布袋寅泰が4月に行なった2本のライブの模様をレポート!
布袋寅泰 | 2013.05.29
「Rock’n Roll Revolution」ツアーのNHKホール・ライブの1週間前、布袋寅泰はSHIBUYA-AXでスペースシャワーTVプレゼンツの「LIVE with YOU」を行なった。これは布袋が新進気鋭の映像クリエイター集団と、一夜限りでコラボするスペシャル・ライブだ。
ステージを囲うようにして4面スクリーンが設置され、布袋のライブに合わせて大きな錦鯉が泳ぎ回ったり、稲妻が走ったり。ツアー中なので布袋バンドは、絶好調。ある種、ツアーのセットリストからのベストライブというニュアンスもあるが、「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」や「スリル」など、 ツアー・メニューにない曲も配置されていて、「さすが、布袋!」と思わせるスペクタクルとなった。
1時間ちょっとではあるが、エキサイティングなライブを終えた布袋は、「こういうトライを積み重ねていきたい。常にレボリューショナルなアーティストでいたい」と、上気した顔で挨拶した。その言葉通り、渡英して海外のシーンに真っ向から挑戦したり、異種のアーティストとコラボしたりする姿勢は、布袋が“革命=レボリューション”の意義を熟知していると感じさせるのに充分なアクロバティックなライブだった。この日の模様はスペースシャワーTVで6月にオンエアされるので、ぜひ見て欲しい。
さて布袋の“革命”の中核である“Rock`n Roll Revolution” のツアー後半のNHKホールである。ニューアルバム『COME RAIN COME SHINE』を掲げた内容は、ズバリ、曲順どおりのアルバム全曲演奏からスタートする。久々にドラマーにザッカリー・アルフォードを迎えたバンドは、ベース・井上富雄、キーボード・奥野真哉、プログラミング・岸利至というミニマムにして最強のメンバー。ギタリストは布袋一人で、潔くもあるが、布袋にかかる負担は半端ではない。
ライブは『COME RAIN COME SHINE』の評価を決定付けた「Cutting Edge」から。布袋のギターの鋭いコード・カッティングが先鋒を切る。クール&ビューティなオープニングだ。2階席で見ている僕の横には、布袋モデルを模したビニール製のギターを持ったファ ンが、夢中でエアギターを弾いている。このファンは結局、最後の曲までエアし続けるのだが、布袋との一体感を味わいたい彼にとって、最高 の1曲目となった。
続いてはシングル「嵐が丘」。 ♪幸せという名の スープにはなぜ 涙が 混ざってたのか?♪というリリックが、アルバムより遥かに豊かに聴こえる。これがツアーというものだろう。また、オーディエンスと分かち合うことで曲が成長するライブの魔法でもある。
「ようこそ、宇宙一のロックンロール・ショーへ!」と短く挨拶した後、自らのルーツであるBOΦWYの痕跡をいい意味でむき出しにした「Don`t Give Up!」が爽快だ。膝を高く上げる“布袋ダンス”も興奮を煽る。コーラス・リフからリード・ボーカル、さらにはギター・ソロへと一人で何役もこなす。ライブ後、「まるでサーカスですよ」と布袋は笑いながら語ってくれたが、この負担がさらに布袋を輝かせていることは間違いない。それはもちろん、布袋にしかできないサーカスなのだ。
『COME RAIN COME SHINE』の10曲目までを終えて、布袋が語り出す。
「昨年の30周年と、50才になったことが、アーティストとしても一人の男としても大きな区切りになりました。それまでは前だけを見て走ってきたけど、自分を見つめ直すいい機会になった。BOΦWYは 短かかったけど、大きなものだったと思ったり。久しぶりに自分と向き合ってみて、いい意味でも悪い意味でも変わってない。だけど変わらないでよかったのは、ロックンロールに対する情熱です。自分が自分らしくいるために、夢を灯し続けたい。次の「Dream Again」は、そんな曲です。その次の「Promise」は震災の後、どんなメッセージを送れるかと考えて作りました。この2曲はタイプが違うけど、絆で結ばれた曲です」。
「Dream Again」はストラトキャスターの美しい音色が、「Promise」は力強さが印象的だった。
アルバム全曲の演奏を終えた布袋は、かっこいいリフの宝庫「Greatest Guitar Medley」を皮切りに、アッパーなショータイムに突入する。それこそファンのエアギターが、グニャグニャになるまで盛り上がる。特に初期のBOΦWYナンバー「LONDON GAME」で、オーディエンスは大喜び。かと思えば「バンビーナ」ではチャック・ベリーばりのダック・ウオーク(注:片足でピョンピョン跳ねながら、ギターを弾くアクション)を披露。デジタル・ロックをテーマに掲げた懐かしい「SUPERSONIC GENERATION」で本編が終わった。
アンコールは布袋のお気に入りの曲ばかり。「SURRENDER」は郷愁を感じさせ、「MERRY-GO-ROUND」ではユーモアをふりまく。
「今回はロンドンに引っ越してから初のツアーで、新鮮な気持ちです。新しい力が湧いてくる。ツアーが終わるとロンドンに帰りますが、ロンドンでの次のライブが決まりました。夢に向かってる僕を、ぜひ見に来てください。僕は、僕の生き方を完成させたい。またいつか、まぶしく輝いて会いましょう」。
ラスト・ナンバーは「Fly into your dream」。歌もギターも壮大なバラードだ。1週間前のAXでもこの曲を聴いて、これまでで最高の出来と思ったが、布袋はそんな僕の思いをあっさり更新してしまった。NHKホールに響く「Fly into your dream」のギター・ソロを呆然と聴きながら、海外ライブで成功を夢見る布袋の熱い心に、直に触れた気がしたのだった。
【取材・文:平山雄一】
【撮影:TEPPEI /MICHIKO YAMAMOTO】(LIVE with YOU)
【撮影:平間 至】(Rock’n Roll Revolution Tour 2013)
SPACE SHOWER TV “LIVE with YOU”?布袋寅泰?
豪華アーティストのプレミアムライブ番組。第四弾出演アーティストは布袋寅泰!
"あなたの側で、生きてる音楽。"をコンセプトに、スペースシャワーTVがトップミュージシャンと送るプレミアムライブ番組『SPACE SHOWER TV "LIVE with YOU"』。第四弾出演アーティストとして登場するのは、昨年ロンドンへ移住し、世界へ向けて更なる活動の場を広げるギタリスト、布袋寅泰! 今回は、ニューアルバムツアーで帰国中の彼に、スペースシャワーTVがプッシュする新進気鋭の映像クリエイター集団が挑む、一夜限りの音楽と映像のバトル! 世界照準のギタリストと映像クリエイター、そしてファンの熱気が産んだ、超刺激的な60分のライブ特番をお見逃しなく!
初回放送:6/1(土)21:00?22:00
リピート放送:6/10(月)23:00?、6/16(日)20:00?、6/20(木)20:00?、7月予定
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リリース情報
COME RAIN COME SHINE(初回盤)
2013年02月06日
EMIミュージックジャパン
1. Cutting Edge
2. 嵐が丘
3. Don’t Give Up!
4. Never Say Goodbye
5. Come Rain Come Shine
6. My Ordinary Days
7. Daisy
8. Higher
9. Stand Up
10. Rock’n Roll Revolution
11. Dream Again
12. Promise
ディスク:2
1. Don’t Give Up! (Music Video)
2. Promise (Music Video)