 赤いゴーカート
- MADE IN LOVE
- トランスフォーマー
お知らせ
TRICERATOPS TOUR 2014 WINTER
2014/11/01(土)愛知県 名古屋クアトロ
2014/11/03(祝・月)神奈川県 横浜BAYHALL
2014/11/08(土)栃木県 宇都宮 HEAVEN’S ROCK VJ-2
2014/11/09(日)茨城県 水戸LIGHT HOUSE
2014/11/15(土)宮城県 仙台MACANA
2014/11/16(日)埼玉県 さいたま新都心HEAVEN’S ROCK VJ-3
2014/11/22(土)福岡県福岡イムズホール
2014/11/24(祝・月)大阪府 大阪BIGCAT
2014/11/29(土)千葉県 柏PALOOZA
2014/11/30(日)群馬県 高崎FLEEZ
2014/12/06(土)石川県 金沢エイトホール
2014/12/07(日)新潟県 新潟LOTS
2014/12/10(水)東京 赤坂BLITZ
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。