杏子がサプライズ出演!!TRICERATOPSの第7回”おとといミーティング”!!
TRICERATOPS | 2012.05.01
こんなにも音楽の楽しさがダイレクトに伝わってくるライヴはそうはないのではないだろうか。演奏だけでなくて、演出も含めて、メンバーが工夫しながらやっていて、自由度が高い。7回目となる"12-Bar"ではレアな曲もいくつか演奏された。オープニングナンバーはファーストアルバム収録の「Star Jet」。和田唱のアコギの弾き語りで密やかに始まって、2コーラス目からは林幸治のベースと吉田佳史のドラムの演奏が熱を帯びていき、グルーヴィーに加速していく。会場内が徐々に温まっていくようなオープニングだ。2曲目も同じくファーストアルバム収録の「オレンジライター」。和田がフェイクまじりに歌っている。エッジの効いたリズムが気持ちいい。彼らは今年デビュー15周年を迎えたのだが、初期のナンバーが今もまったく古ぼけないのは、もともとの楽曲の完成度が高いから、そしてまたメンバーの成長に伴って、曲も一緒に成長しているからだろう。自在のリズムが気持ちいい「Ace」、歌詞が深く染みてくる「仲直り」などなど、どの曲もフレッシュに響く。
恒例となった宿題曲はスピッツの「冷たい頬」。オリジナルの持っている広がりのあるバンドサウンドの気持ち良さを活かしたカバー。この曲はもともとせつなさやはかなさなど、多様な感情を内包した楽曲なのだが、和田の歌声はこの曲の持っている深みを見事に表現していた。宿題曲に続いては、フリーコーナー。80年代の音楽の話になり、いきなり和田がBOΦWYの「B・BLUE」を歌い出したり、林が爆風スランプの「Runner」をシャウトしたり。「喉がすりむいたみたいになった」と言いながら、林が何度も絶叫すると、会場内は爆笑の渦。和田が「石井さん、学校の先輩なんだよね」と言いつつ、米米CLUBの「君がいるだけで」を歌い始めると、吉田も林がすかさず加わっていく。3人とも実にフットワークが軽くて、ノリがいい。
「なんか、今日は自由だね」と吉田。この空気こそが"12-Bar"の醍醐味のひとつ。「佳史のドンピシャの音楽は何?」という和田の問いに対して、吉田がブルーコメッツの「ブルー・シャトウ」を歌い出すと、和田も林も加わって、三声のハーモニーで決めたりする。「冗談はさておき、オレのドンピシャはBARBEE BOYSですね」と吉田。その言葉を受けて、BARBEE BOYSの「目を閉じておいでよ」を歌う場面もあった。ちなみに杏子パートを吉田、KONTAパートを和田。
「今日は雰囲気がいいから、ルービーを持ってきてもらっていいですか」という和田のオーダーに対して、店員がビールを運んできた。と思いきや、シークレット・ゲストの杏子だった。毎回ゲストが予想外の登場の仕方をするのだが、今回は彼女が店員用のTシャツを着て登場。そしてそのまま杏子+TRICERATOPSで「目を閉じておいでよ」へ。前奏で杏子がTシャツを脱ぐと、ステージ衣装に早変わり。予期せぬ展開に観客からは熱烈な歓声と拍手。ここでの杏子&和田のかけあいが新鮮だった。ハイトーンパートでは吉田も参加。杏子が髪の毛をなびかせて、踊りながら歌っている。この構図がとっても絵になる。「杏子さん、きれい!」と和田。客席からも「きれい!」という声。そんな観客の反応に対して、「いい子たちだね」と杏子。観客だけでなく、TRICERATOPSの3人も杏子も思いっ切り楽しんでいるのが伝わってくる。BARBEE BOYSドンピシャ世代の吉田も熱のこもったプレイ。この共演を心から光栄に思いながら演奏していることも伝わってきた。演奏者の感動がさらにセッションを熱く高めていく。
続いての共演曲はエラ・フィッツジェラルドやサラ・ボーンなどでお馴染みのジャズのスタンダードの名曲、「バードランドの子守唄」。ハスキー&セクシーな杏子の歌声によって、会場内に大人の空気が漂っていく。奥底から情感がじわりと滲む歌声に酔いしれた。TRICERATOPSのジャジーな演奏もいい感じで、和田のギターのつまびきもクール! TRICERATOPSの「Silly Scandals」。こちらは和田と杏子のかけあいによって、曲の疾走感が増していく。ジャズもいいが、ロックのセッションもスリリングだ。客席もコールして参加。会場内の一体感がすごい。「楽しいね、いい夜だ」と和田。
ゲストの杏子がハイタッチして去ってからも、この夜をしっかり締めくくるべく、白熱の演奏が続く。「we are one 」「LOVE IS LIVE」と曲の流れもいい。どちらも優れたポップソングとして成立した上で、普遍的なメッセージが伝わってくる楽曲だ。「LOVE IS LIVE」では観客も一緒に歌っていたのだが、その光景そのものが愛に満ちていると感じた。「みんなのためにラヴソングを送ります」という和田のMCに続いてのラストの「FOREVER」でも会場内に温かな空気が漂っていた。どんな展開になるのか読めないのだが、結末は温かな余韻が残る。終演後に外に出ると、この日聴いたあの歌この歌をつい口ずさみたくなった。つまり"12-Bar" にはハッピーという名前の無形のおみやげが付いてくるのだ。
【取材・文:長谷川誠】
【撮影:山本倫子】
連載・おとといミーティングライブレポート連続掲載中!!
vol.6 シークレットゲスト:土岐麻子vol.8 シークレットゲスト:吉井和哉
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リリース情報
LOVE IS LIVE
2011年12月21日
tearbridge
01. ENTER!
02. LOVE IS LIVE
03. SILLY SCANDALS
04. GREEN
05. 2020
06. CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU
07. 仲直り
08. WAITING FOR YOU
09. プロポーズ
10. LIP CREAM
11. GOTHIC RING
12. MILK&SUGAR
13. RASPBERRY
ディスク2
“mod surfer” at AKASAKA BLITZ July 29,2011
01. JEWEL
02. PRETTY WINGS
03. WALK IN THE PARK
04. あのね Baby
05. トランスフォーマー
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お知らせ
TRICERATOPS "15TH ANNIVERSARY TOUR"
06/02(土)横浜BLITZ
06/06(水)水戸LIGHT HOUSE
06/09(土)埼玉HEAVEN’S ROCK VJ-3
06/10(日)新潟LOTS
06/13(水)新宿LOFT
06/16(土)長野CLUB JUNK BOX
06/17(日)高崎CLUB FLEEZ
06/22(金)札幌cube garden
07/01(日)福岡IMS HALL
07/06(金)名古屋CLUB QUATTRO
07/08(日)大阪BIGCAT
07/13(金)仙台darwin
07/14(土)柏PALOOZA
07/16(月/祝)静岡LiveHouse 浜松窓枠
07/19(木)渋谷La.mama
07/21(土)東京日比谷野外音楽堂
※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。