The Birthdayの『VISION』ツアーファイナル、日本武道館の模様を激レポート!!
The Birthday | 2013.01.10
2012年7月にリリースした6作目のアルバム『VISION』は、胸に突き刺さるポップさと腰を揺らずにいられないヘヴィなグルーヴに溢れた、The Birthdayならではの作品だ。それを携えてのツアー・ファイナルとなった日本武道館では、十分すぎるほどにバンドが暖まっていた。
ステージに「The Birthday VISION FINAL NIPPON BUDOKAN」の文字が浮かび、お馴染みのThe Crests「16Candles」がSEとして流れるとメンバーが登場。最後にタンバリンを片手に現れたチバユウスケは、楽しそうに会場を見回しながらギターを持ち、『VISION』の2曲目でもある「黒いレイディー」のソリッドなイントロを掻き鳴らした。すると引き締まった興奮が武道館を包み込んだ。「オーライ!」と叫んで気持ちを加速した「Buddy」は、チバが吐き出す言葉が歌になって行く様を見るようで、「♪パーティがまた始まる!♪」というフレーズに否応なく惹き込まれ、自分の愛する音楽への思いを歌ったシングル曲「ROKA」は軽快なタッチについ踊り出す。バンドとオーディエンスが会話しているようなサウンドとダンスに武道館が揺れた。
「5年ぶりの武道館だそうです」と言ったのはドラムのクハラカズユキ。08年1月に彼等は初の武道館公演を行ったが、当時からギタリストがイマイアキノブからフジイケンジに替わっている。同じ会場で見る事で二人の色の違いも浮かび上がってくるから面白いのだが、チバの絶叫が迫り来るバラード「Riot Night Serenade」や、イマイ脱退直後のシングル・カップリング曲「爪痕」の切ない歌詞は、彼等の5年間の重さを感じさせるものでもあった。そして再び彼等はこのステージに立っている。一回り大きくなったバンドの勇姿が、そこにあった。
「日本武道館、好き?嫌い?俺は好き」と言ったチバはご機嫌な様子で、ジャジーなナンバー「Red Eye」をハンドマイクで歌い出し、間奏ではフジイのギターと掛け合うブルース・ハープも披露。ベースのヒライハルキは短いソロに渾身の力を込め、クハラのドラムに繋いだ。バンドの暖まり具合が伝わるジャムセッションで、リズム隊が揺るがず、テンポよく歌とギターを受け止めてThe Birthdayの音が出来ていることを改めて目の当たりにした。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTから続くチバとクハラの呼吸は絶品だ。そこに最年少のヒライが遠慮せず斬り込むベース、加入して間もなく2年のフジイが加えるタイトなギターが今のThe Birthdayを形作っている。いよいよ調子の上がって来たバンドは「LOOSE MEN」「PINK PANTHER」と新作からの曲を続け、その演奏の存在感にオーディエンスは気圧されて身体を揺らすしかないといった様子。混沌と渦巻く感情を捉えたような抽象的な映像が、背景のスクリーンに浮かんでいた。
「客席でお酒飲めないんですか?」とクハラが尋ねると、どこからか「飲んでるよー!」と声が飛び、笑い声が起こった。普段はスタンディングのライヴハウスやホールでやる事が多いThe Birthdayとオーディエンスに、武道館はちょっと勝手の違う会場なのかもしれないが、どんどん熱気を孕んで行く演奏はそんなことを忘れさせてしまう。グルーヴィな「LOVE SICK BABY LOVE SICK」にオーディエンスはステップを踏みジャンプし、華やかな人気曲「カレンダーガール」や「なぜか今日は」では自然と手拍子が起こった。そして、今の彼等にとって最重要曲と言える「さよなら最終兵器」は、MAXになったサウンドに包まれ「♪ぼんやりだけど未来が見えた気がするんだ♪」と歌うチバの声が心に響いてきた。
本編最後は「BECAUSE」のダイナミックなスケール感で締めくくった。歌い終え「I LOVE YOU!,ありがとう!」と言ってステージを降りたチバだが、数分後には盛大なアンコールに応えて戻り、「いいねえ」と笑顔を見せた。彼が「OH,YEAH!」と声をかけて始まった「STORM」の間奏では、ベースとギターのホットなジャムにチバのヴォーカルが乗って最上のグルーヴに会場を巻き込んだ。その後に「涙がこぼれそう」のイントロが流れると待ちかねたように大合唱が起こり、チバが「ここはどこだ? 日本武道館!」と叫んで歌い出すと、誰もが歌いステップを踏み武道館は極上のカオスに。クハラのドラムソロから始まった2度目のアンコールでは「泥棒サンタ天国」に続き、チバがステージ最前で客席にマイクを突き出し、演奏を止めての盛大なコール&レスポンスとなった「ローリン」、そして場内の照明がついたまま3度目のアンコールで、「READY STEADY GO」をチバはオーディエンスとともに気持ち良さそうに力一杯歌い上げた。全25曲2時間半。思い残す事など何もない、絶品のロックンロール・ナイトだった。
【取材・文:今井智子】
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リリース情報
セットリスト
TOUR 2012『VISION』
2012.12.19@日本武道館
- 黒いレイディー
- ゲリラ
- Buddy
- ROKA
- Riot Night Serenade
- KICKING YOU
- ホロスコープ
- YUYAKE
- SHINE
- 爪痕
- Red Eye
- LOOSE MEN
- PINK PANTHER
- SPACIA
- LOVE SICK BABY LOVE SICK
- カレンダーガール
- OUTLAWⅡ
- なぜか今日は
- さよなら最終兵器
- BECAUSE
- STORM
- 涙がこぼれそう
- 泥棒サンタ天国
- ローリン
- READY STEADY GO
お知らせ
HYPER SOUND 30th Anniversary「50CLUB」
2013/01/12(土)新木場スタジオコースト
the 原爆オナニーズ 30th Anniversary Special GIG ! “I Don’t Want No Pension Rights”
2013/01/14(月)名古屋Electric Lady Land
~RUDE GALLERY PRESENTS~
RUDE GALLERY 13th ANNIVERSARY PARTY BLACK RUDE NIGHT
2013/02/11(月)LIQUIDROOM
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。