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土岐麻子がサプライズ出演!!TRICERATOPSの第6回”おとといミーティング”!!

TRICERATOPS | 2012.05.01

 アコースティック編成というと、しっとりとしたライブを連想する人もいるかもしれない。だが、TRICERATOPSはそんなイメージを軽々と覆す自在なステージを展開した。「アー・ユー・レディ?」という和田の言葉に続いて始まったのは「Fever」。いきなりディスコ・テイスト漂うダンスナンバーから始まるところがにくい。会場となっているSweet Emotionのキャパは約100名で観客がぎっちり詰まっているので、踊るスペースはないのだが、おそらく観客の脳内ではダンスしまくりだったのではないだろうか。林のアコースティックベースで始まった「ハートのショップ」でのエッジの効いたリズムも気持ちいい。アコースティック編成を人間に例えると、服を脱いだ裸の状態に近いかもしれない。バンドの筋肉や骨格がよりはっきり見えてくる。つまりTRICERATOPSは“脱いでもすごい”のだ。

 最新作であるライブ録音アルバム『LOVE IS LIVE』収録の「LOVE IS LIVE」と「仲直り」も演奏された。「LOVE IS LIVE」の中の“生で感じていたいんだ”という言葉はこの夜の状況ともシンクロしてくる。「仲直り」は今の彼らだからこその深みのある歌と演奏が染みてきた。このおとといミーティングの共同プロデューサーである森田恭子氏による宿題曲のカバーが披露されることもこのイベントの醍醐味のひとつだが、すぐに宿題曲に行かないところも彼らならでは。寄り道しまくり。「冬で外は寒い。しかも宿題曲で緊張する。こんな時はどうすればいいですか? こんな時は夏の歌!」という和田のMCに続いて、ゆずの「夏色」が披露された。この曲、すでに"12-Bar" で何度も演奏されていて、お約束になりつつあるのだが、やるほどに完成度が高くなっている。林と吉田とのかけ合いも楽しい。「暖まったね」と吉田。「夏色」での準備体操を経ての宿題曲は中島美嘉の「オリオン」。オリジナルの雰囲気を尊重してのカバーとなったのだが、「納得がいかないので、もう1回やらせてほしい」との和田の要望があり、1曲丸ごとやり直すことになった。今度はバッチリ。

「2回演るのは緊張するね。あわやホームランかという当たりがぎりぎりファールになって、打ち直した感じ。2回目のは(ホームランを)打ったんじゃないかな」と林。確かに1度目も悪くなかったのだが、2度目の演奏はオリジナルの世界観に、TRICERATOPSの個性がより色濃く反映されていると感じた。和田の歌声も中島美嘉の持っているせつなさとはまた違うせつなさと包容力とを備えていた。ソウルフルな歌声と広がりのある演奏。吉田と林の歌声を効果的に配置したコーラスワークもいい感じだった。

 宿題曲に続いてはゲスト・コーナーなのだが、その前にそれぞれの出身小学校の校歌を歌うというフリーコーナーがあった。実はこれがゲスト登場の前フリとなっていた。毎回登場の仕方が凝っているのだが、この日は和田が母校の校歌を歌っている途中で、和田と同じ小学校の同級生だった土岐麻子が客席の中から登場して、校歌の合唱に参加するというサプライズの展開に。会場内からも驚きの声がたくさん上がっていた。この登場の仕方にはやられた。彼女はこの瞬間のために、ライブ中から観客のひとりとして待機していたのだ。

 同級生同士の夢の共演、まずは彼女のナンバー「Gift~あなたはマドンナ~」から。彼女の歌声とTRICERATOPSの軽やかな演奏とのコンビネーションもいい感じだ。ハモりでは吉田も参加。続いてはマイケル・ジャクソンの「Human Nature」。和田のアコギのつまびきに乗って、土岐が歌い始める。和田と土岐との柔らかさと密やかさとしなやかさを備えたハーモニーはまるで、コーヒーとミルクとが混ざりあう瞬間に生じるマーブルみたいだ。互いの個性が融合しながら、引き立て合っている。繊細さと芯の強さとを秘めた演奏も素晴らしかった。同級生共演の3曲目はTRICERATOPSの「Jewel」。この曲が女性の歌声で始まるのはちょっと新鮮だ。バンドの演奏もジャズやラテンのテイストもあって、ちょっと大人っぽい感じ。男女のデュエット独特の不思議な磁場も生まれている。バンドマジック+同級生マジック。彼女が去る時には学校のチャイムが鳴っていた。こうした細かな演出も楽しかった。

 ゲストが去って、粋な空間から一転してホットな空間へ。スリーピースのスリリングなサウンドが全開になっていく。白熱の演奏が圧巻だったのは「ROCK MUSIC」だ。「いくぞ~!」という和田の声にたくさんの歓声が上がる。躍動感あふれる「Groove Walk」ではコール&レスポンスとハンドクラップ。1曲1曲の振り幅の大きさはバンドの豊かな音楽性の表れでもあるだろう。この日のラストナンバーは「僕らの一歩」。この季節にこのシチュエーションで聴くと、より歌詞が深く染みてくる。その歌詞と演奏も連動していると感じた。体温と気配とがしっかり伝わってくる演奏なのだ。終演後、外に出ると、かなり寒かったのだが、体の中はほかほか。この季節にぴったりな見事なエンディングだった。

【取材・文:長谷川誠】

連載・おとといミーティングライブレポート連続掲載中!!

vol.7 シークレットゲスト:杏子
vol.8 シークレットゲスト:吉井和哉

tag一覧 ライブ 男性ボーカル おとといミーティング TRICERATOPS

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ビデオコメント

リリース情報

LOVE IS LIVE

LOVE IS LIVE

2011年12月21日

tearbridge

ディスク1
01. ENTER!
02. LOVE IS LIVE
03. SILLY SCANDALS
04. GREEN
05. 2020
06. CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU
07. 仲直り
08. WAITING FOR YOU
09. プロポーズ
10. LIP CREAM
11. GOTHIC RING
12. MILK&SUGAR
13. RASPBERRY
ディスク2
“mod surfer” at AKASAKA BLITZ July 29,2011
01. JEWEL
02. PRETTY WINGS
03. WALK IN THE PARK
04. あのね Baby
05. トランスフォーマー

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お知らせ

■ライブ情報

TRICERATOPS "15TH ANNIVERSARY TOUR"
06/02(土)横浜BLITZ
06/06(水)水戸LIGHT HOUSE
06/09(土)埼玉HEAVEN’S ROCK VJ-3
06/10(日)新潟LOTS
06/13(水)新宿LOFT
06/16(土)長野CLUB JUNK BOX
06/17(日)高崎CLUB FLEEZ
06/22(金)札幌cube garden
07/01(日)福岡IMS HALL
07/06(金)名古屋CLUB QUATTRO
07/08(日)大阪BIGCAT
07/13(金)仙台darwin
07/14(土)柏PALOOZA
07/16(月/祝)静岡LiveHouse 浜松窓枠
07/19(木)渋谷La.mama
07/21(土)東京日比谷野外音楽堂

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。
Vol.6
オフィシャルモバイルサイトでも『連載・おとといミーティング TRICERATOPS"12-Bar"vol.6』の模様を絶賛配信中!
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